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「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」を見て、考える - その2 -

今回は、前回の続きから初めていきたいと思います。

未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル

2. 黎明期(技術の引き金、Innovation Trigger)

2-7. 6G(第6世代移動体通信)(主流の採用まで:10年以上)

6Gは、2020年頃から開始された5Gの次世代の移動体通信世代です。6Gは2030年頃の商用化が見込まれており、中国と米国が覇権争いを繰り広げています。具体的な要求条件は、超高速・大容量通信(1Tbps、5Gの10倍以上)、超カバレッジ拡張(陸だけでなく、空・海中もカバー)、超低消費電力・低コスト化(無線給電技術を含む)、超低遅延(5Gは無線区間で1ms以下だが、6GはEnd-to-Endで1ms以下)、超高信頼通信(信頼度が99.99999%(セブンナイン)、5Gでは99.999%(ファイブナイン))、超多接続・センシング(1000万台/平方km、5Gの10倍)が期待されています。
更なる通信速度向上にはテラヘルツ帯等の期待もされており、ここまで高い周波数では「電波の距離減衰が激しい」「電波が回り込まず、直線にしか飛ばない」と非常に課題が多いと思いますが、実現できるデバイス・アンテナの製作や、電波伝搬環境を最適化できる街作りを進めることで、6Gがスマートシティと同じく街に導入されていくのではないかなと思います。

6Gで目指す無線ネットワーク技術への要求条件

2-8. 衛星コンステレーション(主流の採用まで:10年以上)

衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を協調して動作させる運用方式であり人工衛星を互いに通信範囲が重ならないよう低軌道または中軌道に投入して、全地表面を網羅します。
小型衛星の低コスト化により、打ち上げ難易度が下がって来ていることから、宇宙関連のビジネスが増えています。そうすることで、これまで以上に宇宙のデータや、宇宙から取得できるデータ自体の価値も高まっており、地上のデータと組み合わせることで更なる付加価値の創出と新しいビジネスの期待が高まっています。
その例としては、通信やリモートセンシングが期待されています。リモートセンシング衛星とは人工衛星から地球上を撮影し、その画像を提供する衛星です。1機の衛星であれば地球上を周回することでセンシングでき、複数台で地球を囲めばリアルタイムでセンシングできるということになります。
高度は1,000km〜36,000kmであり、5G/6Gで期待されるHAPS(高度12〜50km)よりも遥かに高い位置を飛ぶ衛星ですので、通信分野ではかなりの領域をカバーできるものだと考えられます。遅延や干渉、速度等の制限が生まれてくるものの、バックアップ回線としての期待や高精度GPS利用等が期待されていると思います。

2-9. 市民のデジタル・ツイン(主流の採用まで:5〜10年)

そもそもデジタル・ツインとは何でしょうか。
デジタル・ツインとは、リアルの対象物と対になる「双子(ツイン)」をバーチャル空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションなどに用いるものです。スマートシティで注目される技術であり、「現実」をモデリングすることで、仮想空間上で解析・可視化等を行うことが出来ます。
現実世界と連動した仮想世界であるため、リアルタイム性が高く、結果を現実世界にアプローチすることが出来る特徴があります。
バーチャル空間上にリアル空間を作るためには、センシング技術をどんどん高めていく必要があります。カメラで撮影するならエッジコンピューティングで秘匿化する必要がありそうですし、端末をバラまくなら5G/6Gが普及してデータを収集する仕組み作りが必要になるんじゃないかなと思います。他のインフラが発展することが必要不可欠な話であると思うので、中々難しいですが、限定的なところから開発が進んで欲しいですね。

2-10. 振る舞いのインターネット(主流の採用まで:5〜10年)

振る舞いのインターネット(IoB: Internet of Behaviors)とは、個人に焦点を絞ったデータ活用であり、データを使って行動変容を促す促すという事になります。
簡単なところでは、Amazonや楽天では購入履歴から新しいモノをオススメしてくれますし、NETFLIX等もオススメ作品を提示してくれます。Google等もユーザに合わせた広告を提示するといった特徴があります。これが更に発展していき、ウェアラブル端末・自動車の位置情報・顔認識等を用いて、日常の振る舞いですら情報を収集することで、よりリアルな生活での行動変容を促してくる社会が来ているということになります。
これもセキュリティ面での課題があると思いますが、スマートフォンを利用することで行動履歴を追うことは現在でも出来ると思うので、現実的な世の中なのかなと思います。

2-11. 新しいビジネス・アーキテクチャ(主流の採用まで:10年以上)

詳細はわからないですが、ビジネス・アーキテクチャ自体を変えていこうという話だと思います。
これまでは業務モデル自体に合わせてビジネス・アーキテクチャや技術アーキテクチャを作ってきていましたが、これからは低コスト化等を踏まえてクラウド技術等に応じて業務内容自体を作り替えるビジネス・アーキテクチャが主流になっていくと思います。デジタル・トランスフォーメーション(DX)と同じ流れだと思います。
これにより、業務中心の考えからクラウド中心の考え方に変わっていっているため、「如何にシステムを作るか」という考えよりも「如何にシステムを使うか」の方がより必要になってくるものだと思います。

2-12. People-Centric(主流の採用まで:2〜5年)

"People-Centric"は「人間中心」という意味になり、これから発展する技術でも人間に害を与えないようにしようという動きだと思います。
また、組織作りも人間中心にしていく必要があります。従業員自体がコミュニケーションを取り合って、多様性のある社会を実現していく必要があります。「人間中心」とは、自分で自己を決定するために「どうありたいか」と考えることであり、目的主導の考え方が進んでいくのかなと思います。

最後に

内容が多いため、一旦こちらで終了します。
次回、続きから実施してみます。

参考資料

資料①:NTTドコモが2030年代の移動通信を展望 - 日経クロステック ...
資料②:5G の高度化と 6G - NTTドコモ
資料③:通信衛星コンステレーションビジネスとは~参入企業、市場規模
資料④:都市の「デジタルツイン」の構想と可能性 - Accenture
資料⑤:IoB(Internet of Behavior/Bodies)とは|活用例や懸念されるリスク

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