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83歳、メタバースを始める

本記事は、ランサーズ新しい働き方LABの「研究員制度」の活動の一環として、私個人が行う「働き方実験」についてまとめたものです。


現在「新しい働き方LAB」(あたラボ)の3期自主企画として、「メタバースxAIを利用した女性のセカンドキャリア構築は可能か」という研究に取り組んでいます。この研究をはじめようと思ったきっかけは、自分や周囲の女性のセカンドキャリア構築の難しさを実感していたことなのですが、昨年から少しずつこの分野に興味を持って下さる方が増えて来ています。
そんな中で面白いことがあったので、今日はそのことを書きたいと思います。

私の母は現在83歳。ずっと専業主婦をやってきて、特にパソコンが詳しいというわけではなく、スマートフォンもなかなか使いこなせていません。色々なアプリがごちゃごちゃになっては、「何だかスマホがおかしいの」と電話をかけてきます。そこで何度も同じ説明をするのですが、その場は良くてもまた数週間後には同じエラーで躓くという感じで、到底ITリテラシーが高いとは言えません。

但し1つだけ、メカ音痴の母にも使いこなせるものがあります。それは趣味のカメラ。60代になってから始めた趣味なのですが、写真教室に行ったり、クラブに入ったり、撮影旅行に行ったりするうちに、めきめきと上達し、大きなコンクールで準優勝を獲得するまでになっています。

そして撮った写真の整理や加工などのためにパソコン上でソフトを触ることには、不思議なことに何の抵抗もないようで、しかも殆ど躓くこともありません。

本当は自分で個展もやってみたいと思っているのではないか、と薄々感じていたのですが、そういえばメタバース空間でギャラリーをやっている人が結構いることを思い出して、ある時ちょっと母に勧めてみました。案の定、「メタバースって何?」と全くわからない様子。そこで、一緒にパソコンを見ながら説明して、ちょっとしたサンプルのギャラリー制作を実演してみました。「まあ、こんなことが出来るのね。すごいわねえ。」などと感心したようでしたが、そもそもメタバースが何なのかもよくわかっていないので、その時は感想だけで終わってしまいました。

ところが後日、「ねえ、あのギャラリーはどうなったの?他にも作れるの?」と言い出したのでびっくり。彼女の中で、「メタバース・ギャラリー構想」が少しずつ膨らんで来ていたのです。そこで、spatialというプラットフォームで、簡単に写真を飾れるギャラリーを作れることを教えてみました。すると、何ということか、あっという間にやり方を覚えて、1時間後には花の写真を展示するギャラリーが出来てしまいました。これにはさすがの私も驚きました。あんなにパソコンに疎い母が、自分の夢中になれることだとここまで出来るとは。

母が制作したメタバース空間の写真ギャラリー

母は早速ギャラリーのアドレスを親戚や写真仲間に教えてまわったようですが、中でも写真仲間からは羨ましがられて、「どうやって作ったの?私にも教えて!」と大評判。本人もその後、レイアウトを工夫してみたり、別のギャラリーで別のテーマの展示を始めたり、その展開の速さに驚いています。今度は、写真仲間にメタバース・ギャラリーの作り方をレクチャーする予定とのこと。
いくつになっても夢中になれるものがあることは、人間を成長させるのだなあと実感しました。

「セカンドキャリア」というと、何か生産的なことをしなければならないのでは?社会に貢献しなければならないのでは?などと、狭い範囲で考えがちです。でももっと広い意味で「セカンドキャリア」を考えてみると、母の写真もメタバースも、ある種のセカンドキャリアだと思うのです。
母は、カメラを始めてから人脈を広げ、おそらくメタバースを始めたことで、もっと世界が広がっていくと思います。好奇心を持って世界を探求することに、年齢は全く関係ないということを、母の事例が教えてくれました。

今度は、母にChatGPTや画像生成AIを教えてみたいなと思っています。それでどんなこと起きるのか、今から楽しみにしています。


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