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音源設定メモ07 Wii RemoteをMIDI ControllerとしてNuRADと併用する

  〜ウインドシンセ用の音源の設定の備忘録シリーズです〜

 今回は音源でなくて機材の設定です。Nintendo Wii RemoteをBluetooth MIDI Controllerとしてウインドシンセと併用してみる実験。とにかく一度やってみたかったのでやってみた。一応できました!

まとめ

執筆時点の最新MacOS Monterey(OS 12.5)ではMacOSのバグで使えないのだが、OS11までのMac + 制御ソフト(OSCulator)でWii RemoteをBluetooth MIDIコントローラー(CCをモーションコントローラー、およびボタンで送信)として使えて、MainstageでCCカーブをきちんと設定すれば音楽的に使えた。慣れれば本番運用も可能ではありそう。モーションコントローラーの可能性は確認できた。

発端

ウインドシンセプレイヤーのStef Haynesさんのこの動画。NuRADのかなり初期からアップされていた演奏で、私とても好きなのですが、

すご~いと思ったポイントのひとつが1分14秒あたりの、一瞬速いトレモロがかかるところ。音楽的に自然だし、これって生楽器ではできない感じでウインドシンセならではじゃん、口もとのエクストラセンサーでかけてるのかな、NuRADすごーいと思ったのですが、いざNuRADを本格的にいじりだしたらエクストラセンサーではこの微妙なコントロールは難しくて、あれあれあれ、と思ったら、黒色なので目立ちにくいですが右手側にWii Remoteがくっついているし、その演奏効果のあたりでNuRADを上に持ち上げてます。つまり僕が関心したこの部分はNuRADではなくてWii Remoteのモーションコントローラー機能によるものなのでした。
Stef Haynesさんはかなり以前からEWIやNuRADと併用してWii Remoteをモーションコントローラーとして使っていて、音楽的にも非常に効果的に使用されています。youtubeにもいっぱい動画があがってますし、モーションコントローラー内蔵のRe:corderでも、このモーションコントローラー機能を使った解説やデモをされてますね。いきなり余談なのですが僕もこれをやってみたくてRe:corderを初回ロットで買いましたがBluetoothの接続がうまくいったりいかなかったりと挙動不審なのでいやになっちゃって使わずにおります。。。

Wii Remote購入とNuRADとの一体化

さてそんな中、先日近所のハードオフをぶらっと回っていたら、中古のキレイななWill Remotoが税込880円で置いてありまして、この価格ですと、ま、失敗しても良いか!って感じで衝動買いしてしまったのでした。で、買ったは良いけどHaynesさんみたいにNuRADの横につけようとすると僕の手のサイズでは横に大きすぎて肝心のNuRADの演奏ができない。さてどうしたものかと思っていたところ、先日からのカスタマイズで剛性の高い腹レストを作成してみたらWii Remoteをくくりつけるのにちょうど良いスペースがあって、見た目的にもギリギリ許容範囲(?)とも思えたので、よしやってみるかあということで試してみました。くくりつけるところの詳細はこちらの記事参考。

こんな感じでWii Remoteをくくりつけ。

演奏してみた&結論

で、色々設定が必要なのですが、結構複雑でめんどくさいのですっとばして、まずはこれで自分で演奏してみた動画。

結論から言ってしまうと、上へのけぞるくらいなら自分でも音楽的に使いこなせるかなあ。横は見た目的にも大げさすぎるし、吹奏中にぐるぐる回るのは体力的にキツイぞ。ウインドシンセってこんな疲れる楽器だっけ。健康に良いウインドシンセ!?
でも、予想より微妙なニュアンスが出せますね、特に上方向ならフットペダルを踏むよりも微妙なコントロールはできるかもしれない。
ただし今の所MacOSのバグで最新Mac OS(OS12)では動かないので、もしそれが直ったらもっと本気で考えるかもしれないレベルかなぁ。実験としてはうまくいったし面白かったし、モーションコントローラーの可能性も感じました。AE-30とかRobkooとかモーションセンサー内蔵のウインドシンセをうらやましく思うのでした。

設定詳細

いよいよ設定です。Stef Haynesさんが詳しい解説動画をあげていらっしゃるので、それで充分なのですが、補足的に少しだけ書きますね。


必要なもの

・Nintendo Wii Remote RVL-CNT-01 (中古で1500円くらいが相場?)
・OS10.10〜11.0のなるべく最近のMac。(現時点でOS12不可)
・Mainstage、または任意のCCに自由にカーブが設定できるホストDAWソフト
・OSCulator(WiiのMIDI設定のホストアプリ) https://osculator.net/

Windowsでの方法は未調査なのでわかりません!すみません!
Macでも、現時点での最新のMac OS Monterey (OS12.5)では、MacOSのバグのためにWii RemoteとMacとのBluetooth接続ができないので使えません(OSCulatorのサイトのForumによれば開発者も認識済みですがApple側でなんとかしないとどうにもならない様子)。
なので今回僕は、少し前まで使っていた旧いMacとMainstage旧バージョンを使用しました。今回の僕の環境。
・Apple MacBook Pro (Ealy 2011, OS 10.12.6)
・Apple Mainstage 2.2.2
・ソフトシンセはIFWひとつのみ。
・Mainstage付属のエフェクタープラグイン各種。
・OSCulator 3.4.3
・Nintendo Wii Remote RVL-CNT-01

MacとWii RemoteとのBluetooth接続

Wii Remoteの電源を入れて、1,2,ボタン長押しまたは電池ケース内側の赤いポッチを押せば、普通にMacのBluetooth環境設定から認識して接続します。
(繰り返しになりますが、MacOS12ではここでパスワード要求され、パスワードを無しに設定しても先に進めないので使えません。)

OSCulatorの設定

ソフトは$23.99のシェアウェアですが、ダウンロードと試用は無料でできます。レジスト前は数分〜10分に1回程度動作が止まり支払いを促されますが、それ以外はフル機能で使えて設定ファイルの保存もできますので、試すだけであれば無料で可能です。
使い方としてはダウンロードして起動、Bluetooth接続していれば下のような画面が出ます。うまくいかなければ右上の「設定マーク」をクリックして「Wiimote」のところをなんとなくそれっぽくいじってるとなんとかなります。あと、Wii Remoteのボタンを押したりしてみてください。

この画面のpitch、roll、yaw、accelというのがモーションセンサーの出力です。先の写真の方向でNuRADに僕がくくりつけた場合では、pitchが左右に傾ける操作、rollが上下に傾ける操作になります。それぞれに任意のCCをアサインします。ここではそれぞれCC31,CC30をアサインしています。CC出力としてはたとえばrollで思いっきり下に向けると0、思いっきり上に向けると127が出力され、完全に平らに置いておけば63付近が出力されるはずですが、実際にはそんなに上下を向くことができるわけでは無いので、僕の場合での実測は下向きで最小10、上向きで最大110、平らにしておくと50〜60の間くらい、というのが実際のCCの出力値でした。左右も同じ感じです。
Wii Remoteの各ボタンからもMIDIの出力ができます。noteが出せたり、プログラムすれば複数のメッセージを同時に出せたりもするようですが、シンプルに使うには任意のCCのToggleで、例えば下の設定だとボタン2を1回押すとCC33の127が出力、もう1回押すとCC33の0が出力されます。何かのパラメータのON/OFFに使用できます。またプログラムチェンジも送信可能なので(+-の順送りはできず、1つのボタンに対しあらかじめ設定したプログラムチェンジNo.の送信のみ)、3〜4個の音色を切り替えるだけであれば足りますね。

Mainstageの設定

これも前述のStef Haynesさんの動画を見るのが一番わかりやすいのですが、
roll (CC30)の下側、上側、pitch(CC31)の左側、右側にそれぞれノブをつくって、CC300/31を設定し、それでコントロールしたいパラメーターとCCカーブを設定します。下の画像ではrollの上側の動作、すなわちNuRADを上に向けたときに、IFWのトラックにかけているTremoloエフェクターのDepthを上げる設定にしています(上に向けると速めのトレモロがかかる)。CCカーブの設定が重要で、Wiiを平らにしているつもりでも実際にはブレているので、ある範囲では無効(ゼロ)、ある傾きを超えると効果がかかりだすように設定する必要があります。まあ大体は下の写真のようにあるところまではゼロ、あるところから急に立ち上がる、というようなカーブになると思われます。

先の僕の動画での設定

は下記の通り。
・roll 下側:IFWトラックのピッチシフターの量(MIX量)
・roll 上川:IFWトラックのトレモロの量(Depth)
・pitch右手側:IFWのFilter 1のレゾナンスの量
・pitch左手側:IFWトラックからディレイトラックへのSENDの量
・Wiiのボタン2:Playback trackの再生ON/OFF
・WiiのボタンA:Playback trackのフェードアウトのON
あと、Wiiは関係なく
・NuRADの エクストラセンサー出力(CC1):IFWで5度ずらしたOSCのTRI波形の音量
・NuRADの右手親指レバー出力(CC5):IFWのグライドタイム
というのを組み合わせて演奏しています。
シンセソフトとしてはIFWをトラック一つのみ。Playbackトラックで伴奏をループで流してます。
モーションセンサー出力で直接シンセソフトをコントロールするよりは、エフェクタをコントロールしたほうが、シンセソフトや音色によらず汎用的な効果が得られるので使いまわしが楽だろうな、とは思いました。

この辺も含めて前述のStef Haynesさんの動画で詳しく解説されているので、興味を持たれた方は是非Haynesさんの動画を御覧くださいませ!!

感想

 感想としては動画の直後に前述した通りではありますが、今回テストということで上下左右のモーションコントロール、さらにWiiのボタンも、ということで盛り込み過ぎまして、僕の動画もラジオ体操のようにぐるぐる動いておりますがこれはやりすぎ、疲れて演奏できなくなっちゃいますね。でも上側のモーションコントロールに関しては、少しのけぞるくらいでも効果が得られて、しかも結構微妙なコントロールもできるので、最初に述べたHaynesさんの動画のように音楽的に使うこともできるな!とは思いました。見た目も違和感ないでしょうし。
 ただ何しろいまのところMacOS12で使えないということで少なくとも僕の場合はそれが解決するまでは保留ですね。でもモーションコントロールの可能性は確認することができました。NuRADにくっつけても使えるもっと小型で安定したモーションMIDIコントローラーがあれば欲しいかもしれない。
 Aerophone Pro (AE-30)とか、近々出るRobkooとかは本体にモーションセンサーも音源も内蔵なので、設定も楽でしょうし動作も安定してるでしょうから羨ましいです。


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