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ベトナム縦断記。その8(ホーチミン廟〜ホアンキム湖)一輪の花とセレブ犬

気づいたら2日目の朝になっていた。昨晩ホテルの時計が日付をまたいだのは覚えている。
2/25土曜日。今の時刻は7:30。

窓から外を見ると、建設作業員たちが打ち付けたコンクリートの上で作業をしている。
ベトナム人はそこまで勤勉でないと聞いていたが、経済成長の最中にあっては、もう関係ないのかもしれない。

ホーチミン廟は8時から開くというというので、朝食も取らず市街地に出かけた。
道路はそこまで混んでいない。バイクタクシーは、スムーズに市内へと進んでいった。

目的地までもうすぐというところで、運転手が突然振り返り、ベトナム語で何やら話しかけてきた。
何と言っているのかはわからないが、彼が指さした方向を見て理解した。

昨日の夜ホーチミン廟に近づくために通った道が封鎖されている。朝は通行止めらしい。
予約していた目的地まではいけないというので、手前でバイクを降りた。

通りには観光用だろうか、大型バスがいくつか並ぶ。中から同じ色の帽子を被った子供たちがぞろぞろと降りてきた。

時刻は8時過ぎ。ホーチミン廟へ続く道は、既に長蛇の列となっていた。そしてそのほとんどが団体客。見える範囲だけでも数百人規模で人が並んでいる。まだまだホーチミン廟は見えない。
休日を利用して、各地から人が集まっているらしかった。今から並んでも、中に入れるかどうか。残念だが今回は諦めるしかなさそうだ。
ベトナムの象徴を拝むためには、この国の空気にしっかりと触れなければならないのだと感じた。

周辺はどこも混みあっていたので、朝食を探しながら散歩してみる。昨夜も通った道だが、通りには活気がある。軒先にテーブルを出してコーヒーを飲む光景がいくつも見られた。

屋台や行商人が行き交う中を、1台のバイクが横切る。荷台には花束が積まれている。その時、なかのひと束が道路に落ちた。運転手のおばさんは気づかずフェンスの向こうへと消えていく。
拾ってフェンスをのぞくと、おばさんはバイクを止め敷地の警備員と話をしていた。

花を見せながら2人に声をかける。警備員は僕が花売りだと思ったらしい。面倒くさそうに手を振りながら追い払おうとする。
行商人の気持ちがなんとなくわかった。
おばさんはすぐにこちらに気づいて、ふんだくるように花を奪っていった。

これもまた交流だろうか。

歩みをホアンキム湖に進める。早朝ということもあってか、現地の人々しか見かけない。犬の散歩をしている人がちらほら。連れているのは、プードルやチワワのような小型犬だ。

タイや、ラオスにも犬はいたがどれも筋肉質な大型犬だった。番犬のような出で立ちでともすると噛み付いてきそうな。狂犬病なども怖い。
ところが、ベトナムの犬はどれも小さな愛玩犬ばかり。その他の東南アジアとは雰囲気が違っていた。

湖のほとりを抜けて広場に出ると、ひときわ目を引く婦人が横並びになっていた。
それぞれが色の異なるドレスを身にまとっている。ベトナム縦断旅行2日目。
ついにアオザイを観た。

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