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どこにでもある商売で、どこにもない起業をしよう。

会社を辞めて、起業して8年が過ぎました。当初は、企業向けのサービスが収益源でしたが、2023年からまったく異分野のパン屋をスタートしました。おかげさまで、2月のスタート直後から、行列ができる店になりました。

私自身は2年前まで、まさか自分がパン屋を経営するとは思ってもみませんでした。パン作りが好きな妻が「パン屋をやりたい」というので店に適した物件を探していたら幸運に恵まれ、いつの間にかパン屋の親父になっていたわけです。

パン屋とは、どこにでもある商売です。あらゆるコストが上がり、特に戦争のせいでパンの主原料である小麦は値上がりを続けています。今から始めるには不安材料がたくさんあります。この8年で苦心して貯めたわずかな利益を、そこにつぎ込んでいいものかどうか。

やってみよう、と決断したのは、妻がパンオタクだからでした。彼女は自家製酵母を使った、低温長時間発酵によるハードパンやドイツパンを作り続けていました。レーズンから、あるいは小麦から育てた酵母で、国産の高価な小麦やライ麦を惜しげもなく使い、パンを焼くのです。

横で見ていても、何をしているかさっぱりわかりませんが、彼女の腕は上達し、ヘルシオから出てきたパンはあっという間に美味しくなっていったのでした。当初は専用のオーブンなどありませんから、家庭用のヘルシオで焼いていたのです。

パン屋はありふれた商売です。そこに「自家製酵母」「低温長時間発酵」が加わると、他のパン屋との差別化になります。「ドイツパン」も加わると、さらに尖ります。「船橋市で自家製酵母で低温長時間発酵のパンやドイツパンを出す店」となると、我々のパン屋だけではないでしょうか。

通販をすると、新潟や四国からも発注があります。どこにでもパン屋はあるのに、開業して半年そこそこの、遠い地にある小さなパン屋から買ってくれるお客さんもいるのです。

尖って光れば、駅前の大規模で安いパン屋さんと競合しなくてすむのです。孫氏の「戦わずして勝つ」ですね。

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