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ニンジャスレイヤーAoM(第4部)はどこから始まってどこへ行くのか+おまけ(2)

こんばんは、望月もなかです。
ニンジャスレイヤーAoM感想~余談&おまけの休憩回です。(有料部分はおまけの手書き感想ノート画像※大量※です)。たわごと余談記事は全文読めますので、息抜きにどうぞ。

タキとマスラダが出会った夜、物語が始まった。

あれはたしか第1シーズン中盤あたりを読んでいたときのことです。
忍殺感想を更新したあと、noteを読んだ夫くんが言いました。

夫くん「HAHAHA。第4部を気に入ってもらえてうれしいよ。コトブキちゃんだけじゃなく、マスラダとタキの関係性まで好きになってもらえるとは思わなかった。このコンビをピンポイントで好きってヘッズはあまり見ないから……」

望月もなか「えっ……そうなの!? 第4部はタキとマスラダの物語なのに!?

夫くん「……(同情に満ちた顔)」

私は! 私は本気で言っていたのに!!
少なくともシーズン1に関しては、「タキとマスラダが出会って別れる物語」としてシリーズ構成がなされているんですよ! わたしがシーズン1のラストでタキさんの動揺っぷりにシンクロして落ちこむどころかニヤニヤと悶えていたのも、この展開がわりと想定内だったからであり、この物語は一度どこかでタキとマスラダの別れを描くはずだと予想していたからなんですよ。

違うんです、別に私がこの二人の距離感にイカれてるからそう言ってるわけじゃなくて、ちゃんと物語の構成として、そのような分析もできるんだって話をしているんですよ。はい。それが唯一の正解ではないにしろ、間違いなく「タキとマスラダの物語」という側面はある。あります。はい。あるったらあるんです。

独断と偏見で組み上げられた戯言ではありますが、以下、根拠として私が考えているアレコレについて、この機会に思う存分語ろうではありませんか。

<1>
「物語の始まり」を読み解く

問題: 『ニンジャスレイヤーAoM』(第4部)、第1シーズン第1エピソードは、一文で要約するとどんな話か?

答え: うだつの上がらない情報屋が、死神と出会う話です。

はい。当方の主張はこれに尽きます。

「一人」だった二人が偶然出会って始まった物語なのだから、最後には「別れる」「『一人』じゃなくなって終わる」のどちらかしかありえない。

もちろん世にあるエンタメすべてがそんなにシンプルではないと思いますが、『ニンジャスレイヤー』という作品は、構成要素の奇抜さに反して、ストーリー構成は常に緻密で骨太で、かつ王道です。また、小説でありながら、非常に映像作品的な描き方をする作品でもあります。

ですから、オープニング・イメージと、エンディング・イメージは、できるかぎり何らかの形で対比させてくるだろうという信頼がありました。

もう少し、詳しく見ていきます。

「ニンジャスレイヤー第4部 『エイジ・オブ・マッポーカリプス』」という海外ドラマを見ているとしましょう。

第1話にあたる『トーメント・イーブン・アフター・デス』、このエピソードでは、タキが物語の案内役を務めました。

ですからある意味、タキが視点主人公という見方もできるのです。望月は感想の中でタキえもんとかいってましたが、実際はタキがのび太、マスラダさんがドラえもんに近い。
タイトルは『ドラえもん』だけど主人公はのび太。
タイトルは『ニンジャスレイヤー』だけど主人公はタキ。
そういう構図として読んでいくこともできる。(まあ実際には、ストーリー上の目的をもって行動するのはマスラダ……ニンジャスレイヤーであり、タキさんは後ろでうだうだ言って巻きこまれる役割なのですが)

ともあれ、第4部シーズン1は「うだつの上がらない男のもとに、超常存在がやってきて、冒険に巻き込まれることになる」というドラえもん型ストーリーとして始まっているわけです。

さて、そのうだつの上がらない男。

貧民街の出で、犯罪に手を染めなければ生きて行けなかった少年。慕っていた姉代わりの少女を失ったことで、まっとうに身を立てようと決意し、なんとかひとりで生きてきた。しかしまた、ちんけな失敗で今にも殺されようとしている男。彼がなんとか手にしたのは不吉な住所にあるちっぽけなピザ屋ひとつだけ、それもまもなく失われてしまう。

ストーリーはここから始まります。

最初のタキはなにも持っていない。それだけでは物語になりません。「なにも持っていなかった男が、冒険を経て、なにかを手に入れる」……それが物語というものです。

捕まったタキの独白を読んでみましょう。

誰か、聞こえるか。ここから助け出してくれ。オレにゃカラテもカンフーも銃も無え。(『トーメント・イーブン・アフター・デス』♯1)

端的に「今のタキに足りないもの」=「タキがこれから手に入れるもの」をあらわしているシーンだと思いませんか。

カラテはマスラダさん、カンフーはコトブキちゃん。
銃は『ウィア・スラッツ・チープ・プロダクツ・イン・サム・ニンジャズ・ノートブック』でタキ自身が手にしていました。(とはいっても本来タキの戦場は銃を使わないところにあるので、第2シーズン以降「銃」に相当する誰かが、タキと出会うのかもしれないとは思っています。)

ところで急に真面目じゃない話をさせていただきますが、

ニンジャスレイヤーは苛立たしげに溜息をつき、タキを背負った。タキは口笛を吹いた。

『トーメント~』読み返したらマスラダがタキさんをおんぶしているシーンがあったので目を疑ったあと悶えて噛み締めて額を覆った。うあぁ……背負った……背負っている……あのマスラダがあんなに冷たく接しているタキを実は第1話でおんぶしている………! 読み返してよかった。ありがとうブッダ。

そうして、第4部のエピソード1はこの言葉で締めくくられます。

どうやら、オレが拾ったのはただのアホじゃなかったらしい。
オレが拾ったのは、死神だったんだ。

物語は、わずかなものしか持たないタキと、持っていたものをすべて失ったマスラダ……二人の男が出会った夜から始まったのです。


<2
復讐譚としての『ニンジャスレイヤー』と、第4部

「マスラダ・カイ」に焦点をあてて「ニンジャスレイヤーの物語」がどこから始まったのかを考えれば、それはマルノウチスゴイタカイビルでアユミを失った瞬間から始まっています。

ですが、<1>で見てきたように、第4部『エイジ・オブ・マッポーカリプス』は「新ニンジャスレイヤーの復讐譚」でありながらも、ストーリーラインとしては「タキとマスラダが出会い、新しい仲間を得て絆を深めながらともにサツガイの謎を追っていく」という形をとっているんですね。

タキが出会った死神、マスラダ・カイは、タキには何も言いませんが、復讐のために動いています。必死です。自称天才ハッカーのタキは、わけもわからぬままニンジャ同士の抗争に否応なく巻きこまれていきます。

しかし、ストーリーが進むにつれ、「本当にサツガイがアユミの仇なのか?マスラダの記憶はどこまで信用できるのか?」という大きな謎が提示されはじめます。
また、復讐者であるマスラダに、タキ以外にもコトブキという協力者が現れます。貸し借りで結ばれていただけの空間に、コトブキちゃんが明るさをともし、ピザタキがマスラダのせいで壊されかけるエピソード(『ストーム・イナ・ユノミ』)を経て、3人は徐々に家族のような関係に近づいていきます。『ストーム・イナ・ユノミ』がシリーズの折り返し(全12話中6話目)に配置されたことには意味があると思います。ここから後半に向けて、マスラダとコトブキとタキの距離が縮まっていきます。

極めつけは第1シーズンラスト手前に、タキのためにコトブキ(結果的にはマスラダも)が奔走するというエピソード(『ウィア・スラッツ・チープ・プロダクツ・イン・サム・ニンジャズ・ノートブック』)が配置されたこと。ここからラストの3人離散につながる流れは構成として完璧であり、美しいですね。

なお、これらと並行してサツガイに一歩一歩近づいていくという復讐譚のストーリーラインをしっかり進めていくところが緻密すぎてヤバいんですよね……。構成の鬼か?

以上のように、第4部は、「ニンジャスレイヤーの復讐譚」というこれまでの流れを踏襲しながらも、第1部のような純然たる復讐譚とは似て非なる構成になっています。

<3>
物語の行き着く先は

ドラマの本質は変化にある。

ほしかったなにかを手に入れる。目的を果たす。失ったものを取り戻す。未熟だった己を成長させる。これまで見えていなかった、大切ななにかに気がつく。手から零れ落ちたなくしものが、心の中に灯っている。なにもかも失って立つこともできなかったれど、自分の足はまだあったことに気づけたから、つらくても歩いていくことにする。

始まりの絵には描かれていなかったものが、終わりの絵には描かれている。

そういう王道を、ニンジャスレイヤーはさまざまな物語形式を縦横無尽に使って描きだしていると思います。トンチキなことをやっていても、物語として真摯です。

なので、物語の始めに二人の男が出会ったのだから、マスラダの行く先にはなにかしらの形で、タキとの関係性の決着が待っていると私は思うのです。

だからね、私は別に幻覚を見ているわけではなくてね、マスラダとタキはこれからもまだまだイベント(イベントとは?)をこなしていくべきだと思っているしCG(CG?)はまだまだ回収したいし、私の願望だけでなく構成上もそういうことになるだろうって期待しているんですよ!! というお話です! 頼むぜボンド&モーゼズ!!!!!!!!

おまけ《手書き感想ノート:第2弾》

さて。当記事のもう一つの目的です!
「おまけ/手書き感想ノートまとめ(第2回)」。第1シーズンが終了したところでキリもいいですね。(前回のおまけ記事はこちら

私の「ニンジャスレイヤー」感想記事は、基本的に、読みながらノートに手書きしていた感想メモを取捨選択してまとめなおしたものになっています。(基本的な内容はほとんどnoteの記事と同じです。)

差分としては、読みやすさを優先してnoteには書かなかった細々としたツッコミや、ちょこちょこ落書きがあるあたりでしょうか。あと、盛り上がってくると急に誤字が多くなり文字が乱雑になります(笑)

◆こんな感じの画像です(2枚ほど抜粋)◆

画像1

こういうのが…合計60枚……あります……。

スクロールバーが消えそうな画像枚数になっている&制限なしに生原稿を載せるのは少し恥ずかしいため、ここから先は「おまけ」ゾーンです。

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