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コーヒーとワイン<続> (2019.02.17)

"コーヒーとワイン (2019.02.02)"の中で触れた念願のコーヒーを味わってみた。

ワイン醸造の授業では、幾つかレポート(論文レビュー)を書かされるのだが、私はその中の1つにカーボニックマセレーションを選択した。簡単に言うとボージョレのワインで使われている製法だ。

選んだ理由は、書きやすいテーマではなかったが、旬なテーマだと考えたからだ。最近は一昔前に比べ全体的に軽やかでエレガントなワインを求める傾向にあり、ボージョレ等の伝統的な産地以外でも同製法で作られるワインが増えてきた。

そして、このレポートを書く中でコーヒーにも同製法が取り入れられていることを知った。2015年の世界バリスタ選手権では、Sasa Sestic氏がカーボニックマセレーションを施した豆を使って優勝している。英語であるが、以下のページに製法についての詳細が載っている。
https://www.researchgate.net/publication/321307503_Carbonic_Maceration_A_unique_way_of_coffee_processing

この事実を知ったとき、世界にはとんでもないことを閃く人間がいるものだと、大きな衝撃を受けた。その当時はあれこれ探しても見つけられなかったが、最近になって漸く100gとかそういう少量で購入できる店を見つけられた。実際購入した豆がこちらである。👇

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個人的にこの豆が(都合が)良かった点は、ゲイシャ種ではなく、エチオピア原種であることだ。ご存知の方も多いと思うが、一言でいうとゲイシャ種の品質は抜きん出ている。特に華やかさと言う点においては他の追随を許さない。

余談だが、4、5年前休日出勤したときに、一休みにちょっと贅沢をしようとローソンのシングルオリジンシリーズに手を伸ばしたのがゲイシャコーヒーとの出会いだ。買った直後は知らない銘柄のコンビニコーヒーに400円も出費したことを後悔したが、一口飲んで考えを改めた。パッションフルーツのような、こんな華やかなコーヒーは飲んだことがない。アスファルトの上を歩きながら飲んだ瞬間のことは今でも良く覚えている、当日どんな仕事をしたのかは全く覚えていないのに。

話を元に戻すと、ゲイシャ種の場合、コーヒーの華やかさが品種由来のものか製法由来のか分かり難いと思ったため、エチオピア原種で良かったということだ。というのも、ワインの世界で考えると、カーボニックマセレーションにもキャンディーやストロベリー、バナナなど華やかな香りを付与する効果があるからだ。

さて、実際にこのコーヒーを飲んだ感想だが、先ず豆の状態では、チョコレートポッキーやナッツの甘い香りがする。期待が持てる良い香りだ。豆はエスプレッソ向け程ではないが細かく挽き、金属フィルターで、(感覚的に)90℃位の温度で淹れた。直ぐにチョコレートの圧倒的な香りが部屋に立ち込める。同時にメロンのようなフルーツの香りやジンジャー等のスパイスの香りもふんだんに感じられる。舌触りも滑らかで、酸味が豊かである。

個人的には、甘い香りとそれを引き締める酸味のバランスが絶妙な、素晴らしいコーヒーだと感じた。しかし一方で、一緒に飲んだ妻はチョコレートの香りの強さ・華やかさに驚いていたが、その半面味の方はインパクトに欠けると言っていた。

私の結論としては、香りの華やかさという点ではカーボニックマセレーションが十分寄与していると考える。今度は挽き方や抽出温度などの条件を変えて愉しもうと思う。

因みにレポートの方だが、残念なことに先生の心には響かなかったようだ。同じ先生の他のレポートは高得点を貰えたが、これだけは低かった、一番力を入れたのに。世の中こんなものだと、普段めったに飲まない甘いカフェモカで自分を励まし、期末試験に向けて気合を入れ直したことを思い出した。

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