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ニンジャスレイヤーを第4部-AoM-から読みはじめる/シーズン3_5「デス・フロム・アバブ・UCA」(後)

こんにちは、AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。 

太平洋側に住んでいたころ、冬の雨は冷たくしとしと降るものだと思っていました。近年は、暴風とともに轟々と叩きつける雨音を聞きながら猫を撫でています。日本海側の冬は厳しいです。

前回の感想はこちら。

【前提1】望月のニンジャスレイヤー知識

・6年前に書籍第一部を3巻まで読んだところで中断。だいぶ忘れてます。
・2019年8月に『スズメバチの黄色』読了。
・2019年11月~2020年3月にかけてAoMシーズン1を読了。
・2020年5月~10月にかけてAoMシーズン2を読了。
・実況は一度だけ参加しました(20年2月の3部野球回再放送)。

【前提2】感想の方針

・〈NJrecalls〉さんのまとめを、上から順に読んでいきます。
・Wikiはまとめを読むために参照していますが、それ以外の知識はあえて入れないようにしています。情報を与えずそっと見守っていただければ幸いです。

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

シーズン3「デス・フロム・アバブ・UCA」(後)

海岸都市バンクーバーが上空より急襲を受けた! ニンジャスレイヤーは、コトブキは、爆炎に包まれた市街地を抜け、シンカンセンに無事乗りこむことができるのか!?

 ♯6

だが、平安・江戸時代のニンジャの暴威の片鱗を間近に浴びせられれば、やはり人の心は……

やはりといわれましても。

UCA兵vsカイトニンジャの描写のなかでいちいち「詳しい市民」っていう名詞が出てくるの笑ってしまいました。興奮したり吹き飛ばされたり忙しいね、詳しい市民。なんだこれ。


『いいか。こんな状況だ。予定通り乗れねえ奴らは絶対出てくる。相当数出る』
「つまり……!」『シンカンセンの客室は絶対空く。乗れ。乗ってから、辻褄を合わせらァ。ハッキングか何かでよ』

タキさん!!!

タキさんもマスラダと同じくパニック状態を前にすると、スイッチ入ったみたいに脳が急回転はじめますよね、頼りになる! カッコイイ! さいこー!

ザック少年が「コトブキ姉ちゃん」って呼んでるのグッときました。コトブキちゃん、少年少女に人気あるよね……優しいし頼りになるしお話聞いてくれるし、わかる。

などとお姉さんと少年の黄金コンビを見守っていたら通りすがりのサラリーマンが現れたぞ!? 趣味で忍術を少々!!

『ARMS』世代なので、このビジュアル+眼鏡で想像してしまうんですよね……通りすがりのサラリーマンかっこいいよね。

ピザタキの名刺を差しだすコトブキちゃんかわいい! 2頭身のイラスト入り名刺、ピザ屋の名前も印刷済み、かわいい!

一方のザック少年は逞しいですね。ただ「助けてくれ」というのではなく、サラリーマンおじさんの現状を訊ねてから提案と交渉に入る姿勢、独りで生きてきた地力を感じます。ミニチュアタキ……。

自走してくる賢いバイクのシグルーンちゃん、偉い! 可愛い! と喜んでいたら初手でマスラダがタキに通信繋いだので動揺した、ギョエェ

『ニンジャスレイヤー=サンだな?しかし、この通信方式でお前とやり取りすンのは本当慣れねえわな』「前のやり方が良かったか?」『あれはしかし……』「じきに戻す」

「前のやり方が良かったか?」って台詞なんか、…薄い本で言いそ……なんでもないです。気の迷い。自我があるのでこんなこともあります。

通信がつながるようになってからマメにタキさんに連絡入れるマスラダがあまりに良いのでニヤニヤが止まりません。いいね。「じきに戻す」って、なるほど、君は前のやり方が良かったんですね。へえ。そうですか。

過去の「アケチの禍」怖いですね。
田畑に塩を!? 邪悪だッ!

『シンカンセンの発着場は遅かれ早かれブッ壊されッからな。それまでにコトブキと合流しろよ。無理矢理車両に乗り込むんだ』「ああ」ニンジャスレイヤーはカイトニンジャを睨みながら頷いた。つまり、こいつらはできるだけ殺す。

つまりってなんだ!? 話がつながっていませんが!? タキさんは早く発着場へ行けって言ってるんですよ!!www

マスラダくん最高だな……そういうめちゃくちゃなところ好きだよ…。
彼の中ではぶっ壊されるまでにできるだけ殺せば市民の死者も減るし、コトブキちゃんも安全になるし、とかいろいろつながっているのかもしれませんが、(そういうことじゃないからな!?)という読者としての気持ちは大切にしていきたい。マスラダくん、ナラクちゃんがいようがいまいがだよ。そのままの君でいて。

キリモミ回転した光の矢は大の字に手足を広げ、滞空姿勢を取った。

この文章凄いですね。動きのある情景描写の塊だ……。巧みです。

 ♯7

空を旋回するカイト部隊、応戦するUCAの激しい銃火。崩れ落ちるビルをすり抜け、シンカンセンの発着場を目指せ――シグルーンで駆けるニンジャスレイヤーの眼前に、初陣ハイのリアルニンジャ・マイトイカラスが凧を背負って華麗に参上☆ キミのイサオシ、もらっちゃうよ!

殊勝に殺されてやる気など皆無だ。のモノローグがマスラダらしくて好き!

高高度の風が吹き抜け、ニンジャスレイヤーのフードを跳ね除けた。ニンジャスレイヤーの目の、残り火じみた赤黒の輝きが強さを増した。風に暴れるフードの端が赤黒く光り、実際に燃え、融けながら、それはマフラーめいた不定形の布の筋となって、はためいた。

このくだりもめちゃくちゃ好き。

マスラダくんのフードが跳ね除けられたり、激しい戦闘でかぶっていたのが外れたり、強い風にはためいたりする描写、すごく好き……。良い文章だな……メルティキッスみたいにくちどけ滑らかで……。

「ドーモ。メタルファルコです」(略)「悪いがそのカスは俺の獲物だ。懲罰の権利は俺にある。俺がもらうぞ。お前は、死ね」

まあ……。あらまあ…………
(目をキラキラさせて頷いている)

どうぞどうぞ。もらっていってください。

 ♯8

功を焦って単独行動に走るマイトイカラスだったが、経験の浅さからニンジャスレイヤーに地の利を奪われてしまう。だが彼を助けたのは、確執のある上司メタルファルコだった!

サラリーマンの人、強くてキャラ立ってて面白いですね。サガサマさんっていうんですね。ふむふむ。

メタルファルコさんとマイトイカラスさんの伝説の馴れ初め記念ムービーを見せられているような展開になってきましたがこれは?
閲覧料金を支払った方がいいでしょうか。

その眼光は赤黒い輝きを帯び、夜の湖にマッチの火を落とすようだ。

素晴らしい表現ですね。切れ味が鋭い刀のようだ。

マイトイカラスさんとメタルファルコさん、手を伸ばしながら(?)ともに死ぬエンドみたいになってしまった。「授かった名」は思い出せないのに、「メタルファルコ=サン」の名を呟いてから爆発四散する散り際すごいな……。

回想で花見の光景を挿入することで「桜のように散った」儚さを読者に想起させるの単純に「うまい」んですよね。小説が上手い……。


 ♯9

(これまでのあらすじ)の「ニンジャぜ!」ってなに?

しつこいヘラルドさんをガン無視して、空から凧ですたこらさっさと逃げるマスラダくん。さすがです。

ヘラルドさん、人生に余裕がなくて心配になる。

「イイイイイヤアアアアーッ!」ギュン!スリケンは凄まじい回転を伴い、こびりつく黒い血を撒き散らしながら飛翔した。ニンジャスレイヤーはカイトを横へ傾けた。スリケンは彼の肩を裂いた。浅い!

ドッジボールならセーフだから元気出してね。よしよし。人生はドッジボールじゃないけどね。

車両ガラスケース内でスモトリがシコを踏むと、パイロが噴き上がった。

なんでスモトリがシコ踏んだの?

シンカンセンの発車に何の関係があるんだ。どういうことなの。

そしてなんで車両ガラスケースの中にいるんだ。車掌ってわけでもないんですよね、展示物なの? 陳列してるの? なんで? なんでスモトリを最後尾車両に陳列?? この期に及んでちょっと泣きそうなんですけどなんで?

咄嗟にザックを抱き上げて走り出した車両に飛び移るサラリーマンめちゃくちゃ興奮した! オッサン!!!!

「遅くなった」と言うニンジャスレイヤーも「確信的に微笑んだ」コトブキちゃんも信頼感があってとても最高でした。コトブキちゃんがまたお着替えしてくれたのも嬉しいね……サービス精神ありがとう。

歓声を上げてシグルーンに駆け寄るコトブキちゃん本当に嬉しそうですね。お友達だと思ってるのかな~。
(マスラダは「バイク」と呼ぶことが多いのに対して、コトブキちゃんは「シグルーン=サン」と名前で呼ぶ方が多いところで意識の差を感じたりしてます。生命体的にはシグルーンちゃんの方が近しいですもんね)


ラスト、タキの喚き声を聞きながらニンジャスレイヤーは呼吸を深めていったのシーンで唐突に撃たれてしまったんですけど急にやめてくれ!

脳内IRC通信じゃないから好きにオフできない、コトブキちゃんとタキの会話だから勝手に切るわけにいかない、という事情を差し引いても「うるさいぞ」とか言わずに「声を聞きながら」呼吸を深めるの、すごい、こう、ウワァーッ!てなってしまうんですけど。マスラダがタキといつでも会話できない今だからこそ、なんかこう、自分からブチっと切りがたいのかななどと妄想を深めていってしまうんですよね……。良い……。


というわけで次回は「ヨロシサン・エクスプレス」。
シーズン3の予告編でチラッと出てきたときから楽しみにしていました! オリガミ交流あるかな~!! 楽しみです!

ではまた、次回の感想でお会いいたしましょう。

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次の感想はこちら。


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