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出張回想録Vol.1

The first itinerary
ヨルダン〜サウジ〜ケニア〜モロッコ〜エジプト。47日間の巡業

出張準備編
かれこれ30年程前は、インターネットも無く海外出張に行く際は「ABC World Airways Guide」なる世界中の飛行機のフライト・時刻が載ってる電話帳位の分厚い本の頁を捲り捲り、何時間も掛けて行程を考えては修正し、取引先や商社とのアポ取りやスケジュールを何日もかけて調整し、出張計画を策定していました。
たまたま、仕事の担当が中近東やアフリカの途上国が主だったので、ヨーロッパやアメリカ等の先進国への渡航とは違い、事前準備に様々な手続きが必要でした。

スケジュールが決まれば、
先ずは、「イエローカード(予防接種の国際証明書)」、「VISA申請」等々、出張の約2〜3ヶ月前から準備をしなくてはなりません。予防接種は黄熱病・狂犬病・コレラ・マラリヤ古今東西の病原菌オンパレードの注射を日比谷にあるクリニックに毎週通い、右腕・左腕と菌をかわるがわる接種すると、両肩がずしっと重くなり手が全く上がらなくなります。VISA申請も東京都内の大使館・領事館に幾度と行き手続きをしなくてはなりません。

肝心な仕事のアポ取り・ホテルの予約なども幾つもの商社に出向き、商談内容を事前に相談し、各国々の取引先にコンタクトし調整をしなければなりません。この頃は途上国とのビジネスに於けるリスクを少しでも回避する為に、それぞれの国でネットワークに長けた商社と手を組み一蓮托生で商いをしていました。

兎にも角にも今と違って出張準備が超アナログでしたので、とても時間を要し旅立つまでにヘトヘトとなっていました。

ABC World Airways Guide

キツネ目の上司
「高い飛行機代を使うから、あっちゃこっちゃ回れ!」後に私の師匠となるキツネ目の心暖かい上司の指示に従い、一度旅立つと数ヶ国の取引先を約1〜2ヶ月掛けて巡業します。

余談ですがキツネ目の上司は、昔はタレ目でしたが、ヤバい国ばかりを渡り歩き徐々に目が吊り上がり、狐目になったみたいです。何度か銃を突きつけられたり、スパイ容疑で刑務所に軟禁されたり、商社の方々でも余り行かない後発途上国の地方にも詳しく、商社からも途上国のスペシャリストとして一目置かれ、JICAやJETROからもリスペクトされている方でした。でも外務省からは要注意人物としてブラックリストに載っていたみたいです。
そんなキツネ目の上司から、何がどう間違ったのか分かりませんが、海外部門への配属から1年が過ぎた頃に突然、「お前は先進国より途上国向きだ。俺のあとはお前がやれ!」と言い渡されたのでした。

つづく、、

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