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声が大きいと面白い

笑いを取る方法のうち、シモネタと大声は飛び道具だと思っている。どちらもギャップによって笑いを生み出しているのだけれど、前者は禁忌とされている言動を行ってギャップを生み出している。では後者におけるギャップとは何か。それは、大声の役割を考えると理解できる。

大声は野生動物にあっては、危険を知らせるサインだ。敵への威嚇や仲間への注意喚起で発せられ、群れに緊張が走る。大声が聞こえた後、安全が保障されると安堵が生じ、先の緊張との間にギャップが生まれる。

人間社会、特にテレビを始めとするメディアの中の出来事として、芸人が大声で話している場合、安全圏から視聴している受け手との間で既にギャップが生まれていて、本能的に面白く感じてしまう。喋る内容に中身が無くても、単に大きな声で話すだけで下駄を履いていると言ってよい。もちろん、大声だけで売れるほど芸の世界は甘くないだろうけれど。

芸人でなくても声が大きいだけで他人から面白いと思われる可能性はある。けれど、面と向かった状態で面白く感じてもらえるには、相手と確かな信頼関係が築けている必要があるだろう。面白い人間だと思われたいからといって、道の真ん中で急に大声で喚き散らしたら、危険人物だと通報されるだけである。

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