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ユー・アー・ノット・アローン「私」の中のマイケル・ジャクソン

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※この小説は、カクヨムに連載していたものと同じです。 『マイケル・ジャクソンの魂に、触れたいと思った。』 学校の必修科目である「総合探求」の題材に迷う、マイケル・ジャクソンが…
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ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

エピローグ「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」

 映画「フォレスト・ガンプ」の有名な台詞。まさに、そんな3ヶ月間であった。それまで何となくマイケルが好きなだけだった私は、一冊の本との出会いを切欠に自分の世界を広げる事が出来た。

 しかしそれは、自分一人だけでは成し遂げられなかった事だ。イベントも、ダンパも、情報を教えてくれる人、企画する人、スタッフ、パフォーマー、様々な人の想い

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#4 ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

第4話「THIS IS IT」 台風一過の暑さが厳しい8月中旬の土曜日。私は江古田のライブハウスへ足を運んだ。今日は「MJ DANCE PARTY」通称「ダンパ」。私が生まれた2000年から続く、マイケルのファンイベントだ。生まれて初めてのダンパで、今日この日を楽しみにしていた私は、前々からダンパの為に用意していた「バッド」の衣装に身を包み、会場へ入っていった。

 DJタイムが始まると、沢山の人

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#3 ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

第3話「Scream」 夢の様なイベントから一ヶ月。私はまたHONG-KONG SPOTで踊っていた。

 今日は、6月25日。マイケル・ジャクソンのファンなら誰もが忘れられない日だろう。彼が亡くなってから、今日で10年が経つらしい。あの日、私はまだ小学生で、マイケルの存在さえ知らなかった。だけど、今はこうして彼の遺した曲を踊っている。

「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」「バッド」「今夜はビ

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#2 ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

第2話「Xcape」 赤羽駅西口を降りて、右に真っ直ぐ進むと険しい坂道がある。星美学園を左に曲がり、ようやく今回のイベントの会場である児童養護施設「星美ホーム」に辿り着いた。まだ開演前だというのに、大勢の人が集まっていた。いよいよここで尾藤さんのパフォーマンスをお目にかかれるのだと思うと、嬉しさと緊張が混ざって不協和音を奏でる。

 学校でいう体育館のような建物が「サローネ」というそうで、今回のイ

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#1 ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

第1話「MICHAEL」 書籍を購入した数日後、私は物語の舞台となった場所に何ヵ所か足を運んだ。所謂「聖地巡礼」である。池袋、所沢航空公園、舞浜…そして最後に訪れたのが、「HONG-KONG SPOT」。尾藤さんを「インパーソネーターとして育ててくれた大事な人」である「コングさん」が経営するスタジオだ。スタジオのレンタル料金は一時間で1500円。外観の写真を撮るついでに、趣味で始めたダンスの練習で

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ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

プロローグ「『僕』はマイケル・ジャクソンに殺された?」

 ネットでなんとなくマイケル・ジャクソンの事を漁っていたら、こんな衝撃的な文章を見つけてしまった。どうやら連載小説のタイトルらしい。そのタイトルに度肝を抜かれた私は、恐いもの見たさでリンクを踏んだ。

 そこに書かれていたのは、「インパーソネーター=究極の物真似」という未知の世界。マイケルに限りなく近付けるパフォーマンスをするインパーソネー

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