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【今週で終了】知らない人から手紙が届く「赤崎水曜日郵便局」に手紙を出してみた

水曜日の出来事について書いた手紙を送ると、知らない誰かの水曜日の物語が送られてくる

熊本県津奈木町岩城の町立つなぎ美術館が2013年度から実施しているアートプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」についてご紹介します。

赤崎水曜日郵便局とは?

このプロジェクトは2013年6月、校舎が海にせり出ていることから「海の上の小学校」として知られる旧町立赤崎小の廃校された校舎を利用して始まりました。机などの木材で作った郵便ポストを設置し、水曜日の物語を書いた手紙を募りはじめました。届いた手紙は、個人情報などを伏せて無作為に別の差出人に転送しています。

これまでに5000通を超える手紙が交わされ見知らぬ人同士が一期一会の出会いを紡いできたとのこと。

この郵便局は水曜日のみ“営業”されており、それ以外は定休日。水曜日にしている理由は、水曜日が記憶に残りにくい一週間の真ん中であるため、平凡な一日を大切にして欲しいという意味が込められています。

水曜日の出来事を綴った手紙に挑戦!

この赤崎水曜日郵便局が2016年3月いっぱいで閉局します。僕はSNSやメールなどのデジタルツールに慣れてしまい、手書きの文章を書く機会は無くなってしまいました。

だからこそ、久々にペンをとってダウンロードした専用の便せんに水曜日の出来事を書きました。

その内容を皆様へ共有いたします。

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2016.3.23 (水曜日)

桜のつぼみが膨らんで暖かくなった昼間の陽気から一転、外が暗くなると肌寒くなってきた。

今夜は知り合いの送別会が行われて、10人ほどが集まった。この3月に浜松を離れるのは2人。1人は会社の異動で岐阜へ、もう1人は現役の航空自衛隊員で、半年間別の場所にある訓練学校に入るという。いずれもお会いする機会はあまり多くなかった。しかし、僕は今後も浜松に残り続ける者としてお別れを言いたい気持ちがあった。

送別会が行われたのは近所の中華料理屋さん。浜松に残る者はいずれも自費で料理を頼んだ。僕はこのお店にしばしば通っていて、ボリューム満点の台湾そばが大のお気に入りだ。

ところが気持ちだけで駆けつけてしまったため忘れていたことがあった。給料日前で台湾そばを食べるお金が無い。財布の中には400円ちょっと。あと200円、どうするか・・・

僕の自宅には、祖母が生前貯めていたキザキザ縁の十円玉が入ったコインケースがあった。悩みに悩んだ結果、このギザ十を使うことに決めた。

「ばあちゃん、許してください!」

仏壇に手を合わせて、僕は昭和30年前後のギザ十を20枚ほど持って行った。こんなことに使われるとは祖母も思っていなかっただろう。

送別会は終始和やかに行われた。岐阜へ異動する知り合い、ラーメンが大好きで機会があったら浜松に戻ってラーメン屋巡りをしたいと言った。

僕も台湾そばを堪能して、幹事がまとめて会計をしてくれた。店を出て、僕は幹事にお金を渡さなければいけない。

「十円玉だらけでもいいですか」

すると幹事はこう言った。

「参加者に渡すおつりが足りなくて困っていたから、たくさんあったほうが助かるよ」

祖母のギザ十が役に立った。ギザ十のおつりを渡された参加者、物珍しそうにその硬貨を眺めていた。

「どうしてこんなに持っていたの」

そう思うよね・・・

春は別れの季節でもあり、同時に出逢いの季節だ。浜松を去る者もいれば浜松にやってくる者もいる。僕はこの春も新しい出逢いが起こることを期待したい。

Wind.(かぜ) 29歳 静岡

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書いていて気づいたこと

手書きで文章を書くこと自体それほど苦では無かったし、とても新鮮な体験でした。

もう一つ気づいたこと。僕はブロガーなので、楽しく・面白い文章を書くことを日々努めてきました。その影響からか、平凡な文章が書けなくなっていたのです。上記の手紙で起こったことというのは全て本当のことなのですが私の頭の中から「起承転結を付けなきゃダメだ!」と訴えはじめ、それを振り切った結果、一度も書き直しをすることなく便せんを文字で埋め尽くしてしまいました。

果たして、どんな方からどんな手紙が届くのでしょうか?

手紙を送るには?

赤崎水曜日郵便局 専用便せん

上記リンクから専用の便せんをダウンロードし打ち出した上で水曜日に起こった内容を書き、別途準備した封筒に以下の宛先を記入の上ポストに投函してください。

〒869-5605 熊本県葦北郡津奈木町福浜165番地その先
赤崎水曜日郵便局

締め切りは明日31日(木曜日)の消印有効です。時間がありませんので、手紙を書いて送ってみたいと思った方は今すぐ今日(水曜日)の出来事を綴ってみましょう!

赤崎水曜日郵便局

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