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シンガポールでワクチンの第三回接種を終え、日本に帰国した私が感じた違和感

シンガポールから日本に帰国してから2週間が経過し、自宅での待機期間が先週、無事に終了しました。ここではこの待機期間の実態に関して簡単にレポートするとともに、その期間に感じた日本でのワクチン接種やコロナ対策に関して感じたいくつかの違和感に関して書いておきたいと思います。

水際対策としての日本の待機期間


オミクロン株の世界的蔓延を防ぐため、水際対策が強化され、シンガポールから帰国の場合は、帰国後14日間の自宅あるいは宿泊所での待機が必要になっており、以下の項目を守ることが要請され、入国時、誓約書に署名が必要でした。
1)14日間、宿泊所又は自宅で待機。他者との接触を行わない。
2)14日間、公共交通機関を使用しない。
3)14日間毎日、アプリでの健康状態報告、通知が届いたら位置情報の送信、また指示が来た場合はスマートフォンのカメラをオンにして応答。
4)14日以内に有症状になった場合、「受診・相談センター」に電話連絡。
5)以下の感染拡大防止対策を行う。
  *マスクの着用
 *手指消毒、こまめな手洗い
 *3密を避ける

14日間は、「隔離期間」ではなく、「待機期間」と記載されています。完全な隔離ではなく、食料や生活必需品の調達のため、近所のコンビニなどに行くことは認められております。

シンガポールで経験した隔離

シンガポールでは、過去14日間滞在していた国によって、また国民、永住権保持者、エンプロイメントパス保持者などによって、条件が異なりますが、隔離機関中はホテルや自宅のドアから一歩たりとも外に出ることは禁じられていました。

2021年2月から後半に一時帰国からシンガポールに戻った私たち夫婦は、2週間のホテル隔離が必要でした。当時、隔離にはMOM(人材省)の許可が必要で、隔離施設(ホテル)での滞在費用と隔離終了時のPCR検査の費用の事前支払いが必要でした。PCR検査は、渡航72時間前と、シンガポール到着時にも必要でした。ホテルは自分では選択できなかったのですが、私たちが隔離を行なったホテルは、食事も含めて非常に満足のいくものでした。

その後、何度か条件は変更になりました。一時、日本に帰っていた妻が10月にシンガポールに戻る直前、日本からの渡航者の隔離期間は2週間が1週間に急に短縮されるということがありました。隔離先も、自宅か、自分で手配した宿泊先でよいということになっていました。

渡航者ではない私は自由に出歩けるので、私が1週間ホテルに滞在し、妻が一人で自宅で隔離することにしました。同じ旅程でない限りは、自宅隔離の場合、他の人間が一緒にいてはダメなのです。

妻は空港でGPS装置と、腕時計のようなGPS端末を渡され、隔離が終わるまでGPS端末を付けたまま生活する必要がありました。隔離期間中に一度、指定された場所でPCR検査を受けるための外出は必要でしたが、それ以外は、自宅から一歩も外出はできませんでした。

シンガポールの場合、隔離場所から勝手に外に出てしまったことが判明した場合、ビザの剥奪などの厳しい制裁が課せられる可能性があるので、隔離中はじっとしていないといけませんでした。

日本での待機期間の実態


日本の場合、入国時に誓約書にサインするのですが、待機期間中は、生活に必要な外出は認められています。しかしながら、一日に2、3回、アプリから現在地の確認連絡が届きます。時間はランダムですが、メッセージが届いたら、アプリのボタンを押さなければなりません。もし、待機場所から離れた場所でそれを押した場合、遠く離れすぎているので、待機場所に戻るようにという警告が表示されます。

一日に一度は、ビデオ通話で自分と室内の背景を約30秒間撮影しなければなりません。突然電話が鳴り、アプリの動画機能が自動的に立ち上がります。自分の顔を画面に入れて、30秒経つと自動的に通話は切れます。

この電話を受けそびれると、時間をおいて再度かかってきます。ビデオ通話は14日の間、一日一回必ず必要のようですが、一回以上はありませんでした。午前中のこともあれば、午後や夕方のこともありました。

また、健康状態報告で体温が37.5度以上だったり、発熱や咳などの症状はないかどうかの確認を一日一回アプリで報告しないといけないのですが、これを忘れていると、催促するメッセージが表示されます。

ということで14日の待機中は、この現在地確認やビデオ通話がかかってくるのが気になって、近くのコンビニに買い物に出るのもタイミングも注意が必要でした。いずれにしても、この14日間、アプリでの毎日の確認を何とか無事にクリアーできたので、ほっとしています。

ブースター接種と日本で感じた違和感

シンガポールから日本に帰ってきてから、いろんな点で違和感を感じたのですが、ワクチン対策という点で気になった点を述べてみたいと思います。

シンガポールでは数ヶ月前からブースター接種が始まっていて、私も10月20日に3度目の接種を受けました。二度目の接種が4月26日だったので、6ヶ月も経っていませんでした。日本が前倒しして7ヶ月とか言っていますが、それよりも短い期間です。ちなみにこちらが私のワクチン接種の証明書の一部です。3回ともファイザーでした。

シンガポールは、ブースター接種に対してはいち早く対応していて、60歳以上のブースター接種が始まったのは9月中旬のことでした。12月15日時点で、シンガポールのワクチン接種完了者(2回接種)は87%という世界でも最も高いレベルになっているのですが、3回目のブースター接種を受けた人はすでに31%になったとのことです。

「ワクチン接種完了者」(”Fully Vaccinated”)とは、現在、「二回接種完了者」を意味しているのですが、シンガポール保健省によれば、「三回接種完了者」に変更することを検討しているとのことです。

すでに10月にイスラエルが、世界で初めて、三回接種をもってワクチン接種完了者とするという決定をしたのですが、シンガポールをはじめいくつかの国がこれに追随する動きがあるそうです。

ワクチン接種が未だ行き渡っていない国がある一方で、豊かな国がブースター接種を行っているという批判もあるのですが、オミクロン株を防ぐための唯一の方法がブースター接種ということで、各国はブースター接種を急いでいるのです。

日本は、今月、医療従事者へのブースター接種が始まり、高齢者への接種が来年一月から予定されています。当初の予定から前倒しになっているようですが、シンガポールとかから見ると、ブースター接種に対する対応の遅れが気になります。

日本のマスコミ報道で、未だにワクチン接種は個人の自由であり、「打たない自由」が尊重されるべきで、同調圧力はよくないという論調がよく見られます。ワクチンが感染を防ぐ、あるいは感染しても重篤化を防ぐという効果よりも、ワクチンの副反応への恐怖がいたずらに強調されているのを感じました。

シンガポールでは、ワクチン接種は社会を守るためのものであり、強制力を持つものと考えられています。ワクチン未接種者は、外食もできないし、商業施設にも出入りできない(10月中旬より)のですが、それを差別だ、自由の侵害だという論調はありません。

国のあり方が違うので、単純に比較はできないのですが、日本の論調は、何か偏った思想のように見えてしまいます。

先日、NHKの朝の番組で、ブースター接種の副反応に関しての特集をやっていました。先行接種が始まった医療従事者が、ブースター接種を受けた後、熱が出たとか、倦怠感があったなどと話していたのですが、私はこれを見て、番組の意図に疑問を抱きました。

ブースター接種というまだ日本人が経験していないことを不安視するのはわかります。しかし、世界各国ですでに進んでいるブースター接種の結果を見ても、3回目の接種が、1回目、2回目の接種に比べて副反応の程度が特別であるというデータはとくにありません。

私の場合、2回目の時ちょっと微熱が出て、薬を飲みましたが、3回目は腕の痛みは1回目、2回目と同様にあったものの、それは想定内のもので、熱も出なければ、倦怠感もあまりありませんでした。

ワクチン接種後の副反応はあって当然のものであり、それをことさら強調するのは、ワクチン接種に対する拒否感を増幅するだけだと思います。ワクチンは、コロナ感染を防ぎ、仮に感染しても重症化しないことで命を守るという大目的があると思うのですが、その目的のためならば、副反応として通過すべき発熱や、倦怠感や、腕の痛みは、不安を感じるべきものではなく、むしろ通過すべき当然の事として受け入れるべきものなのです。

NHKの番組では、ブースター接種の副反応の不安が増幅され、結果的にそんな辛い思いをするくらいだったらブースター接種は、積極的に受けなくてもいいと思う人たちを増やすことに繋がっている気がします。テレビ番組で、このような報道をする時間があったら、ブースター接種の意義について論じてほしいと思いました。

日本のマスコミのこういう部分に違和感を感じました。

鼻マスクが許されていることに対する違和感

コロナ感染を防ぐためにマスクが必要だということは世界的な常識になっています。飛沫は防がないといけないし、空気中に漂っているかもしれないウィルスを体内に取り込まないための防御をするためにマスク着用は重要な対策です。

日本では、マスク着用時に鼻が出ている人を多く見かけて驚きました。シンガポールでもたまに鼻を出してマスクをしている人を見かけることはあるのですが、あちこちにマスク着用のルールの表示があり、商業施設などで巡回している監視員に、鼻が出ているマスクを注意されているのを目撃したことがあります。

そもそも、鼻を覆わないとマスクの意味がありません。口だけ覆っているのは、意味がほとんどありません。とりあえず、マスクをしているように見せかけているということでしかありません。

日本では、正しいマスクの付け方を指導したり、注意したりする部署も人もいないので、この問題は放置されています。

ニュースやテレビ番組でも、鼻出しマスクの人がよく映し出されます。喋っているうちにマスクがずり落ちてきてしまうこともあるのでしょう。しかし報道側としては、マスクがずれている場合、きちんと付け直して撮影し直すとか、そのように注意するとかしてほしいと思います。あるいは、マスクがずれているシーンはカットするくらいしてほしいですね。

テレビで鼻出しマスクが映し出されると、それでもいいんだと思ってしまいます。私の場合、正しいマスク着用が徹底しているシンガポールから帰ったばかりなので、鼻出しマスクに対してはとても拒否感を持ってしまいます。何とかしてほしいですね。

検温と手の消毒

シンガポールでは、飲食店や、商業施設、オフィスビルに入る場合、アプリでのチェックインが必要で、ワクチン二回接種の確認ができないと、どこにも入れませんでした。それが日本では、チェックインしなくてもどこでも入れてしまうので、ちょっと不安になってしまいました。

チェックインはないのですが、検温と、手の消毒を義務付けている場所はいくつか経験しました。シンガポールもほとんどの場所で、検温が必要だったのですが、数ヶ月前から検温は姿を消してしまいました。どうしてシンガポールの感染対策から検温が消えたのかはわかりませんが、久々の日本での検温は、何か過去の時代に戻ったかのような気になりました。

手の消毒液は、シンガポールでもあちこちに置いてありましたが、建物に入る際に手の消毒が義務付けられるのはちょっと新鮮でした。ウィルスを室内に持ち込まないために、手についているかもしれないウィルスを除菌するということなのでしょう。

というような感じで、日本での生活が始まりました。マスコミではオミクロン株のニュースなどが叫ばれていますが、コロナ感染が早く収束して、再び経済活動が活性化し、海外への渡航が自由にできるようになることを祈っています。


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