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根性なしの生活改善の意外な効用

まずい、太った。

4週間前、鏡に映った自分をみて思った。
20代は人に心配されるほど華奢で、背は平均よりも高いのに、服は全て一番小さいサイズが体に合った。
30代に入ると、これまで胃腸の不調で痩せていたことが判明し、胃腸の治療とともにぷくぷくと太った。
痩せていたことを特にコンプレックスには思っていなかったので、途中、どこまで太るのかと気を揉んだのだが、あるところで止まり、それとともに長年の慢性的な具合の悪さが改善された。

太ってからの人生は楽だった。不調がないだけで、こんなにも人はおおらかになれるのかとびっくりした。それまで、自分に余裕がなかったので、周りに対しても寛容になれず、結局自分が振り回されていた。
それが、胃腸が改善しただけで、全てのことに寛容になれた。残念ながら、私は余裕がないと人にはやさしくできないらしい。

がしかし、冒頭の太った、は、その太ったではない。カナダへ来てさらに太ったのだ。それもそのはず。
授業は全てオンライン。キャンパスから公共交通機関でおそらく2時間ほどかかるところに住んでいて、キャンパスを訪れたことは一度もない。
また、人生で初めてマンションというものに住んでいるのだが、これがなんとも性に合わないらしく、普段出歩くのが大好きだった私が完全な出不精になっている。出不精になったのには別の要因もどうやら絡んでいそうだが、長くなるので今回は割愛する。

何より私は運動が大の苦手である。とにかく根性がなくて三日坊主なので、中高と運動部ではあったが、ろくな活躍をした記憶がない。
さらには同居カップルが、Uberが大好きで、一人で違うものを食べるわけにもいかず、アメリカンな食卓に舌鼓を打っていたら、肥えた。出歩かずに油物ばかり食べていたらそりゃあ肥える、当然の結果である。

このままではぶくぶく太ってしまう。なぜかしら、千と千尋の神隠しの千尋の両親が思い浮かぶ。
だめだ。なんとかしなくては。

まずは食生活の見直し。これまで美味しくお腹いっぱい食べてしまっていたのだが、これはおそらく見直したほうがいい。腹八分目を心がけた。
それから冷蔵庫に簡単に調理できる野菜を1、2種類用意しておく。気休めかもしれないが、多少のビタミンが取れるし、元々は健康的な食事が好きなので、フレッシュなものを食べるのは気持ちがいい。
さらにできる時には自炊を心がける。野菜を使った料理をするのが好きなので、自炊ができればだいぶ肉に偏りがちな食生活を修正できる。

次に、運動。手始めに市内にあるシェアサイクルの年会費を払い、いつでも自転車に乗れるようにした。これで、公共交通機関の待ち時間がなくなり、だいぶ外出へのハードルが下がる。
それから毎日、10分の筋トレを始めることにした。友人に話したら、え、たった10分?と半ばバカにされたのだが、この10分の筋トレすら、体が重くなり、普段運動をしない私にはだいぶきつい。

それからはや4週間。
劇的な変化は特にないが、とりあえず、気軽に外出できるようになってきたし、10分のワークアウトが習慣化し、苦ではなくなってきた。最初、全く形にならなかった筋トレはフォームを気にする余裕が出てきた。
また、長年猫背と極度の肩こり、さらには頭痛に悩まされてきたのだが、筋肉がついたことにより良い姿勢のコツのようなものがわかってきた。意外な副産物である。

なんといっても、根性なしの自分が、自主的に始めたワークアウトを4週間も続けていることがとても嬉しい。最近は、慣れてきたので別のメニューを取り入れようかと思っている。太ってしまったことで始めたことだけれど、少し自信になっているのであながち太ったのも悪くないなと思っている今日この頃である。

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