「ズレズレなるままに」結局、話題はヒボーチューショー?
パリ五輪もいよいよ終わり。それにしても、今回どうしても気になったのは「誹謗中傷」かな。負けた選手への執拗な攻撃、レポートするタレントさんへの悪口雑言、果てはアナウンサーの服にまでイチャモン…。なんかそんな話題ばかり目についてしまいました。
JOCや各競技団体はもちろん、選手個人まで「やめてください」ってアピールしなきゃいけない世の中、ちょっとオカシイとは思いませんかね?
以前はそこまで騒がれていた記憶がないのですが、思い出したのは去年の阪神タイガースキャンプ(宜野座)で見た貼り紙(タイトルに貼った写真です)。
あのとき、「そんな凄いもんなのか?」と思いつつ、虎番記者に「なんで原稿にしないの?」と聞いたら、「確かにそうですね」なんて呑気なこと言ってました。
ところが、今年はプロ野球も色々な球団が「誹謗中傷はやめてください」と主張しはじめています。
野球評論家の江本孟紀さんから聞いたのは、南海時代に「お〜い監督、キャッチャーと4番代えたれ!」なんてヤジが飛んだとか。これ、監督で4番・捕手の野村克也さんに対してのヤジ。ユーモアがあってスタンドは爆笑、ベンチ内もクスクス…。昔からヤジや球団に手紙が来ることもあったけど、今ほど陰湿でもなかった。
それが現代は選手に直接届いてしまうのは、やはりネット社会の弊害のひとつなのでしょう。暇で想像力のない人の仕業だろうとは誰しも想像しますね。
なんでこんなこと書き込むの? とは思うけど、他人を腐したい人はいるもので、期待が高過ぎての反動とか、自分が何か言ってやろうという少し歪んだ正義感なのかもしれない。
そういう意味ではメディアにクレームつける人も似ている気がします。世の中には「マスゴミ」なんて言葉で罵る人もたくさんいて、報道姿勢なんかに言いたいことをぶつけるのは、ある意味で健全なところもあると思います。
「新聞に文句言ってやった」と感じているのかもしれないけど、メディアから個人に“反撃”はしないから、ある意味で言いたい放題です。ただ、相手がメディアなら何を言ってもいいわけでもないし、やはり記者も人間です。記事が誤報やいわれのない誹謗中傷なら甘んじて受けるべきだけど、取材に基づいた記事なのに、気に入らないからと文句付けられるとカチン!とくるし、傷つくこともあります。
以前、夕刊フジでスポーツのデスクをしていた頃は、ときどき文句つける電話がかかってきたものです。編集局の番号はオープンにしてないはずなのに、なぜかダイレクトにかかってきて「なんだ! あの記事は、すぐに取り消して謝罪しろ。オマエらなんか、どうせろくに取材してねーくせに💢」なんて、まくしたてるわけです。忙しい時間だと正直、迷惑でした。
まぁ確かに夕刊紙という特殊な媒体ですから、ナナメに斬る原稿じゃないと朝刊スポーツ紙とは差別化できない。必然的に贔屓チームの“悪口”と感じる記事なのはあるでしょうが、想像ではなく取材結果だから臆せず出しました。中には「溜飲が下がった」というご意見もあったけど、反射的に電話しちゃうんでしょうね。
最初の頃は、マトモに正面から受け止めていたのですが、あるとき対応を変えました。
「ふざんけんな!」
『仰る通り! 内部の者が言うのもなんですが、私もこの記事はちょっとと思います』
「ん…? あっ、そ、そうだろ、分かりゃいいんだよ…。これから気をつけろよ」
『いつもお読みいただきありがとうございます!』
ガッチリやり合うと売り言葉に買い言葉でヒートアップしちゃうけど、暖簾に腕押しというか、トーンダウンしてしまう。いわば、誹謗中傷や悪口雑言をいなす術を覚えたわけです。
メディアへのクレームと選手らへの誹謗中傷は違うけど、気分がいいのは「言った人」だけ。批判と誹謗中傷は別物。なんか切ない世の中というか、かつての南海ファンみたいにユーモアでお願いします🙇
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