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ニンジャスレイヤーを第4部から読みはじめる/シーズン2_4「ライフ・アフター・デス」(中)

出戻り初心者ヘッズの望月もなかです。こんばんは! 
後編を読んでから3日ほど経過したのですがいまだに問題の箇所(後述)について考えるたびに思考が天の彼方へすっ飛んでいくのでもうだめかもしれません……。正気を保つために問題から距離を取り客観視することも有効ではないかと考え、マスラダとタキの関係性がどう変化していったのか読み返してまとめたら余計ドツボにはまったのが一昨日です。

↓これです↓

冷静になろうと言語化していく過程で自爆呪文をいつの間にか詠唱しているみたいな日々なんですが、またそのうち耐えきれなくなったら自爆呪文でつづられた記事でも書いて気持ちを落ち着けようと思います(なにをやっているんでしょうね?)

前回の感想はこちらです。

【前提1】望月のニンジャスレイヤー知識

・6年前に書籍第一部を3巻まで読んだところで中断。だいぶ忘れてます。
・2019年8月に『スズメバチの黄色』読了。
・2019年11月~2020年3月にかけてAoMシーズン1を読了。
・実況は一度だけ参加しました(20年2月の3部野球回再放送)。

【前提2】感想の方針

・〈NJrecalls〉さんのまとめを、上から順に読んでいきます。
・Wikiはまとめを読むために参照していますが、それ以外の前知識はあえて入れないようにしています。よって、単語がわからずよく混乱していますがそっと見守っていただければ幸いです。

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

♯5を書いた時点で3000字超えたので諦めました。三分割で行きます。

シーズン2「ライフ・アフター・デス」(中)

シトカの酒場で、スーサイドという協力者を得たコトブキ。タキの助力もあり、彼女はついにニンジャスレイヤーと再会を果たした。しかし見知らぬ少女を連れたニンジャスレイヤーは、コトブキに少女を託し、スーサイドを睨みつける。冷たく薄暗い路地裏に、不穏な気配が満ちてゆく……。

♯5

前回、マスラダが急にコトブキちゃんの名前を呼んだので頭パーン!ってなってしまったのですが、だんだん落ち着いてきました。冷静になった。我々に見えないところで無頓着に本名を暴露していたマスラダくんですから、必要に応じてちょくちょく呼んでいたに違いありません。コトブキちゃんも驚いていませんでしたから、そういうことなんでしょう。それはそれでよいものです。

事実シーズン1を読み返していたら、本文中でも名前を呼んでる回がありました。『ダメージド・グッズ』♯8-35で、はっきり「コトブキ」と呼んでいますね。

「どうでもいい。こいつは知り合いだ。警告しに来た」ニンジャスレイヤーはコトブキに言った。「ここを出ろ、コトブキ。ここは終わりだ」

(サンズ・オブ・ケオス関係ないのに、悪路を越えてわざわざウキヨポリスまで警告しに来てくれるのさあ……そういうとこがコトブキちゃんの信頼を勝ち得てるって自分でわかってないんでしょうね……)

なお、マスラダにとってのピザタキが思った以上に重要だった(=マスラダのローカルコトダマ空間がピザタキ店内になっている)ことを踏まえてシーズン1を振り返ると、この『ダメージド・グッズ』って、シリーズ構成上、かなり重要な話だったのかもしれません。

・『ストーム・イナ・ユノミ』直後のエピソードであり、
・家出したコトブキをマスラダが迎えに行く話でもあり、
・コトブキがウキヨポリスとピザタキを比べて、ピザタキを選びとった話でもあり、
・マスラダがシキベから「手綱を握るのは己自身」なる言伝を受け取る回でもある。

「過去に何度も現れたニンジャスレイヤー」「己を受けいれてくれる居場所」「手綱を取るのは己自身」といった、シーズン2序盤におけるキーワードがてんこ盛りなのですよ。実際、ニンジャスレイヤーがナラクの色に染まりやすくなっていたこの時期に、マスラダの中でピザタキの占める割合が急速に大きくなっていくんですよね……。

脱線しました。シトカに戻ります。

ニンジャスレイヤーの前に立ちはだかるスーサイドさん。
その気になればコトブキちゃんを人質にとることも簡単にできただろうに、やらないんだよなあ~カーッ!って麦茶を煽ってしまいます。

「コトブキ!」ニンジャスレイヤーが名を呼んだ。コトブキは躊躇わずニンジャスレイヤーに駆け寄った。スーサイドは止めなかった。肩をすくめ、虚無的に笑った。(『ライフ・アフター・デス』♯4)

わざわざ止めずに見送った、という一文がある以上、あえて見逃したのだと思います。選択肢としては絶対にあった。でもやらなかったのでしょう。「虚無的に笑った」のも、アドバンテージをみすみす捨てたことへの自嘲が含まれているのかもしれませんね。善性を踏みにじれない男だ……。

「行け!」ニンジャスレイヤーは叫んだ。「必ず合流する!」「はい!」

うおびっくりした!?
「必ず合流する」って、マスラダがこんな風にはっきりと伝えてくれるの初めてじゃありませんか。

この「必ず合流する」は「行方不明にはならないから心配するな、安心していったん逃げろ必ず合流する」の略なんですよね。ふ……私はピザタキソムリエなのでわかるんですよ(ドヤァ)。おそらく再会した瞬間「心配したんですから……!」と言葉を搾り出したコトブキちゃんは、今にも泣きそうな顔をしてたんですよ。マスラダはコトブキちゃんの泣き顔見たことありますからね、わかるんですよ。さすがのマスラダもコトブキちゃんにめちゃくちゃ心配かけてたことは理解しており、でも今はゾーイを無事に帰すことの方が優先順位が高かったので、いろいろ彼の中でカチカチカチポーンして演算した結果が多分このめずらしくも丁寧なコミュニケーションなのだと愚考しますね! これが俺の推理だ!(幻覚では?)

「ハイヨロコンデー!」「スッゾー!」ヤクザUターン!

ヤクザ……Uター………?

やくざ…………ゆーたーん……?

スーサイドさん戦い慣れしてる! タツジンだ! 十年間生き延びてきただけあって駆け引きがうまいです。サワタリさんもそうでしたけど、旧三部作時代のニンジャさんが出てくると「手練れ」って感じの戦闘してくれるのでなんかこう、滾ります。いい。

そのさなかに、何度もヤモトさんを逃がした記憶がザッピングする描写巧いよね。複雑な戦闘のなかで過去と未来が混濁する情景って、映像ならともかく文章で書こうとするとかなり難しいと思う。いつも高度なことをさらっとやってるのすごい。勉強になります!

しかしスーサイドさん、本当にヤモトさんを逃がしたときのこと引きずってるんですね……まだ未熟だった彼にとって、死を意味する選択をはっきりと選び取ったあの瞬間こそが、初めて「生」を手にした瞬間だったのかもしれません。自分の意志で、死ぬとわかっていて、逃がすことを選んだ。だからこそ今の人生が、生活がある。だからこそ今エピソードタイトルは「LIFE」を冠しているのかも。道行く先には、ほとんど確実な「死」が見える。それでも真の意味で生きていくためには、覚悟を決めて通らねばならない。そうでなければ、ショーゴー・マグチの魂が死んでしまうのです。

十年前と同じ選択肢が、彼のもとに訪れたんですね。そしてあの頃の彼よりも少しだけ年上の、まだ若いニンジャスレイヤーが、スーサイドのやりたかったことを、眼前でいともたやすくやってのけている。

これは……魂が燃えちゃいますよね! 

パンク・ニンジャは顔を歪めて笑った。(くッだらねえンだよ、てめェ!死んでンじゃねえよ!ギャハハハハ!)
「こんな夜は何があってもおかしくない。俺は死ぬのはごめんだ」「俺は死にやしねえ」応じるように呟いたのはスーサイドだった。

初読時は気付きませんでしたが、以上のことを頭に入れて読み直すと、このあたりの「死」は「魂の死」を指しているんだな……深い。マリアナ海溝。



一方でマスラダくんの戦闘センスもスゴイ。ほとんど本能でやってますよねコレ。今回ナラクちゃん本当にうるさいだけだったの笑っちゃいました。アドバイスが役に立ってないし黙れって言われて黙っちゃうのもかわいい。


♯6

ニンジャスレイヤーは十年前とは別の人間であった。若い男だ。罪のない女を逃がすため、戦場に踏みとどまる男――己もかつては――黒炎の熱に焼かれたスーサイドの魂はようやく息を吹き返し、頭はゆっくりと冷えていくのであった。一方その頃、シトカの街は、ソウカイ・シックスゲイツの急襲により至るところで銃弾が飛び交う戦場と化していた!

ソウカイヤの三人がシトカをめちゃくちゃに。こちらも戦い慣れていますね! ヴァニティさんクールでカッコいいです。

ハイフォートはカラテを構え直す。「たった三匹で過冬の腹の内へ入った代償は死あるのみだ」「そこは安心していい。ソウカイヤはもっとたくさん観光旅行に連れてこようと思ってる」

おっ、ガーランドさんも来るかな?

それにしても、ソウカイヤの狙いがちょっとよくわからないんですよね……。マキモノいわく今回の襲撃は「過冬はネオサイタマでソウカイ・シンジケートの縄張りを荒らした」ことへの報復らしいのですが、そんな事件ありましたっけ?

あえていうなら『エリミネイト・アナイアレイター♯8』でスーサイドさんが情報屋のおじさんを処分したのがきっかけかなぁ、とは思います。というかそれしか思いあたるところがない……。けどそれって、全面戦争をしかける口実としては「弱い」気がするのです。

シトカはエメツ資源を持っているので、ソウカイヤがずっと狙っていた、ということならまあわかる。わかります。些細な殺しから、ここぞとばかりに因縁をつけて戦争を仕掛けて奪う。戦争の引き金としては古今東西よくあるパターンですね。

ただ、……なんだかチバ=サンっぽくないんだよなあ、という気持ちもあります。根拠はない、ただの感覚なので考えすぎかもしれませんが。この先明らかになるのでしょうか。

「じゃあ、アタシも」手の中から飴を取り出す。
「すごい」コトブキは目を見張り、飴を受け取った。「かわいい手品師さんですね」

ガワ”イ”イ”ネ”!!!

「かわいい手品師さん」の語彙が! それもかわいいですからー!!

「仲間!そうです」からのにっこりコトブキちゃん可愛すぎて和むし、「冒険の旅」とか言い始めるのも笑ってしまいました。マスラダの悲痛な復讐劇が、コトブキちゃんの中ではそんなことになっていようとはお釈迦様でも思うめえ……(マスラダ&タキが揃って「……」ってなりそう、カワイイ)

「わたし、お姉さんですね」がとてもよい……姉妹じゃん……軽率に姉も妹も世界中にいっぱい作って楽しく生きてほしいコトブキちゃん。

そしていつも頭を抱えるタキさん。とにかく無事に帰ってくるために心を砕いてるのに連絡するたびに事態が悪化してて悪態ついてる姿、さすがにかわいそうになってきた。だいじょぶ? ザワークラウト食べる?


「入れ込み過ぎたよな。ソーニャってのは……すっげえらしいじゃねえか。俺はお願いしたことはねえがよ。ニンジャってのは色恋に弱いから、足元を掬われちまうんだな……アイツは狂っちまってるな。クラン・マネーの使い込みようが」

ニンジャッて色恋に弱いの!??!?

は、初耳! 初耳だぞ!!! えっすごい、すごい新情報来た。そうなの!? え~~~てっきりその逆で色恋沙汰から解脱したものだとばかり思ってました、そうなんだ…………。へえ……へえ~~~~~~~!! いやまあ考えてみれば伊達男のコルヴェットさんにも恋人いましたもんね。そういう人もいるのか。

ニンジャの数が一気に増えたAoM時代においては、「急にお金と力が山ほど手に入って粋がってる若者」みたいな状態なのかな。そういえば『ビフォア・ザ・ストーム・ゴーズ・アウェイ』のアンブラちゃんも力を手に入れたばかりの中二ムーブしてました。そのあたり、第一部の頃からは「ニンジャ」の定義が変わってきている感じがします。


とりあえずここまで。問題の箇所までは辿り着きませんでした。
私が真に狂うのはここからですよ……フハァハハハー(うつろ)。

では次回の感想でお会いいたしましょう。書きかけていたのを分割しただけなので、そんなにお待たせしないと思います。

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次の感想はこちら。


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