ジェノサイド 上 ・下 高野和明 角川文庫

 かなり前に読了したが、未だに「ふっ」と思い出してしまう、熱狂しつつ一気呵成にて読み通した一冊。

 イラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。、まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、何かが始まる。そしてアメリカの情報機関が探ったある事実と動き出す人々。複数の糸が絡み合い、紡がれた結果はいかなる文様を描くのか。

 ノンストップのエンターテイメント。フィクションでありながら、まさに真実と思わせる。薬科大学の学生の父親の謎の言葉、傭兵の抱く苦悩、そして様々な事象が伏線となりエンディングに向かって疾走する模様を逐次追いかけるのは本読みの本望に違いない。

 はっきり言って、ご都合主義で、若干勢いでダマクラカサレテいる点は有ると思うけど、これだけ、怒涛の畳みかけるような勢いとパッションで押し切られると、整合性とか論理的な帰結とかは、吹っ飛んでしまう。

 大昔、民放(BSだけど)最後の本の紹介番組「すずらん本屋堂最終回」に、コメンテーターから進められた「これぞ珠玉のエンターテイメント」という言葉にウソはなかった。絶対おすすめ鉄板の胸躍る一冊(というか上下2冊だけど)

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 未だに、「ジェットコースターのような、冒険小説」という分野では、孤高の一位継続中です。


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