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「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」を見て、考える - その4 -

今回は、前回の続きから初めていきたいと思います。


3. 「過度な期待」のピーク期(過剰期待の頂、Peak of Inflated Expectations)

ハイプ・サイクルの第二の段階は、世間の注目が大きくなり、過度の興奮と非現実的な期待が生じることが多い状態です。成功事例が出ることもありますが、多くは失敗に終わる状態になります。

3-1. 量子コンピューティング(主流の採用まで:10年以上)

重ね合わせの状態を利用して計算することを量子コンピューティングと言います。n量子ビットあると仮定した場合、重ね合わせによって同時に計算できる量は2^n個となる特徴があり、わずか10量子ビットで古典的コンピューティングの1024bitの計算量となります。また、指数関数的に増えていきますので、30量子ビットで1Gbitの計算量、50量子ビットで1Pbitということになります。
ムーアの法則が近づいていて古典的コンピューティングの限界も迫っている中、GoogleやIBM、Amazon等といった世界的大企業が取り組んでいます。ハードウェア開発だけでなく、NISQ(noisy intermediate scale quantum)用アルゴリズムの開発やノイズ耐性等を加えて、実用的に使えるようになることが期待されているのかと思います。
面白そうであるものの、難しい領域なので、引き続き勉強していきたいと思います。

量子コンピュータの構造と課題

3-2. デジタル・ツイン(主流の採用まで:5〜10年)

デジタル・ツインは「2-9. 市民のデジタル・ツイン」で記載していますので、割愛します。
発展順番が「都市空間のデジタル・ツイン」→「市民のデジタル・ツイン」であると考えており、個人のデータ収集も必要な市民単位よりも、まずは都市空間から実施されていくものだと思います。
こちらのハードルが達成されなければ市民のデジタル・ツインまで実現できないと思われるため、引き続きウォッチが必要かと思います。

3-3. IoTエッジ・アナリシス(主流の採用まで:2〜5年)

これは、データが生成されている場所(IoT端末自身)でアナリティクスを実行することであり、リアルタイムで分析することだと思います。
町中に設置された監視カメラ等が取得したデータをそのまま管理サーバに送信した場合、大きな容量を使ってしまうため、ネットワークやサーバがパンクしてしまう可能性があります。一方、監視カメラ自身で「不審な動きが検知された場合」や「不審者と思わしき人物が通り過ぎた場合」等に限定して送信したり、必要な情報部分のみ加工して抽出して送信したりすることで、こういった問題解決に繋がるかと思います。
ビジネス・モデル次第ですが、実現される日は近いんじゃないかなと思います。

3-4. NFT(非代替性トークン)(主流の採用まで:2〜5年)

NFT(Non-Fungible Token, 非代替性トークン)とは、ブロックチェーンの仕組みを用いて発行されるブロックチェーントークンです。ブロックチェーントークンとは、ブロックチェーン技術を用いて実現したトークンの仕組みと説明できます。
具体的な利用例として、パ・リーグ6球団およびパシフィックリーグマーケティング株式会社と株式会社メルカリが合同で始めた「パ・リーグ Exciting Moments β」があります。これは動画トレーディングカード事業であり、名場面を納めた動画を楽しめるコンテンツになっているようです。こちらにNFTが使われているため、ユーザ間取引にも利用できるようです。また、NFTを普及させるためかは分からないですが、NFT購入者限定で選手との交流機会を提供するなど、さまざまな利用の仕方も模索するようです。こういったことが普及すれば、違法な手段で動画鑑賞を楽しむ方が減り、公式がリリースした動画を楽しむ人が増えていくことが期待されているのかなと思います。

3-5. スマート・ワークスペース(主流の採用まで:5〜10年)

コロナ禍になり、急速にリモートワークの普及が進んでいます。こういった業務環境でより高い成果を出せるために、スマート・ワークスペースが求められているようです。
スマート・ワークスペースを構成する4つの技術とは、「Connectivity and Convergence(コネクティビティとコンバージェンス)」「Video(ビデオ)」「Social(ソーシャル)」「Mobile(モバイル)」だと考えられています。「Connectivity and Convergence」はIoT等であり、「Video」はホログラムやVR、「Social」はゲーミフィケーション(ゲームを通じたコミュニケーション等)、「Mobile」はモバイル会議や変換可能デバイスを意味しています。
「いつでも」「どこでも」「どんなことでも」ということを達成するためには、会社支給のデバイスでなくてもセキュリティ的に安心といった世の中が来るかもしれないため、私はこれに期待してみたいと思います。

最後に

内容が多いため、一旦こちらで終了します。
次回、続きから実施してみます。

参考資料

資料①:量子コンピュータ | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)
資料②:みんなの量子コンピューター
資料③:阪大教授が解説する量子力学と量子コンピュータ(前編)
資料④:エッジアナリティクス:ローカルで即座に知見を得ることのメリットとデメリットについて
資料⑤:NFTとは何かをゼロから分かりやすく解説します - トップコート
資料⑥:国内IT大手もついに本腰、花開くNFTビジネス | 広がるNFT・メタバース経済圏
資料⑦:本当に働きやすい場所はどこ?4つの技術で実現「スマートワークプレース」とは

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