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HSP勢にもやさしいローカル線の旅・小湊鐵道編(+ウマ娘コラボ)

HSPで内向型人間のオタクがお送りする『オタ語り』。
今回も4,000文字近くと、ちょっと多めのボリュームになっておりますので、サクッと読みたいかたはご注意ください。

今回の投稿は、先日開催された『ウマ娘』と千葉県のローカル線『小湊鐵道』のコラボキャンペーンに参加した際の旅行記をかねて、『ローカル線への想い』を綴ってみたいと思います。


ローカル線の優しさが身にしみる

さて、私はオタクの中でも、「HSP」と「内向型人間」という特徴を持っておりまして、活動的な方々とは違い、イベントなどに参加するのも腰が重いタイプの人間であります。

そんな私なので、「テーマパーク」のような、世間一般では人気を集めている施設が苦手です。

「人混み」「行列」「大きな音」「光の点滅」といった刺激に敏感な私は、そのような場所はなるべく避けつつ、無理せずオタクライフを楽しんでおりますが、やはり時には外に出かけて見聞を広めたい欲求もありまして。

そんなHSP勢の人間にとって「ローカル線」は実に優しい交通手段であります。

そもそも自動車の運転免許は持っていない私ですし、クルマという移動手段は、案外「自分のペースで」走るのが難しくもあり。
のんびりと運転していたら、きっと周りの人にイライラされてしまうことでしょう。

その点、公共交通機関というのは、確かに周りの目が気になるHSP勢にとっては厄介な部分もありますが、それを補って余りある、「自分のペースで移動できる」という利点があります。

ローカル線の場合、運行本数が少ないというのがネックにあげられることも多いのですが、逆に言うと「余裕をもってスケジュールを立てやすい」という一面があります。

クルマは、「時間に縛られない」という利点があるかもしれませんが、自分にとっては、逆に「運行時間があらかじめ決まっている」方が逆に旅行計画を立てやすいタイプなのです。

さらに「ローカル線」は、「あまり混雑しない」という面でもHSPタイプにとっては嬉しいポイントで、また沿線の風景も自然豊かでのどかなことが多く、時間に追われて旅をすることも少ないのがメリットでありまして。

上総牛久駅

年月を重ねたからこその、旅情感が感じられる車両などもまた、風情があってほっこりした気持ちになります。

『ウマ娘』とのコラボ

さて、私は初投稿の際にも記しましたが、「女子スポーツ作品」をこよなく愛する変わり種のオタクでして。

ウマ娘 プリティーダービー』という競走馬をモチーフにした作品も当然ながら応援しております。

そんな『ウマ娘』のアニメ3期(昨年TV放送)作中にて、千葉県のローカル線である『小湊鐵道』と『いすみ鉄道』と思われる路線が登場していたことが話題になりました。

千葉県の熊谷知事もSNSにてコメントしておられました。

鉄道とアニメのコラボというのは比較的よく行われており、以前は『ガールズ&パンツァー』の舞台になった大洗町を走る鹿島臨海鉄道のラッピング列車などを見に行ったりもしました。

大洗鹿島線

『ウマ娘』が千葉県のローカル線とコラボした経緯は良く存じ上げないのですが、「馬立」という駅が小湊鐵道に存在し、「」にちなんだ駅名を作中に登場させたかったというのが理由の一つにありそうな気がいたします。

養老渓谷駅でキタサトがお出迎え

「集める」のが楽しいのはオタクの性?

今回の小湊鐵道でのコラボでは、ローカル線の定番ともいえる「スタンプラリー」が開催され、指定された各駅を巡ってスタンプをすべて集めると、記念に景品がもらえるというもの。

商品はオリジナルクリアホルダー

私はオタクではあるのですが、物質主義的な価値観にはあまり染まりたくないので、普段グッズ類はほとんど買うことはないのですが。

今回は、ローカル線の応援という意味合いもあり、一日乗車券を買ったり、缶バッジを買ってみたりしました。

4駅でコンプリートできるお手軽な仕様

トレーディングカードや、ゲームでのアイテム集めなど、とかくオタクは「収集すること」が好きな傾向があり、私もその点は非常に理解できるので、スタンプを集めつつ、周辺の沿線風景などをまったりと楽しむことができました。

上総大久保駅

どこか懐かしい、駅舎や車窓から眺める街並みなど、「ローカル線ならでは」の風景というのはいつまでも残ってほしいと願います。

クルマを中心としたロードサイドモデルの地方都市というのは、どこも似たような景色になってしまい、衰退を招いてしまっている面もあると思うので、個人的には鉄道を中心にした街づくりというものの価値を今一度見つめなおしてほしいというのが私の希望です。

「人口減少社会のデザイン」の著者である《広井良典》氏の「商店街の復権」という著作が個人的にすごく共感したので、持続可能な社会に向けてこうした動きが自治体や市民からもっと広がっていくと、社会に活気が出てくるのではないでしょうか。

「稀少性」をもとめて

トレーディングカードにおける「レアカード」。

一般人にとっては"ただの紙"かもしれませんが、マニアにとっては喉から手が出るほど欲しいということもあり、高額な値が付くこともしばしば。

オタクというのは、この「稀少性」にも弱いという性質があり、例えばソーシャルゲームの「ガチャ」などにおいても、そうしたレアアイテムを求めて多くのプレイヤーがそれらを獲得するためにしのぎを削っています。

私もオタクではあるのですが、人と競争してまで欲しいというタイプではないので、誰とも争わず、かつ稀少性が高いものを求めて旅をすることがしばしば。

実は今回訪れた「小湊鐵道」沿線では、たびたびアート関連のイベントが開催されており、私も何度か訪れたことがあります。

「いちはらアート×ミックス」というイベントが3年に一度開催されたり、また沿線には「市原湖畔美術館」というアートの拠点が存在したり。

ICHIHARA ART × MIX 2020+

都市のアートとはまた違った、ローカルな風土というランドスケープを使ったアート作品というのは、やはりその土地ならではの稀少性を感じるものがあります。

ICHIHARA ART × MIX 2014 高滝駅の猫

2019年には木更津に「KURKKU FIELDS」という農とアートをテーマにしたサステナブルな複合施設がオープンしているので、いずれは訪れてみたいと思っています。

「都市」のコンテンツというのは、どうしても合理的で効率が重んじられるきらいがあり、HSP気質のある私とはあまり相性が良くないので、これからもローカルな場所にある温かみのある作品や雰囲気を求めていきたいと思っています。

田舎に行こう!

先ほど紹介した「いちはらアート×ミックス」をはじめ、「瀬戸内国際芸術祭」や「越後妻有 大地の芸術祭」といった、ローカルな土地で行われるアートフェスティバルのディレクターでもある《北川フラム》氏は語ります。

20世紀は都市の時代だった。人類の進歩は都市のもつ可能性に委ねられていた。しかし都市が万能でなかったことはご存知の通り。都市の美術に賭けていた美術も、都市が病み、痛むにつれて、都市の病のカルテを発行するようになり、民衆の支持を失った。

基調講演 生理としての都市デザイン(http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/judi/forum/forum15/fk002.htm)

今、都会にいる多くの人たちは、長時間労働や、変わり映えのしない仕事に倦み疲れ、病んでいるのが実情ではないでしょうか。

テレワークなどが発達し、場所や時間に囚われない生き方が可能になったことで、都市から農村部に移住している若い人たちも増えています。

自分自身も、「二拠点生活」や「デュアルライフ」といった、都市以外の場所で自分の生き方を模索することを考えています。

「地域再生」は、確かに簡単にはいかない部分があるかもしれませんが、日本はこのまま東京一極集中型の社会でいいのでしょうか?

HSPで内向型人間である私も、「生きづらさ」を感じる中で、ローカルな場所におけるアート作品やイベントなどを通して、自分の人生がリフレッシュしたり、前向きになったことがたくさんありました。

特に「ローカル線」を持つ地方自治体は、世間一般では赤字でお荷物扱いされている部分があるかもしれませんが、やり方次第では地域経済活性への起爆剤になる可能性を秘めています。

先日訪れた小湊鐵道と同じ千葉県のローカル線「銚子電鉄」も、平日ながら多くの乗客が訪れる盛況で、かつては廃線の危機と言われていましたが、今では黒字化を達成しています。

銚子駅 2024年2月

少子化や高齢化、地方の疲弊といった課題を抱える日本社会ですが、ローカル線がきっかけとなってその価値を見直される事例が相次いでいます。

廃止論が優勢だった只見線は、海外の乗客の一言がきっかけで人気を集め、見事に復活を果たしました。

「この街には何もない」と言っていた地元の人ですら、諦められていたローカル線が、実は海外の人にとっては宝物のような貴重なものだった、というエピソードは、「我々がまだ気づいていない素敵なもの」が、日本の地方にはたくさんある、と教えてくれている気がします。

さいごに:ローカル線の価値に気づいてほしい

ここまで長々と書いてきてしまいましたが、やはり今の日本社会というのは、あまりにも「効率」や「採算」を重視しすぎて、「本当に大切なもの」というのを失っている気がします。

「ローカル線沿線」には、「手間をかける」「丁寧に生きる」「人との交流を大切にする」といった価値観が根付いており、今回の小湊鐵道の乗車に際しても、駅のスタッフや沿線の方々の快い対応がとても印象に残りました。

都市部では見逃されがちですが、やはり「懐の深さ」というか、「周りを見る余裕」のようなものが農村部には感じられる気がします。

HSP勢で内向型人間ゆえ、あまり外に出る機会がない私ですが、次回もローカルな場所でのイベントがあればまた訪れてみたいと思った小湊鐵道での体験でした。

キタちゃんがお礼を言いたいようです

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