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「臓器別アプローチ」 - 細胞の集団生活による「分業化」を理解する

多細胞生物であるヒトについて学ぶ(医学)のに効率が良い方法は、
「役割分担している細胞たちのグループ」別に学ぶこと。

単細胞生物と多細胞生物のイメージ(中学理科の復習)

ヒトや鳥、犬、猫。魚や害虫など。

僕らがこの世の中で「生物」として眼で見て認識できるような大きさの生き物は、みな「多細胞生物」です。

一方で、見えないほど小さい生物もいます。たとえば細菌です。

お肉などを食べるときに加熱するのは、表面などに付着している「細菌」を死滅させるためです。そうしないと細菌性「食中毒」を起こしますね。

こういう「細菌」はほとんどの場合、単細胞生物です。

よく「私たちは細胞が集まってできている」と言います。

これは多細胞生物のことで、たった一つの細胞がぐんぐん大きくなって今の大きさになったのではありません。例えばヒトでいえば、約37兆個もの「小さな細胞たち」から、できあがっているんですね。

医学を学ぶ、つまり「ヒトについて学ぶ」うえで、私たちが多細胞生物であることを再確認しておきましょう。

単細胞生物→多細胞生物の過程は、人類でいう集団生活の開始

多細胞生物とは?

ざっくり言えば、たくさんの細胞が集まって共同生活している状態です。

僕らで言うところの「街や国家を作って集団生活している状態」です。

大変な自給自足から、集団生活による分業へ

もともとは、ヒトだって、たった一人だったら自給自足しないといけなかったわけです。食べ物を手に入れてきて、それを料理して(火を起こしたり、料理に必要な道具を作って)、食べて、、。その間に外的に襲われないか周囲に注意を払って、外的の気配を感じたら、自分の足で逃げて、またどこかで安全そうなところを見つけたら、寝床を作って、寝る。想像しただけでも毎日が忙しそうで大変そうな生活ですが、自給自足といえば、こうして書き出しただけでも大変そうです。

今は、とっても便利になりましたね。僕は今住んでいるマンションの目の前にコンビニエンスストアがあるし、そこまで3分もかけて行けば、「食べ物(しかも、レンジでチンしたら完成!」も「シャンプー」も手に入るし、関西から遠い東京まで手紙を送るのも簡単にできる。もちろん、LAWSONに欲しいものがなければ、あと10分も歩けばFamily Martにも行けます。

今は、自分が稼いだ「お金」というものを使って、他の人に「自分一人でやろうと思ったら絶望的に大変」なことをやってもらうことができるんです。しかも、たとえばLAWSONでシャンプーを買うにしても、ボトルを作るひと、ラベルを作るひと、もっといえばラベルのデザインを考える人、と、細かくこまかく専門に分かれています。それぞれの分野の人たちも、「自分たちがやるべきひとつのこと」だけやっていれば「お金」という対価がもらえるように社会が発展しているんですね。

集団生活して役割分担している現代に生きる僕たちの受ける「ありがたさ」は、改めて考えると、とてつもなく素晴らしいことですよね。

単細胞生物の生活はとてつもなく大変そう

細胞も似ています。「集団生活して役割分担した」のが多細胞生物です。

単細胞生物でめっちゃ大変そうじゃないですか?

たとえば、たったひとつの細胞が、海にポツンと浮かんでいるところを想像してみてください。この細胞が自給自足しているところを想像してみてください。

海の中から、エサを探し出し、取り込む。そして、小さなパーツに切り分ける。自分の古くなった部分を交換できるくらい小さくして、またそれを自分の体に組み立て直す。そして、エサの中で不必要だった部分は、排泄する。その間もずっと、外的から襲われないように、周囲の状況変化に注意を巡らせる。外的がいれば、安全なところに身を隠す。。。全部やってたら途方もないことですね。

変な話ですが、いわゆる「細菌たち」は割とこういうことをやってのけているのだと思うと、「すごいなぁ」とも思いますよね(ヤツらもそれなりに集団生活してますが、ちょっとニュアンスが違うので無視してくださいね!)。

多細胞生物の細胞同士は、役割分担して共同生活している

我々ヒトも、上で述べたように、一人で生きていくのは大変です。ですが、いざ自分の身体に目を向けてみると、たった一人とはいっても「多細胞生物」なんです。細胞が協力し合ってできています。

それにしても私たちの細胞は、部分ごとに見た目が違いすぎて、とても「すべてがもともと一つの細胞だった」とは信じられないほどですよね。例えば、皮膚の細胞と脳の細胞は似ても似つかないと思いませんか?(もちろん、直接、一つひとつの細胞をあなたの眼で見ることはできませんよ!笑)教科書をみても、「完全に別モノ」の形をしていますよね。

そう、もともとは全部同じ細胞だったのが、役割分担を徹底することで、ここまでお互いに違う「形」になったんです。

役割別にまとめた呼び方「○○系」

とはいえ、同じ臓器から細胞をいくつか取り出してみると、その細胞たち同士は結構似ていたりします。

つまり、私たちの身体には**「似たような役割を担当する細胞たちの集団(グループ)がいる」**んです。たとえば、、、

①エサを見つけたり外的を見つけたりする担当(感覚器)があったり、

②エサを分解して取り込む担当(消化器)があったり、

③取り込んだ栄養を、生きていくための「エネルギー」に変えたり、自分の古くなったパーツを交換するために「作り替え」る担当(代謝)がいたりします。

④エネルギーを作るのに必要な「酸素」を取り込み、ゴミとなった「二酸化炭素」を排泄する担当(呼吸器)、

⑤体内で出たゴミを水とともに排泄する担当(腎・尿路系)、

といったように大きな括りで役割分担しているのです。


そして、「集団生活するようになったがゆえに、必要になった」グループもいます。

⑥体内での物流を担当する循環器系

⑦グループ同士が協力しあって動けるような統制システム(神経系・内分泌系)

などです。ざっくり挙げるだけでもこんな感じで役割分担しています。

まだまだ役割分担はたくさんありますが、ここではそれを覚えることは目的ではありません(**実はみなさんに覚えてもらうことはまだひとつも登場してません!**)。

「役割分担した細胞たちをグループ別に学ぶ」と理解しやすい

その「役割分担」がどういうものか?を理解する上で、「グループ(系)」別(ほとんど同じ役割をもった細胞同士の集まり)に勉強すると「分かりやすい」わけです。

もともと自給自足で「何でも屋」状態だった細胞が、集団化により「役割分担・専業化」したことで、ある特定の業務に集中できるようになったのが、われわれのような多細胞生物です。

それらの「業務グループごと」に細胞の特徴を理解していくのが、人体を理解する一番の近道になります。


実際に、病院受診をする場合でも「科別」に受診することが多いですよね。「今日は耳鼻科行ってくる。」「おばあちゃんはよく整形外科に行く」などですね。そうした方が「分かりやすい」からそうなった、というわけです。

「臓器別」よりも大きなくくり「○○系」

というわけで、臓器別に勉強する理由は納得できたでしょうか?

とはいえ、「臓器別」の勉強もまだ「細かいレベルの勉強」なのです。

想像してみてください。「今日は甲状腺を勉強して、明日は心臓を、明後日は脾臓を勉強しよう。」と。これはとっても効率が悪そうだと思いませんか?

臓器同士の関係にも、「似たような役割を担当している臓器同士」とまったく違う種類の仕事をしている臓器同士というのがあります。心臓と脾臓とはまったく違う仕事をしていそうですが、逆に、胃と腸は大きな眼でみると似たような仕事をしていますよね。

だから、これらを「消化器系」とまとめるように、「○○○系」というような大きなくくりで勉強していきましょう!

ということで、まずは循環器系(物流システム)からみていきましょう!ではまた!

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