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泡沫文集

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浮かんでは消える雑多な思考の文字起こし
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2023年2月の記事一覧

霊長類

われわれホモサピエンスは、霊長類に属する。霊長の意味を辞書で引くと、万物の中で最も優れているものと書かれている。自らを最高の存在と定義するとは、かなりの自惚れ屋だと言わざるを得ない。確かに人間は地球上で唯一、機械を創造するほど知能を発達させた生物ではあるが、高々それだけの事実だけで万物の中で最も優れていると言えるのだろうか。 生物とは遺伝子の乗り物で、その目的は遺伝子を後世に残すことだとする仮説を採用すれば、文明を発展させ機械化を推し進めたのは、単なる手段のひとつに過ぎない

中途半端に要領が良かったので、高校生の頃までは授業を聞いているだけでもテストの点数がそこそこ良かった。常に満点というわけではないけれど、平均点以下の点数は取ったことがなかったし、成績も上の中の辺りから下がったことはなかった。目標設定をテストの点数や成績の評価を基準にしていたせいで、宿題やテスト勉強を真面目に行う習慣が全く育たなかった。塾なんて学校の授業についていけないから通わされるもので、本来はやらなくても良い無駄な復習をやっているとすら思っていた。要するに、テストでそれなり

雨の日に履く靴

雨の日が嫌いなのは、靴の中まで雨水が染み込むせいだ。靴下までぐっちょりと冷たく濡れている時間は耐え難い。雨が降っている時はもちろん、雨が振りそうなだけでも、なるべく出かけずに済ませたい。 やむを得ず外に出なければいけない時には、防水仕様の登山靴を履いていくようにしていた。しかし、登山靴はいささか仰々しい。夏ならばビーチサンダルを履いていくのも良いかもしれないが、他の季節はそうもいかない。だって、より寒いでしょう。 何か良い方法はないかと探していたら、GORE-TEXを使っ

沈丁花

ジムへ行く道すがら、沈丁花が雨に濡れて咲いているのを見つけた。沈丁花の花が咲くと春が来ていると実感する。 沈丁花の香りが世の中で一番好きだ。あの香りを感じるためだけに春という季節は存在している。

声が大きいと面白い

笑いを取る方法のうち、シモネタと大声は飛び道具だと思っている。どちらもギャップによって笑いを生み出しているのだけれど、前者は禁忌とされている言動を行ってギャップを生み出している。では後者におけるギャップとは何か。それは、大声の役割を考えると理解できる。 大声は野生動物にあっては、危険を知らせるサインだ。敵への威嚇や仲間への注意喚起で発せられ、群れに緊張が走る。大声が聞こえた後、安全が保障されると安堵が生じ、先の緊張との間にギャップが生まれる。 人間社会、特にテレビを始めと

徒歩一時間までなら歩いてく

以前の職場では、徒歩で毎日通勤するには骨が折れる距離だったので、晴れた日には自転車で、雨の日には電車で通勤していた。けれど今の職場は、自転車通勤やマイカー通勤が禁じられている。とはいえ、満員電車に揺られてストレスを溜めるのも嫌だったので消去法的に、徒歩で通勤できる距離にある、家賃の割に占有面積が狭く古びた物件に住むことにした。 電車のような速度だと一瞬で風景は飛んでいってしまうけれど、徒歩だと細かな季節の変化まで肌で感じられる。その変化から気付くことや考えることも多い。タイ

世界の解釈は世界の非理解

感覚器官は世界を切り取るための道具。視覚は電磁波を、聴覚は空気の振動を、嗅覚と味覚は分子を、触覚は圧力を通じて切り取った世界を脳に伝える。 脳は感覚器官を通じて切り取った世界を解釈するための道具。感覚器官から受け取った情報を統合し世界を解釈する。 宗教や思想、科学や学問は、世界を解釈する方法。考え方の筋道であり、依る辺。 個人によって、切り取る世界の場所も、切り取り方も、解釈の仕方も異なるし、各個人の脳内で解釈された世界も所詮、現実の世界のごく一部分の近似に過ぎない。

ストレッチ

生まれた時から身体が固い。赤ん坊は自分の足の親指をしゃぶろうとする本能があるらしいのだけれど、母が言うには、ぼくはそれをやろうとしても、足が口に届いていなかったそうだ。 小学生の時に自宅で毎日ストレッチをしましょうという宿題があった。全校生徒に課された宿題だったので、経緯を想像するに、体育教員か校長がストレッチは健康に良いというような情報をどこからか仕入れてきたのだろう。 ポーズの例として写真が印刷されたプリントが配られたのだけれど、その写真に写っている人の身体はとても柔

リニューアル

支払いに現金を使う場面が減った。財布を持って出かける日の方が珍しいくらいで、持って出かけたとしても嵩張るのが嫌なので硬貨は基本的に持っていかない。 先日、ライブハウスでドリンク代を支払うときに久しぶりに現金を使った。お釣りを受け取った際、見慣れない硬貨を発見した。おもちゃのお金みたいだなと思った。そういえば、五百円玉のデザインが変わるとか変わったとか、しばらく前にニュースで見出しだけ見た気がする。 紙幣もデザインが変わるような話を聞いたけれど、次のデザインがどうなるのか全

ストーリー漫画

完結していないストーリー漫画を読むのが苦手になった。次の話を読むまでに最短でも一週間待つ必要がある上に、全体の長さが分からないので、いつまで気にし続けなければいけないのか分からないのが耐えられない。それ以上に、今後、物語の進む方向が面白くなるのかどうか分からないものと付き合い続けられる自信がない。あるいは突然打ち切られてしまい、楽しみが失われてしまう恐怖もある。 自分の年齢が日本人男性の平均寿命の半分を超えてから、ストーリー漫画を避ける傾向が強くなった、ような気がする。尻す

情報

「情報」の本質あるいは特徴は、未来まで残り続けること。生物は遺伝子という情報を保持するための器で、文字や絵画、書物はそれを外部化するための装置。情報はそれ自身の生存確率や寿命を伸ばすために、世界に伝播しようとする性質を持つ。

ダークエナジー

宇宙は加速膨張しているという。物質は光の速度を超えて移動できないが、空間に限っては光速の制約を受けない。空間は一様に膨張しているため、離れれば離れるだけ遠ざかる速度は増し、ある距離を超えると光速以上の速度で遠ざかるため絶対に到達できない。 空間が加速膨張しているのなら、時間も加速していたとしても驚かない。実際に一週間が過ぎるのが、どんどん早くなってきていると感じる、加齢に応じて。

ルームランナーの上で考えた

ジムのルームランナーでウォーキングをしています。この時間はいつも、このエッセイのネタを考える時間に充てているのです。アイデアはいくつか浮かびましたが、良い展開は思いつきません。ですので思いついた内容のタイトルだけを箇条書きにしてみます。 一部を伏字にしておきました。いずれ文章になったらリンクが貼られるかも知れません。 ・散漫に生きているので現実を疑ってしまう。胡蝶の夢、マトリックス、■■■。 ・以前、旅客機サイズで機動力の高いVTOL戦闘機を眺める夢を見たが、同じような夢

有料
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フライパン

最近、ちょっと良いフライパンを買った。厚みがあり熱が均一にすぐ温まるアルミ製、扱いやすい直径26センチメートル、高さは深めの8センチメートル、表面に焦げ付き防止のテフロン加工が施されていて、持ち手が鍋本体に溶接で固定されているので鍋の内側にリベットがなく洗いやすい。見た目にもおしゃれで清潔感がある。いやぁ、本当に買って良かった。 目下のところ、フライパンひとつで作れるワンパンパスタや冷凍餃子、レトルトおでん、寄せ鍋といった手抜き料理の調理で大活躍しています。