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HSP勢オタクの"希望"

前回、note初投稿にして、想定以上の"スキ"を頂いたことが嬉しくなってしまい、その勢いで2回目の投稿を描いてしまっている私です。
反応いただいた皆様、ありがとうございます。


私は、前回の初投稿で紹介した通り「女子スポーツ」に関するアニメや漫画・ゲームといった二次元サブカルチャー作品を愛し続けて25年以上となる者でして。

なぜそのようになったかという経緯を前回は軽く触れただけでしたが、今回はその大きな要因である「HSP (Highly Sensitive Person)」という気質について語っていきたいのでして。

HSP」という言葉は近年こそよく使われるようになってはきましたが、それまでは「敏感」「神経質」という括りで片付けられていたような気もします。

HSP研究家の《上戸えりな》さんが執筆した書籍『HSPの教科書』の中の定義によると、

・いろんなことに気づきやすい。
・些細な仕草・言動から相手の意図を読み取ることができる。
・いろいろなものに深く感動できる。
・周りからは気にしすぎ、考えすぎと言われる。
・騒音が苦手。
・団体行動が苦手。

上戸えりな / 「HSPの教科書」 Clover出版

繊細・感受性が豊か」そんな気質を持つタイプの人を指す、とされています。

自分からは「私は繊細な人です」と声に出して言うのは憚られるところですが、上記の特徴にほぼ当てはまっているので、2010年代後半あたりからようやく自分は「HSP」だったのだ、という意識が定着してきました。

重要なのは、「HSP」とは病気ではなく本人の生まれ持った気質であり、個性である、ということです。
もし、上記の特徴を見て、自分が「HSPかもしれない」と思った方も、安心してください。
それはあなたが持つ素晴らしい生まれ持った能力なのです。

マイノリティーが生きにくい日本社会

この日本で生きていると、良く感じることは、日本では学校教育から社会での振る舞いまで、「人と同じでなければならない」ということを求められることです。

私は昔からマイナー志向であり、人と合わせるのが苦手だったので、この点ではかなり苦労しました。
学生時代は不登校でなんとかギリギリの出席日数で高校までやり過ごし、大学は人付き合いが苦手で数か月で退学、社会に出てからも「会社員」の仕事が合わずにフリーランスや個人事業主などを転々としつつ現在まで生きております。

アニメや漫画でもよく「陽キャ」とか「陰キャ」といったわかりやすいカテゴライズで登場人物のキャラクターが分類されることが良くありますが、この世界ではどうしても「外向型人間」と「内向型人間」では「外向型」の方が割合が多いため、「外向型人間からみた価値観」が主流になり、重視される傾向にあります。

とはいえビル・ゲイツやガンジーやらウォズニアックといった内向型人間といわれる方々が世界をより良くしてきた一面もあるわけで。
そうした方々への関心や理解がより深まっていくことを願いつつ。

HSP」と「内向型人間」は厳密に言えば同一の概念ではないのですが、自分は両方の気質を持っていたため、社会の中で人と交わることに苦労しました。

オタクへの道

そんな私だったので、学生時代はいわゆるカースト最底辺という存在ではあったのですが、幸いにして高校は難関といわれる進学校に進むことができ、そこは理系大学の付属であったために「オタク」気質の人が多かったので、アニメや漫画といった作品に触れる機会が増えたのでした。

ただ、前回のnote初投稿でも触れたように、私は人が傷ついたり争ったりする描写が苦手だったため、メインストリームの作品(いわゆるバトルもの)を見るとショックを受けてしまうため、極力避けていたのでした。

なので、今でもオタクでありながら『ガンダム』や『エヴァ』といった作品の知識がほとんどありません…

しかし、そんな中途半端オタクの私を救う存在が1998年に発売された女子スポーツ作品群だったのです。
(作品タイトル等はnote初投稿を参照していただきたく)

大切なことはすべて女子スポーツ作品が教えてくれた

世の中で人気のあるバトルものやファンタジー作品の多くは、「敵」と「味方」に分かれて戦います。
近年の作品では、それほど境界が単純ではなくなってきてはいますが、自分の中ではどうしても、「敵側」つまり敗れた側に対する眼差しというものが気になってしまうのです。

前述の「HSP」気質であり、マイノリティー側でもある私は、主人公サイドよりもむしろ、相手側の気持ちというものを常に気にかけてしまう傾向があります。

しかし、スポーツ作品の場合、戦いという側面もありつつ、その試合はあくまでも「競技」、つまり"技を競う"、という根本があるので、その競う相手に対する「リスペクト」を深く感じることができる描写が多いのです。

一定のルールの下で行われるスポーツには「公平さ」が求められます。
不公正な事柄がまかり通る現代にあって、スポーツでの勝負は実に明快です。
実力のあるものが勝ち、鍛錬を怠れば敗れる。
様々な作戦を練り、磨き上げてきた技を駆使してぶつけ合う中で、対戦した相手にも敬意が芽生えてくる、そんなスポーツ作品が数多く存在します。

加えて、男子スポーツ漫画では、わりと「泥臭い」描写が多く、闘争心がむき出しの登場人物が目立つ一方で、女子スポーツ作品は「爽やかさ」を前面に出したタイトルが多い印象があり、HSP気質の自分にとってはそれらの作品がとても「居心地が良い」感覚だったこともあり、くすぶっていた若年時代の自分にとって「女子スポーツ作品」はものすごく有難い存在でした。

漠然と「競争社会」に対する違和感を覚えてもいた当時でしたが、女子スポーツ作品を通して、これは「競技」なのだ、という考えに転換してからは、自分の中で世間の荒波を乗り越えていくための技を磨き上げて、作中のヒロインたちのように前を向いて生きていこうという決意が固まった時期でもありました。

挫折を乗り越えて

日本社会では特に、「一度レールを外れた者」が再チャレンジしにくい社会でもあります。
日本人MLBプレイヤーの先駆者でもある《野茂英雄》選手は、今でこそ非常に評価されていますが、実はMLB挑戦を表明した当初は世間からの支持を得られていませんでした。
(活躍すると手のひらを返したかのような絶賛ぶりでしたが…)
これは日本社会が「挑戦すること」に対して冷ややかな反応を示す、ごく一例にすぎません。

例えば、私のように不登校やひきこもりを経験したもの、あるいは罪を犯して出所した人、外国から来た人、そして障害を持っている人など…
「メインストリーム」ではない人に対して、日本は残念ながらとても冷たい社会ではないかと思うのです。
そうした人たちが再チャレンジできる社会になってほしいとも思いつつ。

しかしスポーツの世界では、年齢・国籍・外見などに関係なく、実力があれば活躍することができます。
残念ながら女子スポーツの注目度に関しては日本はまだまだですが、女子野球作品『大正野球娘。』のように、女性の社会進出が一般的でなかった時代でも諦めずに努力するヒロインたちを見ていると、自然と応援したくなってしまう私なのでした。

仲間で、ライバル

近年における女子スポーツ作品最大のヒット枠ともいえる『ウマ娘』では、登場する個性的なヒロインたちは助言などをくれたりもしますが、時には競う相手として壁になって立ちはだかります。

しかし、ヒロインたちにとって他のキャラクターは"蹴落とす相手"ではなく、"仲間で、ライバル"。
(アニメ2期OP『ユメヲカケル!』の歌詞にも登場しますね)

他にも、例えば一般的に「アイドルもの」と世間で認識されている『ラブライブ!』シリーズは、実は「青春部活もの」だと私は解釈しています。
(過去にブログでスポーツと『ラブライブ!』の親和性について言及したエントリがありますのでご参考に)

ラブライブ!』シリーズの歴代ヒロインたちは、基本的にスクールアイドルの大会に出場するために切磋琢磨する展開になっており、そうした意味で、「競技」に参加するアスリートという側面もあると思っています。

そんな『ラブライブ!』シリーズのうちのひとつである『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』においても、「仲間でライバル」というテーマが描かれます。

お互いが競う相手でありながら、「仲間」で「ライバル」という宣言を堂々とできる作品というのは、特に女子スポーツ系の作品に顕著にみられる気がしています。

過激な表現が増す現代

時代が進むにつれて、既存の表現では飽き足らず、バトルやアクションはより派手になり、バイオレンスやドラッグなどの描写もより過激になる傾向が強い現代。

もちろん、それらを否定するつもりはありませんが、自分のようなHSP気質の人間がいることも知っていただきたいし、そうした「繊細さ」を持つ人間でも楽しめるエンターテインメントがもっと増えてほしいとも願います。

むしろ、そうした残虐な表現に頼らずとも、前述した『ウマ娘』『ラブライブ!』のように評価を得てきた作品があることを嬉しく思いますし、今までアニメや漫画に触れてこなかった人たちにも刺さる作品が女子スポーツものには数多く存在するので、その応援もしていきたい私なのでした。

イベントには参加したいけど…

HSP気質のオタクにとって、特に厳しいのは「イベント」関連ではないかと思います。
オタクにとって重要で著名な『コミックマーケット』通称コミケや、声優キャストさんなどによるトークショーやライブなど。

  • 混雑・人混みが苦手

  • 大きな音、ビビる

  • 光の点滅などに敏感

という傾向が強いHSPにとって、イベントは非常にハードルが高い存在です。
(なので『ラブライブ!』は好きだけどキャストさんのライブには一度も行ったことがない私です…)

コミケに関しては、人が少なくなる午後に行くとか、工夫することで対処できるようにもなりますが。
ライブやイベントなどもコロナ禍によって配信が増えてきたことは、HSP勢にとっては、実は嬉しいポイントだったりもします。

そもそも、人と会話するのが苦手勢でもあるので、同志が集まってのオフ会などは殆ど経験がない私ですが…

そういう意味では、インターネットという存在はHSP勢のオタクにとって無くてはならない存在なのかもしれません。

まぁ、イベントでしか得られない養分があると思うので、そこに苦なく参加できる非HSP勢の方々が羨ましくなることもありますが…
それでも、自分のHSPは他の人が持っていない個性なのだと思えるようになったことで、最近はずいぶん前向きに生きられている気がします。

HSPだからこそ気が付けたこと

私が日本唯一(自称)の女子スポーツ作品専門ブログを立ち上げられたことも、ある意味では「女子スポーツ作品の魅力に気が付けた」からだと思うので、これからもこの特性は大事にしていきたいです。

「人と違う」ということがネガティブに解釈されやすい日本社会ではありますが、皆と違う感性を持っていたからこそ、女子スポーツ作品愛を貫けている面もあると思うので。

また、HSPの特性として、
・環境の微妙な変化に良く気づく
・豊かな想像力を持つ
・すぐに感動する

という面があり、これらは作品鑑賞の際にプラスに働くことも多々あります。
作中に秘められた、目立たないちょっとしたエピソードにわくわくしたり、登場人物の考えていることが手に取るように理解できたり…

他人からみて「駄作だ」と思われていたものでも、結構「面白い」と思えたりすることも多いので、(欠点をすぐに見つけてしまうというマイナス面もありますが)人が気づかない魅力にこれからも気づいていけたらいいな、と思う女子スポーツ作品好きのHSP勢オタク、というややこしい存在の私を今後ともどうぞよろしくお願いします。

マックちゃんがお礼を言いたいようです


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