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東京オリンピックでの東南アジアの活躍

東京オリンピックは、日本のメダル獲得が話題になりましたが、世界のいろんな国も頑張りました。サンマリノ、ブルキナファソ、トルクメニスタンなどが史上初のオリンピックでのメダルを獲得しています。今回のオリンピックでは史上最多の205の国と地域が参加していますが、今まであまり聞いたことがなかった国も数多くありました。

アジア圏では、中国や日本はメダルが多くて当たり前の感じですが、東南アジアの国も活躍しました。インドネシア、タイ、フィリピンなどでは、それぞれ金メダルを含む複数のメダルを獲得しましたが、それぞれ国を挙げての大ニュースとして盛り上がりました。

今年になってから、日本では、新型コロナの感染拡大と、オリンピック組織委員会の様々な問題で、オリンピックの開催そのものが不安視されていました。オリンピックを本当にやるのかどうかという不安もあり、東南アジア各国も6月くらいから感染が急拡大していて、海外渡航そのものも心配だし、練習も思うようにできなかったのではないかと思います。

そんな状況の中で、選手たちは日本にやってきて、戦いの舞台で実力を発揮し、メダルを獲得しました。それは賞賛に値することだと思います。2020年東京オリンピックにおける東南アジア各国の活躍についてまとめておきたいと思います。

インドネシア

インドネシアは、金1、銀1、銅3というメダル数になりました。

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金メダルを獲得したのは、バドミントン女子ダブルス。8月2日に行われた中国との決勝で、グレーシア・ポリー選手(Greysia Polii, 1987年8月11日生まれ)とアプリヤニ・ラハユ選手(Apriyani Rahayu, 1998年4月29日生まれ)のペアは、中国ペアをストレートで打ち破り、金メダルを獲得。報奨金の金額は50億ルピア(約3806万円)とも言われています。

グレーシア・ポリー選手は、ジャカルタ出身のキリスト教徒、アプリヤニ・ラハユ選手はスラウェシ島出身のイスラム教徒。イスラム教徒が大半のインドネシアなのですが、スポーツは宗教を超えるんですね。

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インドネシアで銀メダルを獲得したのは、7月25日に、重量挙げ男子61キロ級に出場したエコユリ・イラワン選手(Eko Yuli Irawan, 1989年7月24日生まれ)。イラワン選手はスマトラ島南部のランプン州メトロ市の出身。

インドネシアの銅メダルは、重量挙げ女子49キロ級のウィンディー・アイサー選手、重量挙げ男子78キロ級のアフマト・アブドラー選手、バドミントン男子シングルスのアンソニー・シニスカ・ギンティン選手でした。

タイ

タイは金1、銀0、銅1という結果でした。

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金を獲ったのは、女子テコンドー49キロ級のパニパック・ウォンパッタナキット選手(Panipak Wongpattanakit, 1997年8月8日生まれ)。「テニス」という愛称のパニパック選手は、準決勝で日本の山田美諭(やまだみゆ)選手を破った選手です。

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リオでも銅を獲っていますが、今回の報奨金は1000万バーツ(3340万)とも、それ以上とも言われています。一躍国民的スターとなったテニス選手は、すでに地元に帰っていますが、こちらの写真はプーケットの空港で父親に挨拶をしているパニパック選手です。

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タイの銅メダルは、ボクシング女子ライト級のスダーポーン・シーソーンディー選手、愛称テウでした。

フィリピン

フィリピンは金1、銀2、銅1という結果でした。

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7月26日に行われた重量挙げ55キロ級で、ヒディリン・ディアス選手(Hidilyn Diaz, 1991年2月20日生まれ、ミンダナオ島西端のザンボアンガ出身)が、中国を破り金メダルを獲得。五輪出場は4回目ということで、前回のリオでは銀を獲っています。地元メディアによれば、報奨金は一億ペソ(2億円以上)になるという噂も。(金額に関しては裏が取れていませんので、正確でない可能性はあります)

ディアス選手は、空軍に所属しているようですが、西フィリピン海での中国との領海問題に関して「中国に雪辱を」ということを今回のモチベーションとしていたようです。

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フィリピンで銀メダルを獲得したのは、ボクシングフェザー級のネスティ・ペテシオ選手(Nesthy Petecio, 1992年4月11日生まれ)、ミンダナオ島出身の選手です。日本の入江聖奈選手との決勝戦で敗退した選手ですね。また、ネスティ選手は、LGBTQを公表している選手です。

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もう一つの銀メダルは、ボクシング男子フライ級のカルロ・パアラム選手(Carlo Paalam, 1998年7月16日生まれ)です。準決勝で田中亮明選手を破った選手です。

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フィリピンの銅メダルはボクシング男子ミドル級のユミル・マルシアル選手です。

マレーシア

マレーシアは銀1、銅1という結果でした。

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8月8日に開催された男子ケイリンで、モハメド・アジズルハスニ・アワン選手(Mohammed Azizul Hasni Awang, 1988年1月5日生まれ)が銀メダルを獲得。前回のリオで銅を獲得している選手ですが、銀メダル獲得でマレーシアが湧いています。

銅メダルは、バドミントン男子ダブルスのアーロン・チア選手とウーイック・ソー選手のペアでした。

その他の国

シンガポールは、卓球や、水泳などメダルが期待されていましたが、今年はメダルの獲得は残念ながらゼロでした。ベトナム、カンボジア、ラオス、ブルネイも、メダル獲得はできませんでした。

ミャンマーも2名の選手が参加しましたが、本国がスポーツどころの状況ではありませんでした。オリンピックに参加したかったアスリートも数多くいたに違いありません。

5月にサッカー・ワールドカップ・アジア2次予選のために来日し、日本と対戦したミャンマー代表チームでしたが、ピエリアンアウン選手が、クーデターを起こした国軍への抵抗を示す「3本指」を掲げるということがありました。「帰国すると迫害を受ける可能性が高い」として、空港で帰国を拒否、日本政府に保護を求め、入管難民法に基づく緊急避難措置として6か月の在留と就労が認められました。ミャンマーにいるピエリアンアウン選手の家族が無事であることを祈ります。

さらに強くなる東南アジア選手

新型コロナの感染拡大で、東京オリンピックの準備も、練習も大変だったかと思います。フィリピンのヒディリン・ディアス選手などは、一年以上マレーシアで練習をしていたということです。また、これらの国からオリンピックに参加した選手たちは、国に帰る際に検疫隔離なども受けなければならず、スポーツだけに集中していられない状況だったかと思います。

それでも、ひとたびメダルを獲得すれば、一躍その国のヒーローとなり、さらに莫大な報奨金をもらえることになります。そのようなサクセスストーリーに影響されて、多くの少年少女が、一攫千金の夢を追って、スポーツを志すようになるのでしょう。東南アジアの国々は、人口規模も大きく、スポーツをバックアップする経済力も拡大していくので、今後ますます強い選手たちが登場してくると思います。東南アジアのスポーツ選手、今後も注目していきたいですね。日本もうかうかしてはいられないと思います。



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