論理的な問題解決②

今回は、前回に続いて論理的な問題解決について記載したいと思う。


前回:論理的とは、主張に正しい根拠の裏付けがあること

前回、「論理的とは、主張に正しい根拠があること」という話を書いた。
また、問題解決に論理性が求められる要因として、情報が足りない段階でも解決に近づくことが出来たり、誤った根拠に基づく主張がないか判断することが出来るためだと記載した。
今回は、まず正しい根拠とは何かについて話してみたい。

1. 正しい根拠とは?

「主張」と「根拠」に加えて、「隠れた前提」というものがある。
この「隠れた前提」がどのように「主張」と「根拠」を結びつけるかについて、下記に述べていく。

1-1. 三段論法

小名辞(S)、媒名辞(M)、大名辞(P)とすると、下記の関係が成り立つ。
 結論(主張):全てのSはPである。
 小前提(根拠):全てのSはMである。
 大前提(隠れた前提):全てのMはPである。
例えば、「根拠:ソクラテスは人間である」「隠れた前提:全ての人間は死ぬ」から、「主張:ソクラテスは死ぬ」を導けるのである。

1-2. 演繹法


演繹は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%B9%B9

Wikipediaによると、演繹法は上記のように定義されている。
先程の例では、「隠れた前提:全ての人間は死ぬ」は一般的・普遍的な前提であり、これを用いてより個別的・特殊的な結論「ソクラテスは死ぬ」を導けているため、演繹法だったということになる。
演繹法の特徴としては、「大前提(隠れた前提)が正しければ、そこから得られた結論も正しい」という点が挙げられる。一方、大前提が偽ならば結論も真とは限らない。

1-3. 帰納法

演繹法とは逆に、個別的・特殊的な前提から、より一般的・普遍的な結論を得る論理的推論の方法が帰納法である。
例えば、以下のような考え方が帰納法である。
 前提1:陸上部のA君は足が速い
 前提2:サッカー部のB君は足が速い
 前提3:野球部のC君は足が速い
 結論:運動部の学生は足が速い
これに「隠れた大前提:陸上部のA君、サッカー部のB君、野球部のC君が持つ特性は、運動部の学生が持つ特性と言える」を命じて、演繹的に説明することも可能である。
この「隠れた大前提が真であれば、結論も真であると言える」という関係があるが、「隠れた大前提が真であると言えなければ、結論も真であると言えない」とも言い換えれる。
今回の「隠れた大前提:陸上部のA君、サッカー部のB君、野球部のC君が持つ特性は、運動部の学生が持つ特性と言える」は真とは言い切れない(3名以外の運動部員もいるはず)ので、結論も真とは言い切れない。
ただし、厳密性を求めなければ使えるし、限られた条件下(この3名のみ考慮すれば良い状況等)であれば結論も真となる。

1-4. 仮説推論

以下のケースを考えます。
 結論(仮説):全てのSはMである。
 小前提(観察事象):全てのSはPである。
 大前提(隠れた前提):全てのMはPである。
これは、「観察事象:全てのSはPである。」を確認したとしても、「仮説:全てのSはMである。」ということが真であるとは限らないということである。
例えば、ソクラテスが死ぬからと言って、全ての人間が死ぬとは分からないためである。
仮説推論は予言のようなものであり、仮説検証によって結論が真であるかどうか調べる必要がある。

1-5. 類比推論

 前提1:AはBと類似している
 前提2:AはCという特性を持つ
 結論:BはCという特性を持つ
これは、仮説推論よりも更に結論が真である可能性が小さいが、より発想的な結論を導出することができる。
帰納法は「複数の個別的な観察事象から、一つの一般的な結論を導出する」ことをしていたが、類比推論では「一つの観察事象から、複数(一つ以上)の結論を導出する」ことをしている。

1-6. 弁証法

定立(テーゼ)と反定立(アンチテーゼ)を統合させ、2つの主張を両立した合(ジンテーゼ)を作り上げる(高次の肯定)。その際、定立と反定立は対立するものでお互い矛盾し合う関係となっているが、この相互対立と矛盾を解消して、正と反の両方の本質を含んだ合を作り上げる過程を止揚(アウフヘーベン)となる。
例は、リンク先を参照して頂きたい。
これも仮説検証をしなければ、結論が真であるかどうかは分からないのである。

2. 問題解決の種類

詳しくは次回とする。


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