見出し画像

心電図読影の「トレーニングの場」を作りたい

基本的に心電図というものから逃れられない「医師」という仕事

- 外科の術前。
- 担当患者の入院時ルーティン。
- 健康診断での心電図異常。

一般採血とならび、どんな進路を選ぶ医師にとっても避けられないのが心電図です。
すぐに結果が出て、すぐに緊急性の有無の判断を頼まれる検査です。

心電図に自信がないまま中堅医師になってしまった!

研修医と違って、中堅医師になると、なかなか自分の担当患者の心電図を相談しにくくなりますよね。循環器の医師に相談するのも「忙しそう」だし「こんなことで相談しても良いのかな?」「めっちゃ怒られたらどうしよう」とか思いとどまってしまいますよね。

「研修医が終わった頃には読めるようになるだろう」

漠然とそう考えていたら、多忙な研修医生活はあっという間に終わった。
少なくとも私はそうでした。気づけば心電図は「なんとなく読めた気にはなるけど、正直自信がない」まま。循環器内科を専攻しようと考えていた私ですらそうでした。

初期研修の間に「心電図に自信がつく」ようにならないのはなぜ?

 それは、研修医時代にきちんと心電図に向き合う時間がしっかり取れないことにあると思うのです。例えば心電図をルーティンでチェックする頻度の高い救急外来の当直や研修。一人の患者に対し病歴確認、診察、採血オーダ、看護師への指示、はたまたエコーやCTなどの検査の必要性を考え、検査の同意書を取得したり。限られた時間でスキをみて上級医にコンサルトもしなければならない。そんな中で「心電図だけに向き合っていられない」現状があります。結果として、「STが上がってるかどうかだけみて心電図はおしまい」になりがちですよね。特に急性期市中病院の忙しい救急外来当直では、次から次に押し寄せてくる患者を文字通り「さばく」ために、そもそも一人ひとりの患者さんについて振り返るヒマもなく、「カルテを書くことすら後回し」になりがちです。

 また、「もっとも指導的」な科である総合診療科などでの日々の振り返り(あるいはカンファレンス)で、研修医が症例プレゼンをする際も、「みんなの時間を奪う訳にも行かないし、、、」と遠慮していると、心電図プレゼンはさっと終わらせてしまいがちです。もしくは、多少しっかり時間をとってプレゼンしても、スタッフも早く終わらせて残りの仕事に取り掛かりたいという気持ちに抗いきれず、「まあまあ良いんじゃない」で終わりがち。

 そうこうしている間に研修医が終わり、「何となく読めてる気がするけど、これで大丈夫なのかな?」と心配になる方が多いのではないでしょうか?

自分の経験を踏まえて、今の研修医にトレーニングの機会を与えると、ドンドン読めるようになってる!

 私が実際、そうでした。循環器内科医を志望していたこともあり、心電図には興味もあったしモチベーションもありましたが、なかなか実践的なトレーニングをしないまま、「なんとなく読めてる気がするけど、系統的に読めていない気がする。」「見落としがある気がするけど、どう確認したらいいかわからない」状態のまま研修が終わりました。
 今の研修医たちにも同じ悩みがあるようです。そのためか、私が循環器内科の後期研修医になって、ローテートしてくる研修医たちに「心電図トレーニング」を課すと、評判になり、人気になり、心電図トレーニング目当てに循環器をローテートしてくれる子まで出てくるようになりました。
「循環器ローテのアピールポイント」になったのです。それほど、みんなモチベーションはあったのに「機会」に恵まれずにいたのだなと感じました。
 そして、みんな、やればやるほど、みるみる読影スピードが速くなり、そして自信をもてるようになっていくのです。

心電図を「読む特訓」をする「場」を作りたい

 その中で私が確信したのは2点です。
 1つめが、「やはり心電図読影にはトレーニングが必要なこと」
 そして2つめが、「心電図トレーニングのチャンスがあるかどうかは運次第」ということです。トレーニングを積むために、チャンスが得られなかった人は読めないままですし、運よく指導的な上司に出会って特訓の機会があれば、読める&自信がつくわけです。

 心電図読影にはトレーニングが必要だという前提のもと、私は、研修医たちに「心電図読影をトレーニングする『場(チャンス)』を提供したいと考えています。

 そして、それを実現する手段として、最近出会った後輩がプラットフォームを提供してくれることになりました。後輩の素晴らしいアイディアに触発されて、「すぐやろう」と即断即決しました。詳しくはまだお伝えできませんが、tsucomという、「参加型・投稿型の動画教育コンテンツ」で私の心電図講座を始める予定です。

 もちろん、プラットフォームなどなくても、ニーズさえあれば、心電図レクチャーの場はいくらでも作りたいと考えています。勉強会・ワークショップなどなど、依頼があればテンションマックスで教材やレクチャー内容を準備しますので、関係者の方は遠慮なくご連絡ください!

 ※ そういえば、個人でトレーニングするなら「心電図検定」もオススメですよ!(今年は1月に実施されました)自分を「トレーニングしなきゃいけない」環境に置くのに、「とりあえず申し込む」のもアリです!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?