西野夏葉、大いに語る - 「嫉妬の波形」編
――本日は企画への参加、ありがとうございます。まず、今回の新刊についてどんな作品か(タイトル・ジャンル・あらすじなど)を教えていただけますでしょうか。
今回は西野夏葉主宰・ぼっちサークル「真夜書房」の文学フリマ参戦2ndということで、また「文学フリマ東京37」の時に製作したようなアンソロジー本を出そうかと思っていたのですが、結局は引っ越しの準備をしたり出張に行ったり、春雨ヌードルに乾燥わかめを入れすぎてとんでもないことになっているあいだに製作期間を食われちゃって。
そのため今回は、前回の文学フリマ出店時に製作したアンソロジー本と単著本の再販、そして全作が西野夏葉の短編集を一冊作っております。
短編集のタイトルは「嫉妬の波形」なんですが、このタイトルから御理解いただけるとおり、テーマは「嫉妬」で作りました。いつも他人に嫉妬している私なら簡単に書けるだろうと思ってテーマを決めたら、相当の難産でしたね。最終的には帝王切開で産んだ感じです。
――今作は、どのような人におすすめですか?
西野夏葉を識っている人にも、知らない人にも浴びてもらいたいので、つべこべ言わず全員が読んでほしいというか読めと言いたいです。
――この作品を書くきっかけというものはあったのでしょうか?
今回収録した作品の中にもそんな気持ちで書いた作品があるんですけど、人間の根幹で原動力となるものには少なからず「他者への嫉妬」が含まれてるんじゃないかなー、と思ったのがきっかけです。この世界はみんなずっと良い人なままでなんか生きていけないし、心のどっかには絶対「あいつより自分のほうが幸せじゃないと許せない」って存在が一人はいると思うから。
あと、個人的に書けそうなテーマだったのです。みんななかよしどうぶつ村、みたいな話はもう一度産まれ直さないと書けない自信があるんですが、ドロドロネバネバな話は書こうと思えば書けちゃうなー……という永遠にやる気出さない奴みたいな思いがずっとあったので。
――作品全体のテーマやイメージのようなものがあれば教えてください。
私は基本的に現実にありそうな作品しか書けないので(こんな経験あたしにもあったなー)と思ってもらえるようなリアルさを意識して書きました。
意識して書いたけど、意識した結果として書けたかはまあ、知らん。
あとはそうだな……嫉妬って聞くとどうしても男女間恋愛の話を書いてしまいがちなのですが、そうじゃない話も書いています。
――刊行にあたって大変だったエピソードや、苦労話があればお聞かせください。
たぶんすぐ書けるべと思っていたら、2月に凍結した駅の階段で派手に落っこちて手首の骨にヒビを入れたせいで、その後の執筆が遅々として進まなかったことです。
それでもなんとか無理して書き始めたら、今度は何が書きたいのかわかんなくなって、半日パソコンの前でスマホ触ったりしてた日もありますね。
実は、今回はものぐさ全権大使・西野夏葉にしては珍しく「こういう話を書きたいな」と事前に考えてから書き始めたんですが、結局途中で(これつまんねーよ!!!!!いっそ二度と書けないように左手も折っちまえ!!!!!ばか!!!!!!)と全部ひっくり返したりもしたので、思いの外大変でした。
そんなわけで今回の「嫉妬の波形」ですが、一作を除いては完全に新作を収録しております。
骨折してもなんとか書き終えたのに、ANA乗って東京くんだりまで行ってこれが売れなかったらさすがに超泣けるんで、ついで程度でもいいから買ってください。治療費払ったぶんの足しにします。
――執筆にあたって参考にしたものはありますか?(資料や指南本・取材・体験など)
私は過去にも「嫉妬」でいろいろ書いてきたっていうのもあって、困ったら自分の過去作を読み返しました。普段は商業作家さんの本を読むんですけど、引っ張られすぎてしまうので。
あとはまあ、西野夏葉なんてぶっちゃけ妬み嫉みと劣等感を豆板醤で絡めながら炒めたような奴なもんですから(こういうときにこう物事が進んだらすげームカつく)というのを想像しながら書いた感じでしょうか。
――書影・表紙について教えていただけますか。
作品を書き上げないと全体のページ数が決められなくて、なおかつページ数によって冊子の厚さが変わるので、それらにケリがつかないと表紙まわりの作業ができないことについてギリギリまで気づきませんでした。いっぺん本を作ったことがあるやつの所業とは思えません。
だから、だいたい書き上げたあとはもうエイヤーとやったんですよ。なんとかなれーッ、とかいうよりは「イヤーーーーッ!!!!!」でした。それでもうまいこと終わったので「擬態型か〜??」って感じです。
全部の語彙をちいかわに振るのはやめろ西野。死ぬ気か?
――新刊の入手方法・販売場所について教えてください。
5月19日(日)に、東京都大田区の東京流通センターにて開催される「文学フリマ東京38」にて販売いたします。
真夜書房の出店ブースについてのご案内は、こちらのnoteでご確認ください。買うときにはクレカetcもお使いいただけますので「他の欲しい本を買う現金がなくなる」という言い訳は一切聞く耳を持ちません買ってください
たぶん売れ残るので、そのぶんは真夜書房公式BOOTHでも販売予定です。会場に来られなくても無問題。
ちなみに文学フリマ当日は、千羽稲穂さんと隣接出店いたします。
稲穂さんという夜空に燦然と輝く美しいお月さまを眺めながら、月のつくった影と同じ漆黒の闇・西野を踏みつけにきてください。
――読者の方にメッセージをお願いします。
私は創作を抜きにしても、これまで大いなるマイナスをプラスにして生きてきました。他者への嫉妬の気持ちを抱かなければ書けなかったものもあるし、耐えられなかったであろう時間もあります。
だから創作世界において35,000フィートくらい上にいる方々に、この地上からありがとうを伝えたいです。あなたがたのおかげで筆を折らずにいられました。それはそれとして今からあなたがたの家に行くので首根っこだけじゃなく全身すみずみまで洗って待っててください(釘バットを片手に)。
皆さん。
嫉妬の先にある未来への水先案内人は、僭越ながら私・西野夏葉が務めます。
何卒何卒
――最後に、次はどんなものを書きたいか……次作について教えてください!
「文学フリマ東京39」が12月に東京ビッグサイトで開催されるのですが、そこではアンソロジー本をまた作りたいと思っています。
なんにもしないで酒ばっか飲んでいるように擬態しつつ、それに向けていろいろと動いたり止まったり動いたりしていますので、お楽しみに。
西野個人としては、うーん。
その場その場で書きたいものを書きます。書きたくなければ無理をせず、サボってソロキャンプとか行ってチューニングしたいです。
以上。
――インタビューへの回答、ありがとうございました!
お読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、創作活動やnoteでの活動のために使わせていただきます。ちょっと残ったらコンビニでうまい棒とかココアシガレットとか買っちゃうかもしれないですけど……へへ………