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夜の空

近頃、私は夜の空にも色があることを知った。
今まで山の中に住んだことがなく、
夜の空は黒か街の明かりが反射して
ピンクがかっているもの、
とぐらいにしか思っていなかった。
それにも増して夜の空を眺める
気持ちの余裕がなかったのだ。

立ち止まって見惚れること
それがどんなに私の世界を広げるか
考えたこともなかった。

紺、濃紺、紫がかった青、藤紫、紫がかった灰色、、、

夜空はその世界が闇に包まれていく時
色をなくしていくが
その日その日で全く違うのではないか
という程に表情がある。

闇の端が少しずつ陸の上を覆い
彼方まで迫っていくのを
私はじっと見つめていた。