物語る私 #不調のダンゴムシ

今週は一つ山を登るか下るかしないととダメかもな、と今私は感じている。

ちょっとじろさんの調子がよくない。


私たちが入籍したのはちょうど一年少し前。
式は挙げず二人で新婚旅行だけ行こうと決めて、役所で入籍だけ済ませた。

そして昨年12月、入籍から3ヶ月がたった頃、じろさんはうつ病と診断された。

そもそも「研究職の人には多い」と主治医にも言われたけれど、仕事の質や量に負荷が大きい他に出張も多く、さらにやり方の合わない上司、先に休職してしまった後輩などの人間関係もあって、一気にダウン。

その日は滅多に泣き言を言わないじろさんが「早退した。今日は早く帰ってきてもらえませんか?」と連絡してきたので、びっくりして予定を全部キャンセルして急いで帰宅したのを覚えている。

そこから二日後には心療内科に出向き、その日のうちに休職した方が良いと勧められた。


復職開始から1ヶ月半、ぼちぼちのペースでじろさんはすごく頑張ってると思う。

休職してる時より今が一番しんどい。
毎朝、「今日は行ける・行けない」を決めないとダメだから。


でも、朝の我が家は、客観的に見るとちょっと面白いとも感じている。

私は毎朝先に起きて朝食を済ませ身支度を整えて、洗濯物を干す直前くらいにじろさんが起きてくる。

そこで「おはよう」と声をかけるけれど、大体は暗い顔をして返事はない。

過干渉はよくないと思いつつ、私はついつい笑って欲しくてふざけてお尻をもんだり、後ろから抱きついて腕を操って踊らせたりして見るけど、もちろんじろさんは元気がない。

仕方がないので、そっとしておいて洗濯物を干しに行く。

すると、行ける日は、そのまま放っておくといつの間にか着替えを済ませ、その日出すゴミを持ってじろさんは家を出ている。
そっとドアの閉まった音で私は「あ、出たな」と判断する。

行けない日のじろさんは、ソファーにダンゴムシみたいになっていたり、
めちゃくちゃ悲しそうな顔で洗濯物を干している私のところまでやってくる。

ダンゴムシ状態はとっても辛いのだが、ちょっと可愛いのでツンツンしたり撫でたりしてみる。(私も元気がない日はそれができなくて、辛さを半分こしようと抱きしめたりしてしまい、半分こどころか2倍にしてしまうような時もある。)


そんなじろさんが、先週、時短勤務ではあるものの平日全て職場に行くことができた。
しかも、今期担当の研究に目処がつくような実験結果が出せたらしい。すごい。

私の転職も決まった先週だったので、週末からはちょっとお互い余裕をかましていたのかもしれない。
今週のスタートで転んでしまったことに、二人とも普段より少し多めにショックを受けている。

ダンゴムシさんはすっかり自信をなくし、今日はずっと唸っていた。

まだまだ繋がっちゃったシナプスを切り離すのは時間がかかることを再認識した。

幸い食欲や睡眠は足りており、唸れる体力が戻っていることに私は少し感動しつつ…

でも喜びすぎないように、今晩は気を引き締めるためにここに記して、じろさんが過ごしたい日を過ごせるようにまた明日からゆっくり一緒に登り直ししよう。

ダンゴムシさんはもう眠っています。

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<物語る私>
妻。紀伊の国出身。三姉妹の長女。最近の趣味は、アルゼンチン音楽手帖で紹介されている音楽を端から聴くこと、shufoo!アプリでスーパーのチラシチェック、漫画アプリ徘徊。スタジオの日が近づかないとベースを練習しないので怒られる。得意料理はナスの揚げ浸しとゴーヤチャンプル。転職が決まってドキドキ中。喜怒哀楽がおおげさ。ペンギンマニア。

<じろさん>
夫。東海地方出身。3人兄弟の末っ子。最近の趣味はジャズギターレッスン(めちゃくちゃうまい)、フリマアプリでエフェクターチェック、ハライチとかオードリーのラジオ。本人曰くフィジカルが大事なので毎日無窮動でギター練習してる。得意料理はローストビーフ。現在うつ病と戦闘中で、慣らし復職中。研究職。いつもニコニコ優しい。音楽に対しては評価が厳しい。ラッコが好き。私より2歳年下なのでたまに敬語。



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