「ズレズレなるままに」代わり映えしない災害とメディア

 正月早々、あまり呑気なことを書いている場合ではなくなりました。災害、事故、事件…。JAL機の事故では、犯人捜しみたいな(事実確認と検証はもちろん必要なのは言うまでもない)伝え方は、ちょっとなぁと感じる。ペットを乗せるか否かの論争は、誰でも発信できる時代ならではって気もします。
色々な意見はあるとして、元記者として気になったのはやはり災害報道かな。正直なところ「相変わらずだなぁ…」と思って見てます。

 阪神大震災は、最初にガツンとやられました。とにかく大阪に着いて、紹介してもらったバイクショップでオフ車を借りて神戸方面に向かいました。
 被災者に話を聞くまではよかったけど、炊き出しの現場で「あんた、どっから来たん?」。言葉で分かるのだろうけど、「ええな~東京帰ったら温かいもん食えるやろ」と言われて返す言葉がなかったの覚えてます。

その記憶もあったから、東日本大震災のときは慎重になりました。まず東北道を一般車両が通れるまで数週間待って、「何が必要だろうか」と考えて軍手とマスク、少しばかりのお菓子を積んで自分の車で向かったわけですよ。
実は当時、野球のデスクでした。「もう社会部じゃないし、関係ないじゃん」と言われたけど、もちろん行く理由がありました。
 何しろ原稿の書き出しは「東日本大震災の影響で〜」というのばかり。現場も見ずに書くのが嫌だったんですよ。

決めていたのは、被災地では飲み物、食べ物は買わない、トイレは使わない、ガソリンを入れないこと。現場は正直、ショッキングでしたよ。見てよかったというのは変な言い方だけど、360°家屋が倒壊した様子は見たことがないし、匂いや空気感、人の本音はやっぱりそこに行かないと分からないと実感したものです。
だから若い記者たちには「迷惑だけはかけないように、物見遊山でいいから見に行け」って言ったと思います。

 さて、今回の震災。伝えるのはとても大事だし、報道すべきなんだけど…。またいましたね、女性アナウンサーの方々。性差別する気はありません。実体験でいうと、過去の被災地で「女子アナさんは毎日キレイな服着て、化粧して来るの見てると複雑」という地元の人の話を何度も聞きました。もちろん局の方針、ディレクターの判断なんだろうけど、ナーバスな被災者もいるのよ。きっちり仕事していたとしても、そんな目で見られる彼女たちも不幸です。
まぁスポーツの現場で、担当記者やディレクターが段取りしてマイク向けるだけなのに「取材して来ました!」って言うのは、違和感だらけだけどね。

 感極まっちゃう男性アナウンサーもいましたが、あれ、どうなんだろ? ヘリの上空旋回も今なら「ドローンにできないのかな?」とか、泣いてる人を許可なく映すのもそろそろね。結構ズカズカ入り込んで、いかにも「ツライ」「悲しい」ネタを探すのメディアのやり方で、なにも進歩してない気がします。

一部、血気にはやって現地入りする人たちがいて、著名人が「今はまだプロが行く時期、募金しましょう」って呼びかけるのは以前より良いこともありますね。

東北にはその後、個人的に土砂書き出しのボランティアとか、不定期だけど定点観測にも行ってました、仕事なし原稿なしで。ただ、ここ数年は足を運んでいないのはダメだね。
今は出来ることをして、やがて現場に行き、その後も忘れないことが大事なのかと思ってます。

 

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