見出し画像

居場所が複数あると思えることは幸せかもしれない

長編だけど一気に読んでしまいました。
辻村深月さんの「かがみの孤城」。
ファンタジーになるんでしょうが、フワフワしたところがありません。ズンと重たい。
苦しいシーンが続きます。
でも、やめられない、止まらない。
約7時間、ノンストップでした。
通常は勉強していても私の集中力は20分が限界です。これだけの長時間を飽きることなく没頭するのは、自力では絶対にムリ。
すべて辻村さんの文章の力によるものです。
やさしい言葉で心の複雑な動きを表現され尽くされている文章。なおかつ、しっかり血も通っている。
主人公を始めとして登場人物はみんな、悩み闘っています。それがダイレクトに伝わってくる。
すっかり同調してしまい、何回も涙を溢す有り様でした。

そんな風にして物語の世界に浸りながら、ふとよぎったんです。
人生の悩みのほとんどが人間関係。何度か耳にしたり目にしたりする、いわば常套句です。
その悩みを大きくするのは、自分の居場所がその関係性の中にしか存在しない。そう思ってしまうところにあるのではないか。
別にそれが全てではないし、目新しい発見というものでもありません。
ただ、感情を揺さぶられるような作品に触れると、ストンと腑に落ちてきたんです。すごく素直に。

なので、毎日を限定されたルーティンの中でやりすごすだけではなく、経験や視野を拡げていきたいなぁ、と感じた次第です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?