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年に1度のバラ仕事―無農薬栽培のバラでローズ水とローズジャム作り

我が家の庭の白い大輪のバラ。
大昔にご近所から分けて頂いたもので名前や種類は不明ですが、香りの強い四季咲タイプ。一度も農薬を使ったことはなく、手入れといっても剪定くらいですが、特に春にたくさんの花をつけてくれます。

 満開を迎えるGW頃は、年に一度の(梅仕事ならぬ)バラ仕事の季節。採っても採っても次々と開花するので、日々、ローズ水とローズジャム作りに追われます。
今年はGWが丸々出張にあたってしまったのでバラ仕事は無理かなと思っていたのですが、例年より少し開花が遅れたようで、GW明けに3日間かけてバラ仕事を一気に行うことができました。

白バラですが、うっすらピンクの斑入りの花びらも

 
 実は私が最初にハーブや植物に興味を持つきっかけとなったのがバラでした。

昔々、仕事がアイデンティティという感じで猛烈に働いていた若い頃のこと。お腹がチクチクするので慢性の盲腸炎を疑い(母も母方の祖母も慢性盲腸炎を経験しているので心配になり)病院に行ったところ、血液検査の結果、盲腸ではないことが判明・・・ストレスによるものと診断されました。
そこで自分なりに色々と調べ始めて出会ったのが、フランスの植物医療家モーリス・メッセゲ氏の本。消化器系の炎症や腸内細菌叢のダメージにバラがいいと知り、当時、日本で入手できたメッセゲ氏のローズティを飲み始めたのです。
お腹のチクチクはいつしか収まっていましたが、その後、イギリスに住んでいた時にも現地のハーブ専門店で無農薬のドライローズを入手できたので、ローズティは10年以上、愛飲していたと思います。

メッセゲ氏の本と出会ってハーブに興味を持つようになり、今では自宅の庭で、さまざまなハーブを育てていますが、そんなわけで、私にとってバラはちょっと特別な存在なのです。
 
我が家の庭に迎えた白いバラを農薬不使用で育てようと思ったのには、もう一つ理由があります。
以前、マジパンについて語った備忘録で少し触れましたが、私はイギリス中近世の文学作品に登場する料理について学んでいたことがあります。当時の王侯貴族のレシピにはローズ水がたくさん使われていました。それらの料理を再現するのに市販のダマスクローズ水を使っていましたが、自分で蒸留したローズ水を使って作りたい!と常々思っていたのです。
 
玄米雑穀菜食生活の今、肉やバターをたっぷり使うイギリス中近世の料理を作ることはほとんどありません。でも、ローズ水は朝のお白湯に垂らしたり、化粧水として使ったりと大活躍。花もたくさんつくようになったので、メッセゲ氏の本を読んで以来、ずっと作りたかったバラのジャムもたっぷり作ることができるようになりました。
 
メッセゲ氏によると、バラは開ききっていない花びらをむしって使うそうです。でも開ききっていないバラを使うのはちょっと可哀そうな気がして、私は開いた花びらはローズ水にして、真ん中の開いていないところをジャムにします。

メッセゲ氏のジャムは砂糖で作りますが、私は毎年、色々試した結果、2種類の作り方に落ち着いています。レモン汁少々とほんの少しの黒糖で煮て、ハチミツを加えるパターンと、レモン汁少々だけで煮てハチミツを加えるものです。今年はGW不在のため作れないものとあきらめていたので無農薬レモンの用意がなく、冷蔵庫に保管していた湘南ゴールドを使いました。

ハチミツは加熱処理していないものを使っているので、火を止めてから加えます。砂糖を加えた方が長期保存できそうなので、毎年この2種類を作り、砂糖を入れないものから食べ始めます。ハチミツに殺菌力はありますが、念のためどちらも冷蔵庫で保存しています。

今年はさらに、メッセゲ氏のバラのペーストのレシピを応用したものも作ってみました。メッセゲ氏のレシピは、バラの花びらを砂糖と少量のローズ水でペースト状になるまで潰すというもの。私は、砂糖は使わずにバラとローズ水だけでペースト状にしたものにハチミツを加えてみました。ローズ水とバラの花びら自体の水分で仕上がりは少々緩め。砂糖を使わず加熱もしていないので、どのくらい持つかわかりませんが、冷蔵庫に入れて経過を観察しようと思います。

作りたてのバラジャムは、バラに含まれるタンニンの影響で少し渋みがありますが、やがて味が馴染んでまろやかになります。

バラ仕事1日分の成果。ジャムは3種類、
ローズ水はもっと採れましたが、保存のために瓶を小分けにしています。
手前のローズ水は早速、朝のお白湯に垂らして使い始めたので少し減っています・・・

イギリス中近世の料理に使われていたのは、ダマスクローズ。我が家の白バラは(身びいきとはいえ)大輪で優雅な姿かたちとダマスクローズに負けないくらいの強く芳しい香りが自慢ですが、ダマスクローズも育ててみたい気持ちがあり・・・ちょっと思案中です。

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