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「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」を見て、考える - その5 -

今回は、前回の続きから初めていきたいと思います。


3. 「過度な期待」のピーク期(過剰期待の頂、Peak of Inflated Expectations)

3-6. エッジ・コンピューティング(主流の採用まで:2〜5年)

「2-5. 量子エッジコンピューティング」に記載したように、ユーザや端末の近くでデータ処理することで、上位システムへの負荷や通信遅延を解消します。
産業分野では、取得したデータを基に制御するといった動作が期待されるケースがあります。例えば、農作用自動車を遠隔操作する際、現在の走行ポジション等をカメラ等で撮影することで、フィードバック制御しています。その際、複数台の自動車を中央サーバで管理するケースを考えますと、一旦情報を収集する必要がありますが、処理時間の揺らぎが発生すると自動車制御が不安定となり、危険な走行となってしまうケースがあります。この対策として、サーバのリソース制御で処理時間を短縮・安定化させる方法もありますが、それに加えてエッジ側で処理するという話もあります。こちらで通信遅延を改善することが出来るためです。
「エッジをどこに設置するか」「ユーザが動いた際、サーバ内のコンテンツは移動させるべきか」「そもそもアメリカほど日本は広くなく、国内にサーバを置けば遅延は大きな問題にならないのではないか」等といった課題はありそうですが、ユースケースを絞って限定的に普及していくのかなと思います。

3-7. 人間中心のデザイン(主流の採用まで:2〜5年)

モノ作りの考え方が「技術中心」から「人間中心」に変わり、人間が機械を操作するための訓練を受けなくても操作できる状態を意味しています。
これには6つの原則4つのSTEPが存在し、6つの原則は以下になります。
 1. ユーザー、タスク及び環境の明確な理解に基づいて設計
 (利用者自身や利用状況を明確に想定する)
 2. 設計と開発全体を通してユーザーが参加
 (ユーザ理解のため、ユーザ自身もインタビュー・テストに参加する)
 3. ユーザー中心の評価に基づいて設計を実施し、改良
 (ユーザの実際の声を聞いて、よりユーザが使いやすいものにする)
 4. プロセスの繰り返し
 (評価→課題発見→解決を繰り返し、完成度を上げる)
 5. ユーザー体験全体を考慮して設計
 (複合的な視点で、UX全体を考慮する)
 6. 専門分野の技能及び視点を含む設計チーム
 (幅広い分野の専門家がいるチームづくりをする)
加えて、4つのSTEPは以下になります。
 1. 調査による利用状況の把握と明示
 (短期間で実施できるアンケートやインタビューで調査する)
 2. 分析によるユーザーの要求事項の明示
 (ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成、ビジュアル化)
 3. 設計による解決策の作成
 (プロトタイプを作成することで、解決策を具体化)
 4. 要求事項に対する設計の評価
 (解決策とユーザーが求めていることの乖離を発見する)

3-8. ブロックチェーンによるトークン化(主流の採用まで:2〜5年)

「3-4. NFT(非代替性トークン)」でも取り上げていたので、詳細は割愛します。
恐らく「3-4. NFT(非代替性トークン)」がコンシューマ向け、「3-8. ブロックチェーンによるトークン化」がエンタープライズ向けかなと思います。

3-9. イマーシブ・エクスペリエンス(主流の採用まで:5〜10年)

イマーシブ・エクスペリエンスは、従来のコンピューティング・デバイス、ウェアラブル、自動車、環境センサ、家電製品といった、人々の周囲に存在する多数のエッジデバイスにわたって、人とデジタル世界がつながり、人がデジタル世界を知覚する方法も変化していくことです。VRやAR、MRなどの技術が進み、デジタル世界を知覚する方法も変化するなど、知覚とやりとりの両方のモデルが変わることで、将来のイマーシブなユーザー・エクスペリエンスが実現することを意味しています。

最後に

内容が多いため、一旦こちらで終了します。
次回、続きから実施してみます。

参考資料

資料①:エッジコンピューティング | IoT用語辞典 | キーエンス
資料②:人間中心設計とは?今さら聞けない基礎知識を丁寧に解説!
資料③:ガートナー、2019年の戦略的テクノロジトレンドのトップ10を発表
資料④:ブロックチェーン、量子コンピューティング……2019年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10──ガートナー発表


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