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今だからこそ『知ろうとすること』

 新型コロナウィルスの感染拡大はまったく収まる気配がない。私が住んでいる北海道は緊急事態宣言が一旦終わったが、まだまだ油断できる状況とは言えない。
 まだ2月のうちは「よし、逆に一人で有意義な時間を過ごすチャンス!」と思う余裕があり、家の中で本を読むようにしていた。
 そのうちの一冊が、以前に一度読んでいた『知ろうとすること。』という本である。

 コピーライターの糸井重里さんと、物理学者の早野龍五先生が、2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故から3年後に現状を語り合った、2014(平成26)年10月に発行された本である。

 糸井さんの姿勢は当時も今も変わらない。この本の背表紙の帯には、以下のことが書いてある。

 大切な判断をしなければいけないときは、必ず科学的に正しい側に立ちたい。

 普段から『ほぼ日刊イトイ新聞』やツイッターで拝見する糸井さんの発する言葉やアイディアは、自由で柔軟で独創性に満ち、それでありながら自分だけでなく周囲の人たちの幸せも常に考えていると思っている。
 その糸井さんが「いざというときは科学的に正しい側に立ちたい」とおっしゃることは、直感的な印象で言うと「糸井さんらしくない」気がする。

 だけど糸井さんは当時も、そして今も、科学に精通したスペシャリストたちの力を借り(これぞ「巨人の肩に乗る」、彼が熱狂的に応援しているプロ野球チームとは関係ないが)、冷静に状況を判断した上で行動し、さらに周りに呼び掛けてもいらっしゃると思う。
 そして彼の周りには、冷静に客観的根拠に基づいた情報を伝えてくださる医師や科学者の方々だけでなく、それを理解し支持した上で、自分の言葉を使い広めてくださる「ことばのプロ」の方々(ライター、編集者さん等)が多くいらっしゃる。

 私はツイッターで彼らのアカウントを中心にフォローしているのだが、彼らが提供してくれる情報や、ツイッターの中での態度に感謝している。
 客観的データを元に冷静に事実を(ネガティブなことも含めて)伝えてくれる専門家の方々のツイートをリツイートしてくださったり、新型コロナウィルスが広がる前と変わらず近況とかギャグとか大喜利とか(笑)のツイートを続けてくださったり。
 慌てず騒がずな彼らの態度に敬意を持ち、真似をしていたいな、と思っている。

 ネットの中ではどうも穏やかでない憶測や、誰かに対する怒りなどをうっかり目にしてしまうこともある。だからこそ、自分のSNSという居場所での心地よさを確保することは重要だと思っている。
 せめて自分が意識的に読むツイートは、どんなときでも慌てず騒がず、できるだけ自分の心をご機嫌にしようとしている方々のものでありたい。

 私もできるだけ自分の心をご機嫌にしたいなーと思って、この不要不急の外出をなるべく控えるべき期間、どうやって家の中で楽しく暮らせるか模索中である。

 

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