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研修医の日常の疑問を解消するためのマガジン

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病院の後輩研修医達に向けて、有用記事をまとめています。 「研修医一年目の、辛かったあの頃」 右も左も分からないまま、難解な医学書を買い漁るものの、 「研修が忙しすぎて読んでい… もっと読む
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2021年3月の記事一覧

典型的CS1(救急外来でよく出会う)

当直医泣かせの、CS1心不全 クリニカルシナリオ分類について前回記事を書きました。その中でも特に、救急外来でよく見かける心不全増悪のパターンとして「夜中に突然呼吸困難で運ばれてくる」(当直医泣かせの)典型的なCS1心不全について記載します。  また、僕がCS1心不全に対してもっているイメージをマインドマップにおもむろに書いてみました。「あーわかるわかる」みたいに共感してもらえるのではないかな、と思います。 クリニカルシナリオ分類の学びが最も活きるCS1心不全 前回クリニ

急性心不全のクリニカルシナリオ(CS)分類

 さて、みなさんよく「CS1の心不全です」とかいう言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。このCSってなんだ?という疑問にお答えしようと思います。内容は超ソフトなので、どうぞ最後までお付き合いください! クリニカルシナリオ分類背景とか、提唱されたきっかけとかが教科書には書いてあって、そこを読むだけでうんざりした人も多いと思います。また、下図のようなものを見せられて「あー、また暗記するの大変なやつだ」と思った人もいるかも知れません。違います!!この分類の最大のメリットは、

急性心不全(心不全の非代償化)の治療

 心不全増悪の治療のメインは、  ① 心臓を休め、  ② 過剰な前負荷を点滴薬で除去する ことです。  状態が安定してきたら、入院中に、数々の内服「心保護薬」を追加していきます。これらは再増悪予防のための薬になりますが、詳しくは「慢性心不全」を再増悪させないための薬として別記事にまとめますよ! デコンペる みなさんは、「デコンペる」、なんて医師が話しているのを聞いたことがあるでしょうか。"de-compensated"はいわば「非-代償」です。代償されていた心不全が、非

心電図添削で、「よくある」研修医の読影間違い

以前、心電図読影について、心構えを述べましたが、実際に現場で研修医に指導していて感じる「よくある」間違いについて、述べていきます。今回は、「リズム」に関することではなく、12誘導心電図の所見に関することを取り上げます。 よくある間違い① 下記の3つを混同するA. 左脚ブロック B. 陳旧性前壁心筋梗塞 C. (通常の右室留置の)ペースメーカ波形  これは、分かる人には「あぁ、なるほど」と思われるところなのですが、意外と多い間違いですね。  特に、左脚ブロックというのは研修

体液コントロールと腎機能②

ラシックス®を打ち続けているだけでは、限界がくる 復習です。  ざっくりラシックス®のような「Na利尿薬」は、まず細胞「外」液から除水を行います。また、腎臓に作用するため、     ① 血管内volumeからまず除水される     ② 次に、間質から除水(血管内にshiftして)される  という順になります。「細胞内」のうっ血には作用しにくいイメージができたでしょうか。もちろん、じわじわと(「細胞内」もパンパンになっているため)血管内に引き込まれ、最終的には除水されるのでし

体液コントロールと腎機能①

体液コントロールの難しさは心不全でも「一緒」 心不全患者さんの体液コントロール中、Creの上昇に悩まされた経験はよくあるのではないでしょうか?特に利尿薬でコントロール中にCreが上昇してきた場合、「利尿のかけすぎかな?」と思うことも多々あると思います。  しかし、患者さんをいざ見に行くと、下腿の浮腫はまだまだ残ってるし、レントゲンを撮っても胸水はまだまだたっぷり、、、なんてケースは日常茶飯事です。唯一、エコーだけが「IVCのハリはとれて呼吸性変動も出てきている」みたいなケー

急にCreが上昇! 全例で腎疾患の精査?

本記事のまとめ(本記事は下書き中ですが、公開しておきます) Cre上昇(いわゆるAKI)を認めた場合は、まずは可逆的なCre上昇の原因をすべて「指差し確認」し、「是正」してから考えましょう。  ・全身循環が悪いなら、全身循環を改善すること  ・糸球体内圧を低下させるような薬剤を一度中断すること (ついでに、薬全般を見直しましょう)  この2点に尽きると思います。  これらを「まず指差し確認」する癖をつけましょう。 まとめ画像を貼り付けます(最後まで読んでから、また確認し