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ニンジャスレイヤーAoMとマスラダ・カイの人生の物語

こんばんは! 望月もなかです。メンバーシップ入っていただいた方がいらっしゃり感謝を噛み締めております。ありがとうございます…!!あなた方のためにいつか何かしたい!いつか何かします!!

さて、久しぶりの雑談休憩記事です。
現状:AoMからニンジャスレイヤーに復帰して感想を書いたりしつつS4第7話まで読了、トリロジー三部作は第2部まで読了済
当初は【デストラクティヴ・コード】の感想記事内で書いていた文章なのですが、横道にそれる内容が多かったので、こちらに独立させました。S4までのおおまかなネタバレもありますので気になる方はご注意くださいね。

マスラダ・カイのニンジャスレイヤー

この1年、AoMシーズン4の感想を書きながら、各シーズンごとの構成の意図や、今後のマスラダ・カイを主人公としたニンジャスレイヤーシリーズについて考えていました。

Twitterで連載が始まったとき、漫画化したとき、アニメになったとき、そして私が一番初めに作品に触れたとき、「ニンジャスレイヤー」といえばフジキド・ケンジのことでした。けれど、私が何年かニンジャから離れていて戻ってきたとき、「ニンジャスレイヤー」はマスラダ・カイになっていました。

第4部開始から早6年。もうマスラダくんは、フジキドさんと同じくらいかそれ以上の時間、「ニンジャスレイヤー」をやっていることになります。そのせいか、最近の私はマスラダの次のニンジャスレイヤーのことを考えてしまうのです。

今の私にはフジキドとマスラダ以外の「ニンジャスレイヤー」が主人公の物語だなんて想像もつきませんが、きっとトリロジー三部作リアタイ勢の先輩方もそうだったのでしょう。でも、マスラダくんが新たなニンジャスレイヤーとして10年後のネオサイタマに現れ、PLUSではかつてのニンジャスレイヤー・キルジマさんのエピソードが発表されたりもしました(※望月は未読です!いつか読みたい)。
マスラダくんはそのまま6年かけて彼自身の物語を紡ぎ、ナラクを失い取り戻し、己の職業を「ニンジャスレイヤー(問題解決屋)」と再定義するに至ります。先だっては遂に第四部予告編の光景も実現し、ニンジャスレイヤーとしてのマスラダ・カイは円熟期に入ったといえるでしょう。

復讐に一区切りつけ、新たな人生の目標を定め、さらにシーズン4でのマスラダは、モータル時代の過去…オリガミ・アーティストのマスラダ・カイ自身とも向き合おうとしています。

マスラダ・カイ自身の大きな物語もまた、佳境に入っているのでは?と思うのです。

カリュドーン編の未来

以前こちらの雑談記事で、AoMは二人の孤独な男が出会った瞬間から始まる物語、という与太話を書いたのですけれど。

実際、ここで書いたころから物語の骨子は変わっていません。「タキとマスラダが出会い、新しい仲間を得て絆を深めながらともにサツガイの謎を追っていく」のがAoMの本筋です。シーズンが進んでも、見事にここはブレません。サツガイの謎は、シーズン4に至ってもなお健在です。マスラダを過酷な運命に巻き込み、イクサへ巻き込む、物語の推進力であり続ける。

さて、第四部/AoMがそういう話だとして。
これは私が勝手に思っているだけなんですけど、シーズンごとにもまた、なんとなく裏テーマのようなものがある感じがするんですよね。ひとつのシーズンを通して、主要登場人物たち全員に何らかの変化があって、そこには何らかの共通点がある……みたいな話です。

シーズン1では、メインメンバー、ピザタキトリオが出逢います。AoM世界観の提示と、マスラダ・カイの人となり、さらに今のフジキドを描くことでマスラダーナラクの距離感を読者に改めて提示します。なおここがミスリードを兼ねているのも巧いです。バラバラだった3人の息が合い始め、ずっと一人で生きてきた彼らに「帰る場所」ができました。

シーズン2は、シンウインター、スーサイドとシトカ、シルバーキー&ゾーイ、ソウカイヤ、フジキド・マスラダ・ピザタキと、あらゆる形で「家族という共同体」を描いていたなと思います。以前にも書きましたがプレシーズンでフィルギアさんの言った「家族は大事だぜ」です。

シーズン3は「会話は大事だぜ」……もとい、魂の帰る場所と、それを誰かに託す未来のお話。受け継ぐもの、受け継がれるものの話だったと思っています。

それに加えてシーズン3では、AoMの始まりに出会った二人の男が、「出会う前に何を失ったのか」ということも描かれたと思っていて。マスラダは、新進アーティスト時代の自分。タキは、己をテンサイだと自負しハッキングに夢を見られていた少年時代。それぞれを「もう帰れない過去」だと思い込んでいる様子が描かれていました。

けれど……もう帰れないのでしょうか。本当に?

なんとなく、シーズン4って、ダークカラテエンパイアとの戦いを描いているのはもちろんなんですけど、その裏でピザタキの3人が「過去に置いてきたものと向き合い、取り戻す」過程も描いているのかなと思うんですよね。

戦いの中で現れた「作品」を突きつけられ、さらにアーティスト兼ニンジャのザナドゥと対話することで、オリガミ・アーティストである自分と向き合うマスラダ。

伝説的ハッカー・ナンシーさんに助けられるだけでなく、共に戦い、時には自分が彼女を助けたりしながら「オレはテンサイだ」と素直に認められるようになったタキ。

そして、自分に似て非なる人工生命体…「見目麗しい、造られた命」マークスリーに善意から一方的に愛情の形を定義され、生まれて初めて言いようのない怒りに困惑するコトブキ。

コトブキちゃんは、映画の愛しか知りませんでした。フィクションの中の感情に人々が揺さぶられるのは、鑑賞者の中に元々あった感情の写し鏡だからです。コトブキちゃんにはそれがなかった。だから、幼児が言葉をそのまま鸚鵡返しするように、かたちとして覚えていたにすぎなかったのだと思います。
でも、彼女が冒険の旅を通してマスラダに、タキに、ザックに、ピザタキという店に、ネオサイタマという混沌都市に、そしてこの世界に抱くようになった感情は、きっともっと複雑で、一言では言い表せない「愛」になっているはずです。近いうちに、彼女がマークスリーに言い返せなかった言葉を言語化する日が来るのかもしれない。私はそれがとても楽しみなのです。

人生は続くけれど、物語には区切りがある

と、いうわけで。シーズン4になってから、寂しいけれどマスラダくんの物語は少しずつ、ひとつの「区切り」に向かっているんじゃないかな…と感じることがあるんですよ。マスラダだけじゃない、タキも、コトブキちゃんも、成長し、過去と向き合い未来へ歩み出す過程で、ピザタキみんなの物語が区切りに近づいているような…そんな気がします。

アユミの遺志は継いだ。だからオリガミとの向き合い方を定めて、クソガバ儀式に巻き込んだリアルニンジャたちを全員ボコったら、あとはもう、「ニンジャスレイヤーの復讐譚」ではなく、「マスラダ・カイの人生」です。それを、復讐鬼「ニンジャスレイヤー」の物語として描く必要は必ずしもないんじゃないか、次のニンジャスレイヤーが現れる日も遠くないんじゃないか。

と、私は時々思うのです。個人的感情でいえばピザタキは永遠に見ていたいですけどそれはそれとして……メタ的に連載期間もフジキドさんに並びましたしね。

なんて書いていますが、正直、「サツガイの謎」に至るにはまだまだ先が長そうだと感じます。
マスラダは、己に関係なければ「どうでもいい」で流せる男ですけれど、サツガイのことは一生どうでもよくはならない。だからきっと、読者が考えているよりまっすぐに、サツガイを飛びこえて、元凶たるカツ・ワンソーを殺す!みたいな地点まで一足飛びに到達してしまうかもしれません。ニンジャ始祖とニンジャスレイヤーの間で決着がついてしまえば、「ニンジャスレイヤー」の世界観そのものが根底から揺らぎ、更なる混沌が始まってしまうのかも。

それだけではありません。
AoMは全世界が舞台になっている以上、まだまだ未踏破の舞台を多く残しています。沖縄とか!アフリカ大陸とかシベリアとか! ドイツとか近いところだとキョートもまだです!マスラダ&コトブキに全世界ニンジャ踏破ツアーしてもらうまで終わるわけがない!もったいなさすぎる!!というかシーズン5ではキョート編をやってくれ!!!!という強い願望もあります!!!(キョート違いですがキョート城勢力とYotHのこともありますし、アンガープログラム編でもう1シーズンくらいは普通にやるかも、やってほしい)

ただ、全世界ニンジャ踏破ツアーするんならここらでひとつ、フジキドさんがやってもよくない? むしろマスラダくんの「次」のニンジャスレイヤーがやってもよくない?って思っちゃう私もいる。

次世代のニンジャスレイヤーがいるとしたら幻覚

マスラダはナラクと一心同体でいるつもりのようですが、世界各地でギンカクが発見されつつある2048年、想定外の未来も十分に起こりえます。今だってシナリイさんに切腹迫られてますし、そうなると、ヤモトさんのようなリアルニンジャ化だって絶対にないとは言えない……ですよね。あの仕組みよくわかりませんが……

もし次世代ニンジャスレイヤーにバトンが渡されるとしたら、本当にどうしようもない時だけため息をつきながら首根っこ掴んで助けに入る先代マスラダと、孫に甘い頑固祖父みたいな立ち位置になる先々代フジキドが見たいです。さらに完全に私的な欲望を言うなら、次はフジキドさんが目を細めて「ウム!」と頷くような狂気選択をマスラダ並みのスピード感で平然と実行に移す(頭はキレるがフジキド並みにブレーキも壊れてる)やべー女がいいです。またはマスラダもフジキドも到底かなわない社交力を持つ若いコミュ強男でもいいです。

まじめな話をしていたはずなのに急に幻覚になりましたね。

終わります。

楽しいことに使ったり楽しいお話を読んだり書いたり、作業のおともの飲食代にしたり、おすすめ作品を鑑賞するのに使わせていただきます。