バランスおにぎり

 今朝登校中、後数十メートルで学校というところで、突然履いていたサンダルがよじれ、私はバランスを崩した。しかも思ったよりバランスを崩し、「高いところから地面位着地した萌えキャラ」みたいになった。もしくは、「勢い余って止まりそこねた萌えキャラ」だ。
 恥ずかしい状況だ。しかし、頭では恥ずかしいとは分かっていても、心は恥ずかしいとは思わなかったようだ。別にコンタクトを入れ忘れて周りがよく見えないわけでもないのに、周りがあまり気にならず、そのまま歩いて教室まで行った。
 ふと、以前同じ道で、前を歩いていた人の持っていたおにぎりの袋が風に飛ばされた時のことを思い出した。風の強い日だった。前を歩いていた美容師風のおしゃれな男性は、飛ばされる袋を足で止めようと振り返った。足は空振りし、おにぎりの袋は尚も風に舞った。結局、美容師(仮)は十メートルくらい後ろを歩いていた私を通り越して三十メートルほど袋を追跡し、見事回収に成功していた。
 なんか、すごいいい人だな、と思った。たかがおにぎりの袋一つだが、飛ばされてしまったら知らん顔する人ばかりだったら、今歩いている道だってこんなに綺麗じゃなかっただろう。歩行中にバランスを崩して転倒しかけるなど、何ほどのことでもない。
と言いつつ、夜帰宅してパソコンに向かってこんなものを書いていると言うことはやはり、私は今朝の出来事をまだ恥ずかしがっているのであった。


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