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ビールなワイン (2019.04.07)

1週間ほど酒を控えていた。短期とはいえ4月1日から久しぶりに定職に就いたからだ。取りあえず1週間やってみるまで気を緩めたくなかったのだ。

当初は週末も飲むつもりはなかたったのだが、意外なほどこの一週間がスムーズに運んだせいか、夕飯のゴマ豆乳鍋を前に決意が揺らいだ。日本酒が最初に頭に浮かんだが、山形政宗の雪めがみは飲んでしまったことを思い出した。

何を飲むか悩んでいる間にも喉の渇きは強まり、結局普段通りワインに落ち着いた。私が選んだのはイタリアウンブリア州のオレンジワイン、Piccolo Podere del Ceppaiolo Vivace 2015。スキンコンタクトによるボディの厚みと苦みが濃厚なタレにマッチし、微発泡が喉の渇きを潤してくれると感じたからだ。(ちなみに、このワインの栓は王冠だ。大抵これが被さったボトルはワインが微発泡をしていることを示唆する。瓶ビールと同じだ)

いよいよ開栓の時間だ。王冠を外すと、中はさらにプラスチックの栓がしてあった。個人的には、このタイプの二重栓は初めてだ。

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実に分かりやすいオレンジワイン。金柑やオレンジピール、グレープフルーツなど、期待通りの柑橘系の香りに、ハーブの要素も加わって爽快感溢れる仕上がり。溌剌とした酸とキビキビとした泡も口の中をリフレッシュしてくれる。自然派ワインに有りがちな出汁の風味が前面に出過ぎて滞留することはなく、旨味とほろ苦さがスッと消えるフィニッシュも美しい。

と、ここまでくどくど書いたが、一言で表すとビールだ。シードル的な要素もあるが、ビールと例える方が適当だろう。そして、このタイミングで妻にも意見を求めると、返って来た答えが「ビール」。やはりそうかと、満足していたが、次の一言にハッとした。

ビールで良いじゃん。

私は知らず知らずのうちにワイン側の人間になっていた(今更だが)。妻は10倍以上の金額を払ってわざわざビールを買わないと言ったが、もっともだと思った。ワインに特別な感情を持たない人にとって、ビールに似たワインはビール以下の価値しかないのだ。このワインは私にとって考えさせられる1本となった。

最後に、このワイン、王冠以外にも面白い特徴がある。エチケットにワインの詳細な情報が明記されているのだ。

🍇 Total Acidity: 5.93g/L
🍇 Volatile Acidity: 0.28g/L
🍇 Total SO2: 10mg/L
🍇 Free SO2: 7mg/L
🍇 pH: 3.46

こららの情報を取るためについこの間まで作業していたのに何だか懐かしい。よくミスしたけど...

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