ニンジャスレイヤーを第4部-AoM-から読みはじめる/シーズン3_2「エンター・ザ・ランド・オブ・ニンジャ」(後)
こんばんは、AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。
今回のエピソードはちゃんと考えて言語化しておきたいことが多くて、そのうち別途雑談記事をあげたいくらいです。とりあえず感想に盛り込めるかぎり書いていこうと思います! がんばるぞー!
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前回の感想はこちら。
【前提1】望月のニンジャスレイヤー知識
・6年前に書籍第一部を3巻まで読んだところで中断。だいぶ忘れてます。
・2019年8月に『スズメバチの黄色』読了。
・2019年11月~2020年3月にかけてAoMシーズン1を読了。
・2020年5月~10月にかけてAoMシーズン2を読了。
・実況は一度だけ参加しました(20年2月の3部野球回再放送)。
【前提2】感想の方針
・〈NJrecalls〉さんのまとめを、上から順に読んでいきます。
・Wikiはまとめを読むために参照していますが、それ以外の知識はあえて入れないようにしています。ノーガードで衝撃を受けるのを楽しみにしているので、情報を与えずそっと見守っていただければ幸いです。
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今回のエピソードはこちらです。
シーズン3「エンター・ザ・ランド・オブ・ニンジャ」(後)
謎のニンジャ、フィルギアはコトブキに語る。彼らが足を踏み入れたの名は『ネザーキョウ』、リアルニンジャ・タイクーンの支配する土地である。そして目指していたバンクーバーは、暗黒メガコーポとの戦争により火の海と化している……
♯4
フィルギアは呟く。「だから、心配なんだ」
軽口ではなく本当に心の底から憂いていそうなところ、フィルギアさんが魔性の極み。
真心を装備したサークラ族(※ただし真心があるので破壊を誘発する行動はしない)って感じで……なんか……フィルギアさんのことはシマサーの姫だったらしいということしか知らないんですけど、底知れない妖しさが優しさを装備しちゃったら……それはもうヒトという枠に留まることはできなくなっちゃうじゃないですか。だから誰とも長い期間つるまずに放浪しているのかな……
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「ああ。それがいい。……ちゃんと話をしなよ。悪い事は言わない。面会謝絶もいいが……話をするのは、大事だぜ」コトブキは肩を落とした。
そうそう。話しようね。
第三者の冷静な意見がもらえてホッとしました。
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ところで。
ピザNTR事件のときからちょっと気になってたんですけど、ひょっとしてコトブキちゃん、「行動に表さない、言葉にもしない、隠された気持ち」をまったく認識していない…というか、認識できないのかな?
「シトカピザNTR事件」で、コトブキちゃんがタキを気遣う様子もなくマスラダにピザを渡しまくるのに、かすかな引っ掛かりを覚えていたんですよね。優しいコトブキちゃんにしては珍しいなぁと……。
で。考えてみると、おそらく、タキは「本当はピザを食べてほしい」なんて顔にも言葉にも表したことはなかったんだと思ったんです。
「ピザもありますよ」「ほっとけほっとけ、あいつワーカホリックなんだよ」マスラダが居なくなるのを見計らってから、タキは残念そうな表情のコトブキに言った。/「ネオサイタマのアクション映画とVHSテープ」より
これが日常だったとすれば……タキは、誘っても乗ってこないマスラダを「あいつはああいう奴だから、ほっとけ」というスタンスで扱っていたのだと思います。食べてもらえなくて心のどこかでは残念に思っていたのでしょうが、コトブキの前でことさら残念そうな素振りを見せたこともなかったんじゃないでしょうか。
マスラダも、タキにはいつも素っ気ない態度をとっています。頼まれたおみやげも買わないし、食事(ピザ)に誘われても無視。IRC病のときは一瞬、戸惑った様子を見せましたが、これまでと遜色ない力強いカラテでニンジャをスレイして、ピザタキに帰ってからもタキに向かって心配の言葉を掛けたりもしなかったでしょう。
もしかしたらコトブキは、タキが心の奥底ではマスラダに冷凍ピザを食べてほしいと思っていることも、マスラダにとってタキが大切な存在なのだという事実にも、我々が思っている以上に気づいていないのではないかと感じたのです。
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そして改めて思い出されるのが、シーズン2『ライフ・アフター・デス』の『頼む』事件なんですけど。
「頼む」ニンジャスレイヤーは言った。タキは狼狽した。(略)「シキベ=サン達がわたし達に会いにくる事と、タキ=サンの直接の関係は……?」コトブキは混乱した。(『ライフ・アフター・デス』♯7)
(何度読んでも顔を覆って悶絶してしまう、むり、マスラダずるい)
ここ、心配をかけまくった挙句に「ゾーイを送り届けるからシトカを出る経路をくれ」と二人に言われてぶちキレたタキさんが、怒り喚いたあとの一コマなのですが。
ずっと命令口調で、おまえはおれに借りがあるから言うとおりにしろという上からスタンスだったマスラダくん。彼がここで頭を下げるように「頼む」という言葉を使ったのは、きっとタキさんが二人を案じていた気持ちを、怒涛の罵倒から少しだけでも理解したからなのだと思っています。私は。私はそう思っています。きっとそうなんです!
だけど、コトブキちゃんはタキさんが自分を心配していたことにおそらく、気づいていないっぽいんですよね。
というわけで、今回のエピソードでも、タキのことを持ち出しもせず、「ここで暮らせます、平和です」と真顔で言ってのけてしまう。
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コトブキちゃんは、人々の言動を観察して、蓄積されたデータと照らし合わせて人となりを推測しているだけ、なのかもしれない。というのが現時点での推論です。まあウキヨに限らず人間だって大なり小なりそうなんですけどね。境界面が、もっとパキッと明確といいますか……。
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というわけで、ここ。
「マジに面会謝絶なのか?本当に?」「苦しい戦いの中で、マスラダ=サンはひどく傷つきました。(略)」
い、いやあ? 傷ついたというには、飛び蹴りかますし元気だよね?
という違和感で初読時は首を傾げていたんですけど、コトブキちゃんは私が思っていた以上に「オイランドロイド」なのだ、と認識を改めることで納得できた気がします。
「ニンジャスレイヤーです」と名乗りながら黒炎を出力できない姿を見るたびに、「プログラムを走らせようとしても走らない壊れた端末」を見せつけられている気持ちになっていたのかなぁ……挙句にひどい怪我までしちゃうし、枕元で泣き出してしまったのも無理ないです。
マスラダ、話をしろ……思いは伝えないと伝わらないんだ……。
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それはさておき鬼退治。
やっつけた邪悪ニンジャには兄がいる、弟が消えたから絶対探しに来るらしい。こわがる村人。大丈夫、迎え撃って倒しましょう!と熱弁を振るうコトブキちゃん。心を和ませるイラストレーションかわいい。
「気になって戻って来たら……その作戦、キミ一人で考えたの?」「確かに、わたし以外のブレーンの存在を疑うのも無理もないですね」コトブキはフィルギアに頷いた。フィルギアは窓枠に突っ伏し、沈思黙考。
窓の外で作戦を聞いていたフィルギアさんが遠回しに突っ込んだら、斜め上の回答を投げられて言葉を失い突っ伏してるの可愛い。
詳しい話を聞いて考えてみたらニンジャの相性的にイケる作戦だったのでGOが出ましたけど、最初は絶対(エェ~ッ………?)って反応してましたよねフィルギア氏……。笑った。
♯5
マスラダが殺したニンジャには、さらに残虐な兄がいる。報復に怯える村人たちを焚きつけたのはコトブキだった。立ち上がれ、たとえ無茶でも無謀でも、戦わなければ生きられない!
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龍の鳴き声、一応脳内ではそこそこ怖い声で再生されるんですけど、字面を見るたび(はんにゃあ~)って可愛い声で上書きされるので気が抜ける。
彼はかつては二本腕であった。もう二本はオダ・ニンジャの腕だ。
タイクーン。その真の名を、アケチ・ニンジャ。彼は平安時代を終わらせた「江戸戦争」において、主君オダ・ニンジャをムーホンによって葬り、肉体を奪い、融合を果たした。
お、おう。
明智と織田はいるのに、豊臣はいないのが気になりますね。といっても明智が謀叛に成功した後、誰にも討たれず生き延びているのですから、一種のIF史観と考えた方がいいのかな? そもそも本来の歴史では明智も織田もニンジャじゃないので、考える必要があるのか謎ですが……
タイクーンは祭壇の髑髏の杯を掴み、第七寵姫レネが注いだサケを呑み干す。オダ・ニンジャの髑髏である。
おお~髑髏杯だ。織田信長のやったことを真似ているのかな、などと深読みしてしまいます。まあ織田信長はニンジャじゃないんですけど……
(というか平安時代を終わらせた「江戸戦争」……あまりに異常すぎて脳が認識できずにスルーしてしまっていた、なにこれ…? あんまり歴史と照らし合わせるとかえって混乱しそうですね)
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「愚民をインターネットに触れさせる気か、貴様」「エ……その……イノベーションがですね……」「インターネットは麻薬だ。堕落の源なり……」
「技術革新にも耳を傾けられよ」「当然だ。私を何だと思っておるか」タイクーンが睨んだ。「惰弱者の目を見れば、それが革新かブルシットかなど一目瞭然!我は真贋を見極む!奴は詐欺師よ!」
インターネットは麻薬、すごいセリフだ。すみません堕落してて。
どこまで織田と明智の関係をなぞっているのかはわかりませんが、史実の織田信長が新しいものを取り入れる達人だったことを踏まえると、その織田を討った明智が、織田の腕をその身に持ちながら、月破砕後の時代を生きるのに不可欠なインターネットを拒絶しているのって、なんか意味深……。アケチの屈託にも何か意味があるのかな、気になります。
あと『ギア・ウィッチクラフト』で出てきた「人体の集合無意識」=「インターネット」説もなんとなく関係しているようで引っ掛かりますね。なぜわざわざインターネットを禁止しているのか、キンカク・テンプルにオダのソウルがまだ存在していることと関係があるのか……ふーむ。単なる新しいモノ嫌いというわけじゃないのかも。
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そして古式ゆかしいバケモノ退治、そう、古来から、人知を超えたバケモノは、女姿の刺客を送り、酒を飲ませて酔わせるんです!
「アカチャン……ステキネ」不意に、コトブキが声を発した。村人たちは振り向いた。ヴォルケイノーは動きを止めた。
「アカチャン……オッキクネ」コトブキは身をくねらせ、魅惑的な仕草で手招きする。
がんばってセッタイするコトブキちゃん、頑張ってるけどちょっと笑ってしまう、ごめんなさい。頑張ってるんだけど……なんか……ドレスはだけたりしてても(おっ、からだ張ってるな!)とサムズアップするノリで読んでしまう…コトブキちゃんの可愛さは全年齢向けだからね。そういうこともあります。でもみんな一丸となって必死で頑張ってる!えらい!
♯6
村人を虐げ悪逆の限りを尽くしたニンジャ兄弟の片割れ、マグマ・ニンジャ・クランのヴォルケイノー。村人とコトブキは、ヴォルケイノーをサケとキノコで歓待し、攻撃の隙を窺う。そして、好機は来た――!
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手に汗握る、村人vsヴォルケイノー。壮絶です。
そこに来るマスラダくんの飛び回し蹴り! ネコ科なので飛び蹴りが似合う!
だがコトブキはそのエントリー者をまっすぐに見ていた。彼女の目から涙が流れ落ちた。彼女は、涙だ、と自覚する事すら忘れた。
えっ! いつの間に涙機能が実装されたの!?
普通にそっちが気になってしまって、あれ、だってコトブキちゃんって泣いても涙は流れない設定でしたよね、と『ダメージド・グッズ』を読み返してみる。
◆◇◆
コトブキは首を振り、笑おうとしたが、笑えなかった。顔を歪め、膝から崩れ、嗚咽を始めた。「ウウ……アアア……」
それは言葉にならない悲哀の叫びだった。「アアア……アアーン!アアーン!」涙を流さぬ号泣だった。
(『ダメージド・グッズ』♯7-Twitter連載版)より
そうそうここです。
泣き叫んでいるのに、涙が流れない。
アンバランス感が強調されていて、コトブキちゃんが「ウキヨ」である事実が淡々と伝わってきて、とても印象的だったんですよ。
なんで急に涙が流れる設定になったんだ……頭部のパーツ変えたのか…?と、ふと気づいて加筆修正済のnote版を読んでみました。
◆◇◆
コトブキは首を振り、笑おうとしたが、笑えなかった。顔を歪め、膝から崩れ、嗚咽を始めた。「ウウ……アアア……」それは言葉にならない悲哀の叫びだった。「アアア……アアーン! アアーン!」コトブキは泣き続けた。声を上げて、泣き続けた。「アアーン! アアーン! ウアアアーッ!」
(S1第7話『ダメージド・グッズ』-note版)より
ぼ、ぼかされてる! noteでは、涙が出ない機能の描写が消えてる!
ほえ~……そういうこともあるんですか。じゃあ涙機能は最初から実装されていたということ?
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「おれの目的は、おれが決める」マスラダは言った。「ずっとそうだ」
そうそう。それがマスラダ・カイ。
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シンウインター戦では「貸し借りなしだ!」と言い張って力を引き出したくせに、「借りを返す」という名目で(待っていろ)とか言っちゃうマスラダまじマスラダ。貸し借りマシーンだよね、それ誰の教育なの? アユミさん?
本調子じゃないながらも頑張ったマスラダくん! かっこよかったぞ!!
♯7
マスラダは赤黒の火をひととき引き出し、ヴォルケイノーを打ち破る。鮮やかなモミジを踏みしめ、マスラダとコトブキはまた旅を続ける。
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眼前の道が開け、粗末な風車小屋があらわれた。人里が近いか。ヘラルドはニンジャ第六感を研ぎ澄ませる。
だれ……?
あっごめん、思い出しました、ごめん!
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ヘラルドさんに甘い囁きをくりだす魔性の男。むーん。狙いがわからぬ。
「蛇?なぜわかった?」フィルギアはからかうように舌を出した。
舌を出すな!!!
ネザーキョウは18禁ゾーンじゃないのでだめ!
そういうことは夜の世界でやってください!!
フィルギアさん底知れないな、ガーランドさんが地に足の付いた卑猥だとすれば、フィルギアさんは真っ暗ながらんどうの穴の上で悠然と佇むタイプの魔性ではありませんか……は~、たいへんだ……。
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タイクーンの囚人クキキキさん、誰だろうと思っていたらこれ、ひょっとしてケイトーさん? この口調、ケイトー・ニンジャっぽいですよ。ということはフィルギアさんが言っていた「妙な事をしそうな奴」=ケイトー・ニンジャである可能性が高そう。
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風が吹き抜け、モミジが散るなか、動きやすいカンフー・ウェアを着たコトブキとニンジャスレイヤーは向かい合い、アイサツした。
2人で組み手してる~~~~~!!
これまでマスラダくんはずっとナラクちゃん頼りで戦っていたみたいなものですし、ここで一から身体の使い方、動かし方を学んでいくのはいいことかもしれませんね。
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復讐を果たしたマスラダにとって「ニンジャスレイヤー」という名が今後、どういう意味を持つのか。「重荷」どころか、むしろ捨てたくなさそうだったのは印象的でした。弱体化しながらも名乗りに拘っていたところからして、きっと何か彼なりの想いがあるんでしょうね。その名を捨てたらアユミの記憶ごと捨ててしまうみたいな感情でもあるんだろうか、アユミにもらった命の証……ヴッ……。
ではでは、今日はここまで!
また次回の感想でお会いいたしましょう!
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