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ニンジャスレイヤーを第4部から読みはじめる/シーズン2_3「ライフ・アフター・デス」(前)

出戻り初心者ヘッズの望月もなかです。こんばんは! 
7月16日におそらく推しが関わっている新ユニットの情報解禁があるので、それまでにできるかぎりAoMを読み進めなければいけません。事と次第によってはしばらく立ち上がれなくなるので……正気を保たなければいけないのにこっちはこっちでピザタキ組が私の正気を粉々に砕こうとしてくる! 追い打ちやめてほしい! はぁ~情緒がぐちゃぐちゃですよ。三毛縞斑……そのシルエットは……おまえなのか……早く楽にしてくれ…………。

前回の感想はこちらです。


【前提1】望月のニンジャスレイヤー知識

・6年前に書籍第一部を3巻まで読んだところで中断。だいぶ忘れてます。
・2019年8月に『スズメバチの黄色』読了。
・2019年11月~2020年3月にかけてAoMシーズン1を読了。
・実況は一度だけ参加しました(20年2月の3部野球回再放送)。

【前提2】感想の方針

・〈NJrecalls〉さんのまとめを、上から順に読んでいきます。
・Wikiはまとめを読むために参照していますが、それ以外の前知識はあえて入れないようにしています。よって、単語がわからずよく混乱していますがそっと見守っていただければ幸いです。

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。
前半(♯1~♯4)まで読みました。

シーズン2「ライフ・アフター・デス」(前)

ショーゴー・マグチは死んだはずだった。ティーンエイジャーの頃、すべてを諦めた時に一度。ニンジャ人生に巻き込んでしまったあいつを庇い、逃がしたときにもう一度。死後の生活は花火のように少しだけ輝いて、また消えた。あとはしみったれた人生だ。
シトカのマフィア・過冬の<犬>として心身を擦り減らすスーサイド。……当代のニンジャスレイヤーは、彼に何をもたらすのか。一筋の光明か、さらなる闇か、それとも。

♯1

シーズン1最初のエピソードタイトルが『トーメント・イーブン・アフター・デス』でしたから、タイトルが対になっていますね。ニンジャスレイヤーと出会ったタキは、散々な目に遭いました。ゆえに『トーメント(拷問)』なのでしょうが、今回のタイトルは『ライフ(人生、生活)』です。ニンジャスレイヤーと出会ったスーサイドに待っているのは、どんな人生なんでしょうね。

ところでこのスーサイドさん。
彼、ミステリでいうところの信頼できない語り手っぽい独白してくるんですよね……。

たとえばここ。

上り調子。その時は最高だった。常に最高だと感じていた。昔の事など考える暇はなかった。 5

ここ、かなり注意して読まないと、「実は心のどこかで、もっと最高だった昔に戻りたいと思っていた」という本音が読み取れないんですよね。一箇所だけを取り上げてもわからない。前後の文脈を読んで初めてどうにかわかるかも、くらいの奥ゆかしさ。

本当に「最高だった」のであれば「昔の事など考える暇はなかった」という一文をわざわざ付け加える必要はないと思うのです。「考える暇がないくらい、生きることに必死だった」だけかもしれない。「うまくやっていると思っていたけれど、やっぱりそうでもなかった。後悔がある。月破砕前の昔が懐かしい、二度と戻れないあの日々こそが『最高』だった」という本音を包んだ銀紙のような独白です。彼はずっと自分に嘘をついて、「今が最高だ」と言い聞かせていただけなのかもしれません。何度か読むうちに、次第にそう感じるようになりました。

『エリミネイト・アナイアレイター ♯1』における「他人の命を吸う惨たらしいジツ」といいながら「このジツでどこまでも利己的になることができた」とつなげるくだりなんかもそうですけど、言い切れば言い切るほど、裏の本音が透けてみえるというか……スーサイドさん視点の文って、特殊なレンズがかけられているみたいです。自分を騙すことに長けた人の嘘つき日記を読まされている気分になる。

しかしスーサイドさんて良くも悪くも「ストリートの兄貴」の器なんですよね。はずれ者のガキ共に居場所の作り方を厳しく優しく教えてくれる人。

スーサイドがシンウインターに膝を屈してしまった理由もそこにある。彼は「善なるものを踏みにじることができない」性格のせいで、大きな力に利用されています。『ラスト・ガール・スタンディング』でヤモトさんへ謝らずにいられなかったところ、『エリミネイト・アナイアレイター』で汚れた報奨金よりもペナルティ覚悟で旧友を選んだところ、ストリートのガキ共を見捨てられなかったところ。この本性が、スーサイドの<核>でしょう。

というわけで「純粋を煮詰めて無邪気で固めた善なるもののカタマリ」ともいうべきコトブキちゃんて、ある意味めちゃくちゃ相性が悪い予感しかしないんですよね~! 罪悪感でメンタルぐちゃぐちゃにされるか、裏切れずにシンウインターから物理的にぐちゃぐちゃにされるかの二択になっちゃいませんか? 心配です。

「その……ニンジャスレイヤー=サンというのですが……」コトブキは言った。スーサイドの背筋が粟立った。「ニンジャスレイヤー……」「ネオサイタマから……」「……知らねえな」

サワタリさんやニャーちゃんもそうでしたけど、やっぱりこっちが普通の反応ですよね。ネオサイタマ出身のニンジャが「ニンジャスレイヤー」の名前を聞いたら、普通はこういう反応になりますよね。思わず懐かしさで口元がほころんでしまうシルバーキー氏の反応、あまりにも異質すぎるでしょ……? いったいどんなご関係で……?


♯2

シトカの酒場<筋>を訪れたコトブキは、ニンジャスレイヤーを知るアフロヘアーの男と出会う。彼は酒場に間借りしているニンジャであり、スーサイドと名乗った。だが、ネオサイタマからシトカにやってきたのは彼らだけではない。ソウカイ・シックスゲイツのニンジャたちもまた、「過冬」の牛耳るシトカを秘密裏に訪れていた……彼らの狙いとは!?

【Отмывание】…ロシア語辞書を引いたら【отмыть】(洗う、洗い流す、洗って汚れを落とす)の変化形っぽいですね。ググると「資金洗浄」とか出てくるのでまあ、そういう意味なんでしょうね。不穏。

一見堅物じみた眼鏡と後ろに撫でつけた髪が、野卑なアトモスフィアと調和の不良を起こしている。彼はソウカイヤのニンジャである。名をインシネレイトという。

む。この人、『ソウカイ・シンジケート』では出てきませんでしたよね。爆発四散したデッドフレアさんの後釜として、新しくシックスゲイツに加わった人っぽいな……。ふむふむ。メガネヤクザ。炎使いのニンジャですね。

他に一緒に来てるのは、クールな女ニンジャ・ヴァニティさん。あとは超かっこいい固有結界使いのホローポイントさん。鬼っ娘ディアボリカちゃんを倒したら憑りつかれちゃったのが印象的でしたが、まだ憑りつかれてるんだ……。お祓いしてもらった方がいいんじゃないでしょうか。

ナムアミダブツ……それは……なんと冒涜的な事か!マグロの生首である!生首にはヒイラギの葉がデコレートされている!

…………。

なんか久しぶりに見たなこの異常な世界観……。

ってタキさんだーーーーー!?!?

やった~~~! わーいタキさんタキさん!!!

コールIDはコトブキだ。「アイツ……」マナウスから一報を入れてきたきり、再び音信不通になっていた。「ふざけるんじゃねえぞ、全くよォ」脂っぽい金髪を掻き、キータイプを行う。「今どこにいるんだ、このバカは」

ふあぁぁぁ「このバカ」が気安さ一千万点で最高すぎる!!! ねえねえマナウスからの一報をどんな顔で受け取ったんですかコトブキちゃんとニンジャスレイヤーの生存を同時に知らされたときどんな気持ちだったんですか「再び音信不通になっていた」ってことは通信をたくさん試みたんだなと妄想する余地がたっぷりあるので私は、私は。空白の時間に想いを馳せるだけでもはや無限にほうじ茶が飲める!!

女の名はシキベ・タカコ。探偵。剣呑な目つきがタキの気に入らない。だが、隣に座っている男のほうがヤバさでは上。

さすがタキさん、よくわかっていらっしゃる。優秀な動物的カンをお持ちです。威圧してないのにヤバさを感じ取れるの実際スゴイですね。


♯3

ソウカイ・シックスゲイツのニンジャは過冬のカジノを蹂躙し、資産を収奪して堂々と去った。同じころ、過冬からゾーイを取り戻すべく、ニンジャスレイヤーもまたシトカを目指していた……。

ゾーイちゃん!!
ゾーイちゃん強くて偉いです。がんばれがんばれ。

その部屋のエントロピーは一ヶ月前よりも輪をかけて増大し、危険水域に突入している。パンチシートや観測レポート類、タレコミ情報のファイルが層を為し、空のケモビール瓶や12インチのヒーロー・スタチュー類の散乱も酷いものだ。そこで今、UNIXライトの照り返しを受けているのは三人。

ああああああああああああ゛あ゛あ゛、き、きてしまった「予告編」で容赦なく私を殴り倒した問題のシーンが、、二人を探しまくった痕跡のある部屋マジYABA、、、、はああぁ……(顔を覆う)

ここ何度見ても「読めない」んですよねマジでむりなんですよ。。ウワー!!ってなってしまってもう……わかるよタキさん頭ぐちゃぐちゃになりますよねわかる。「全くあの野郎はよォー!」って突っ伏しちゃうのわかる。私もまったく同じ状態になってるのでわかりますよ。同じだね、同じがあるのは嬉しいね!!!!

まあ私が突っ伏してるのはタキさんが突っ伏してるせいなんですけどね。感情の誘爆ですよ。はぁ、マスラダに翻弄されてるタキさんは五臓六腑に効くな~。にやにやしちゃう。

タキは苦笑した。「ナンデこんな苦労してると思ってる。アイツのIPアドレスはイカレてるんだよ。ハッカーでもねえアンタらにゃ説明するのも面倒くせえが」

面倒な俺の身内自慢がすごいね?
何度見ても見れば見るほどすごいね??

文字化けしたIPからの書き込みだ。【ホテルの座標を調べてくれ】「ホテル?」【すぐに】
「どこにいる連絡ひとつよこさずこのイディオットめ」【シトカ。「雪兎」。すぐに】「ダムシット!」タキは机を殴りつけた。

ちょっ………ちょっとさぁ………、マスラダおまえさあ~~~~~~~~~~~~~~~~(特大フォント)!!

そういうさあ、ねえ、あの、もう、どんなマイナーな通知欄からでもタキなら気づいてくれるだろうっていうこの慢心ッ……あとお願いしたら文句言いながらもなんだかんだいって調べてくれるだろうっていう、甘えが、おま、このッ、マスラダ・カイ~~~~~~~~~~~~~!  どうせ調べものしてほしいときに頼むあてなんてタキさん一人しか知らないくせに、他の誰も頼れないからタキさんに連絡してるくせに、既読してすぐログオフとか、おま、おまえ!

もうね、タキさんは一発殴ってもいいんじゃないかと思うんですよ。まあ殴ったところでスッと避けられるのがオチでしょうけど私はその「絵」が見たいので一度殴りかかるくらいしてもいいと思うよ!!

「無事だ」とか「心配かけた」とか一言も言わずに頼み事だけして返事が来たらすぐにログオフ、都合のいい女扱いしてやがりますよタキさんを。タキさんは怒っていい。怒っていいんですがしかし、シルバーキー&ゾーイちゃんに対する態度を顧みるに、この許しがたい態度こそがめちゃくちゃ安心して信じてる証なんだってことが読者(というか私)には伝わってしまうんですよね~~~~~~~!! クソックソッ、踊らされてる!!!

「忙しくてしょうがねえ……ああ」今度のIPは正常。コトブキであろう。タキは問題解決力を見せつけるようにキータイプする。「丁度いい 今繋がった」

ドヤ顔するタキさん、かわいいな……

でも肩越しに覗きこんでるフジキドさんはスーパーハッカーのナンシーさんを知っているので、多分(普通の人間はこのくらいのタイプ速度なんだな)くらいにしか思ってないんじゃないかな……。

「決まってる。ニンジャスレイヤー=サンが今から向かう。いいか、合流して、ヤツにIRCを同期するように伝えろ。面倒くさくてしょうがねえ」『エッ!見つかったのですか!スゴイ!さすがタキ=サンです!』「だろ!そうだろう!」

めちゃくちゃかわいいんだが!!??!

はーカワイイ……。カワイイが充満している……。一呼吸ごとにすべてのパラメータがみるみる回復していくようです。ピザタキは命の水ですよ。疲労に効く。


マスラダが褒めてくれないからコトブキちゃんに褒めてもらって嬉しそうなタキさん、不憫だな……でもカワイイのでオッケー。

というか多分遅れてマスラダ生存の嬉しさがやって来るんじゃないですかねコレ。フジキドとシキベさんが出発したあと、ひとりで椅子にもたれかかって天井を仰ぎ、両手指を組んだまま額の前髪をかきあげて深い深いため息をつくと思う、安堵のため息を。ちょっと泣きそうな感じで。最高。(リアルと幻覚のくべつがついていない瞳)

マスラダくんも宿泊台帳にチェックインしたことだし、いつかみんなで旅行してほしいな……。日帰りネオサイタマ周遊ツアーとかでもいいので……。


♯4

ピザタキ再会おめでとうヤッター!!
というわけでニンジャスレイヤーはタキと連絡を取り、ゾーイの監禁場所である『雪兎』を早くも突きとめたのである! ホテルロビーには過冬のニンジャが3人、そして多数のクローンヤクザ。怒りに燃えるマスラダは、ゾーイを救出することができるのか!?


「サツガイを知っているか」ニンジャスレイヤーは唐突に尋ねた。「サツガイ……?」ラピッドファイアは眉根を寄せた。

関係なさそうな相手でも、とりあえずサツガイについて訊いておくマスラダさん。さすがです。ふむ。ということは、いずれスーサイドさんにもこの質問をすることになるわけで……。

『エリミネイト・アナイアレイター♯6』で、スーサイドはサツガイという単語を聞いているわけです。なるほど。うまくつながってくるなあ。アナイアレイターさんも再登場しそうですね。

マスラダくんの戦闘は相変わらずかっこいいです。

窓際の椅子に座っていたゾーイが振り返った。「……ニンジャスレイヤー=サン……!」
「来たぞ」ゾーイは涙を堪え、歯を食いしばって、ニンジャスレイヤーに無言で二秒抱きついた。

は?

ハーーーーーーーーー!!!?

だ、抱きつくゾーイちゃん……、か、かわいい、ハーーーッ!

もうね宝ですよこの世の宝、過冬には絶対やらない。シルバーキーさんとずっと仲良く暮らしててほしい。そして釣った魚画像をたまにマスラダくんのIRCに送ってきてくれるし「大物だな」って返事をしてくれマスラダ!!(机バンバン)

ニンジャスレイヤーを視認したスーサイドさんの独白は、あまりにも身の程知らずです。

理由はわからぬが、あれは以前のニンジャスレイヤーとは別の人間だ。昔のニンジャスレイヤーは十年行方が知れぬ。ゆえにブランクも相当あり、衰えている筈。勝てる。いっぽう、今のニンジャスレイヤーは未知数。だが闇社会にさほど聞こえてこないということは、異常な強さはあるまい。勝てる。

フジキドさんに……ブランク? あまりにそぐわない言葉すぎてブランクってなんだ? 筋トレの一種?(それはプランク) みたいな気持ちになりますが前述のとおりスーサイドさんは信頼できない語り手なので……。最初はギョッとしましたが、ここも文脈を注意深く読んでいくと、ただの強がりでしかないことがわかるんですよね。表現が普段よりずっと繊細なので、さらっと読んでしまうと気づきにくいです。

(頼むぜ。そうであってくれなけりゃ……シンウインターに恩を売らなけりゃ……)

とか、

肩をすくめ、虚無的に笑った。

とか。スーサイドさんがどこまでフジキドさんを知っていたのかはわかりませんが(読んだ感じ、よくて言葉を交わした程度でしょうか……)、どうあがいても勝てるわけがない現実はわかっているみたいなんですよね。そもそもコトブキちゃんに協力しちゃった時点で、スーサイドさんの性格上ほぼ勝ち目がゼロなんだよなあ……

「コトブキ!」ニンジャスレイヤーが名を呼んだ。コトブキは躊躇わずニンジャスレイヤーに駆け寄った。

は?

なまえを?

え? は? え??? いや、なに? なにこれ??

感極まってるコトブキちゃんによかったね~と思う暇もなく突然トラックが横から突っ込んでくるかのような衝撃を受けて頭がまっしろになったんですけど、あの、えっどうした。いや、わかるんですけど。冷静な頭の1%くらいの部分は、スーサイドの敵意を瞬時に読み取ったマスラダが「そいつは敵だ、こっちに来い!」とご主人を間違えてる犬を呼ぶかのように名前を呼んだんだってことは、わかっているんです。わかります。ええ。はい。ワカル。あいあんだすたん。理性と感情は別のエンジンで動いているんだなあ~にんげんってふしぎだな……。

えっマジで何?! 何を読まされたんだ!?

ゾーイちゃんを「頼む」とだけ伝えるマスラダのコトブキちゃんに対する無条件の信頼スゲーな!!ってなるんですけどそれはそれとして、私は、私はなにを……何を読まされたんですか?

呆然としたまま、後半に続く。
次回の感想でまたお会いいたしましょう……はー……マスラダ……。


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次の感想はこちら。

(1)読了直後のほやほや感想

(2)とち狂ってなにかまとめだした記事

(3)次の感想記事


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