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【約7億円調達】 web3業界にドバイから新風を巻き起こす!FLICKSHOT徹底解剖!

「web3」「ブロックチェーン」「メタバース」「NFT」……。これからはweb3の時代と叫ばれた数年前でしたが、日本はルールや規制により、他国に遅れを取った側面があります。その中でも、昨年5月より、ドバイを拠点に「web3インキュベーター」を運営しているFLICKSHOT FZCO(以下、FLICKSHOT)が起業家や投資家の注目を集めています。2023年5月に、約7億円の資金調達に成功。W fundも、出資を実行しました。そこで、今回はFLICKSHOTの代表、福海(ふくかい)氏、同パートナーの片岡氏とW fund 代表パートナー、新(しん)との鼎談を実施。なぜ、ドバイで起業したのか?、Web3業界の現在と未来など、お話を伺いました。

VC出身の二人がドバイで起業した!

新:本日は、お忙しい中、日本から福海さん、ドバイから片岡さんにオンラインで集まっていただきました。お二人の簡単な自己紹介をお願いします。

福海:FLICKSHOTのマネージングパートナーの福海道登(ふくかい・みちと)です。ドバイを中心に駆けずり回っていますが、昨日まで札幌のイベントに参加をしていました。私は福岡出身、九州大学に入学したタイミングで、福岡にある独立系ベンチャーキャピタル(VC)のF Venturesで2年間インターンをしていました。その後、大学を中退したタイミングで、東京の独立系VC、East Venturesに転職、正社員として勤務していました。3年ほどで22社の投資業務を経験しました。その中にあった、Astar Network(アスターネットワーク)というweb3で一躍有名になった企業に投資していたことや、eスポーツやゲーム領域にも頻繁に出資していた経験があっため、昨今のweb3の波に乗り、昨年の5月31日にドバイで「web3インキュベーター」のスタートアップとして起業しました。

片岡:FLICKSHOTのパートナーの片岡芳明と申します。私は、大学2年生の夏頃に、当時ブロックチェーンやクリプトの中興期という時期に、bitFlyerという国内大手の仮想通貨取引所でインターンを始めました。ちょうどクリプトのバブル期も重なり、営業やマーケティング、CSまで、様々な業務に携わらせて頂き、貴重な経験を積むことができました。それから、サイバーエージェントキャピタルにインターンでジョインし、そのまま新卒で社員になりました。当初は若手起業家や学生向けのイベントを運営したりしつつ、次第に、シードのスタートアップへの投資やその後のご支援も行わせて頂くようになりました。web3やクリプト領域は、常にアンテナを張っておりましたが、日本の法規制や税制上の問題で歯がゆい部分もあり、友人であった福海に「ドバイで一緒にスタートアップをやらないか」と声をかけられ、2022年からドバイに移住して、FLICKSHOTのメンバーになりました。

新:ありがとうございます。我々W fundは今回、FLICKSHOTに出資をしました。web3という大きなトレンドに対して、弊社もしっかりとアンテナを張っていこうと考えていたタイミングで、福海さんと片岡さんが起業されるという話を聞きつけて、絶対に何らかの形で支援したいと思い、出資に至りました。web3黎明期から、しっかりとコミットして業界の成長過程を歩んできた、福海さんと片岡さんだからこそ弊社も支援する意義があるし、最先端の感覚とネットワークを持った若い二人が応援するweb3領域のスタートアップにももちろん期待しています。そんなお二人、なぜ、FLICKSHOTを作ったのかを再度、教えていただけますか。

福海:私は、2017年にVC業界に足を踏み入れたのですが、最初のボスがF Venturesの両角さんでした。彼自身は、20代でVCファンドとして独立して、ものすごいリスクを取ってVC経営していたことが印象的で、VCとして経験を積めば積むほど、「いつか独立したい」という思いを胸に秘めていました。2021、22年頃のweb3の波がきたところで、多くの起業家が日本でweb3に挑戦することが難しいと聞くたびに、VCとして歯がゆい、むずがゆいような感覚に陥ったのです。年齢も若く、まだ独身でフットワークも軽く、どこへでも挑戦できる環境だと思い、海外で若いweb3の起業家が集うコミュニティを作って、受け入れる体制を整えよう!と独立しました。

片岡:日本は元々、クリプトの先進国の一つでした。規制など、さまざまな条件が重なり、いつの間にか他国に先を越されてしまい、貴重な新市場をみすみす見逃してはいないだろうか、頭の片隅にそんな考えがありました。そういった中で、福海に「ドバイで一緒にやらないか?」と声をかけてもらい、移住を決断。その後、福海より4ヶ月ほど遅れてドバイでの生活が始まりました。

福海:最初は、「独立する」と決めて動いていたのですが、この環境で一人では絶対に無理だなと実感。対等に、一緒にチャレンジできる人を探している中で、片岡さんの行動力に信用できる、信頼できると感じて、誘いました。ジョインしてくれると決まったタイミングで、すぐに片岡さんの奥さんに挨拶しに行きました(笑)。気が変わらないように、「よろしくお願いします!」と。

ドバイで起業家と衣食住を共にする!

支援している起業家たちと

新:では、具体的にお聞きします。ドバイにおいて、web3領域でどのような企業をサポートしているのですか?

福海:特にweb3領域で縛りを設けていませんが、我々としては日本人がコアメンバーとなっているような、日系のプロジェクトやドバイ、シンガポール在住のスタートアップをサポートすることが比較的多いです。最近だと、スイスで起業されているようなスタートアップにも出資しています。我々は、インキュベーターなので、創業前から我々が伴走している起業家もいますよ。

片岡:web3はインターネットと同様に幅広い概念なので、対象領域を絞り込みすぎることはせず、全ての土台になるプロトコルのようなインフラ部分から、よりユーザーに近いアプリケーションレイヤーまで、基本的に幅広くサポートしています。

福海:web3やブロックチェーン業界もトレンドや技術の発展で、移り変わりが激しい部分もあります。我々が期待している起業家がweb3領域の、どの分野に関心が向いているのか、興味があるのかをキャッチアップするようにしています。ものすごく漠然としていますが、優秀な起業家が人生を賭けて取り組んでいる領域が本当に面白い領域だと僕は思っているので、起業家がweb3領域の何にアンテナを張っているか、注目しています!

新:創業前や創業初期からサポートしていると伺いましたが、どのような支援をしているのですか?

FLICK SFOTが入居しているHIVE JVC

福海:コミュニティを大切にするインキュベーターを作ろうと、移住して半年間ぐらいかけて、いろんな起業家を同じマンションに集めました。今では日本人15人ぐらいが住んでいるドバイでも珍しいマンションに! web3の関係でドバイに来たら、とりあえず「ここに来るよね!」みたいなマンションを作れたことが、こちらに来て、一番の功績だなと思っています。理由は、良質のコミュニティを我々が作ることによって、独り身でドバイに来ても、安心して事業に集中できるようにという意図があります。起業家が生活のトラブルで悩む時間がもったいない。無駄なコストをかけずに協力しあって生きていく。今では、みんながつまずく、「銀行口座開設」など、僕自身が経験した悩みを、アドバイスできるようになりました。

新:ドバイでは、起業家に食事のサービスを提供していると聞いたことが……。

福海:投資先に、HANA Networkという会社があります。京都大学4年生が代表で、ドバイに移住、起業して同じマンションに住んでいます。ドバイに来た時点で貯金はほぼなし、お金はないが、やる気はある。ドバイに来て法人を立ててみたいなタイミングでした。そこで、僕の家に泊めて、僕の借りている部屋で一緒に生活しながら、片岡さんの奥さんが作ったご飯を一緒に食べるみたいな、衣食住を共にしていました。

片岡:全盛期は、毎日8人分ぐらいのお昼と夜ご飯を妻が作ってくれていました。毎日10合のお米がなくなるみたいな……笑。

新:「ドバイに行くなら、FLICKSHOT へ」ですね。例えば、web3関連の起業家や起業を目指している人は、お二人のTwitterのDMで福海さんや片岡さんに連絡したら、気軽に会ってくれたりする感じですか。

(福海)
もちろん。

(片岡)
いつでも連絡ください。

暑い国に、熱いweb3起業家が集まる理由

ある日のBBQ交流会

新:現在、ドバイはどのような感じなのですか?片岡:まずは今、ドバイにいる私から。「ドバイは想像以上に楽しい!」ですね。正直に言うと、移住前は多少不安な部分も勿論あったのですが、殆どが杞憂でした。具体的に何が面白いかと言うと、2つありまして、1つは、国や都市がweb3を推進しているのもあり、web3関連の大企業や主要人物が世界中からドバイに集まります。先日は米国上場企業のCoinbaseのCEOもこちらを訪れて進出を探っていました。2つ目は、web3以外で見ても、人口も増え続けて、経済全体が発展著しいという点です。コロナが明けて、UAEはGDPの成長率が直近の数値で7%超。人口が増えているため、街が丸々新しく建設されていたり、新しく莫大な規模の埋立地が計画されたり、とにかく好奇心が尽きず、日々学ぶことが多いです。

福海:web3の起業家は世界中を飛び回って、いろんなイベントに参加して、いろんな人に会いに行くことが多いのですが、ドバイの空港はまさに世界のハブ空港。ヨーロッパに行くにも日本行くにも直行便で行くことができます。グローバルに飛び回る起業家にとって、ドバイを拠点都市にすることはプラスでしかないと感じています。実際住んでみて感じるのは、ドバイは多文化。UAE人や現地人が2割もいないぐらい。ドバイにいたら、日本食やさまざまな国の料理も食べることができますよ、値段は高いですが(笑)。

新:web3関連に興味がある日本の起業家がドバイに移住することは、ハードルが低いのですか?

片岡:僕自身も最初はそうでしたが、海外生活慣れしていないからという理由で、web3起業をためらっている方もいますよね? ドバイは、英語が苦手な人に寛容です。移民が多く、みんなが第二言語の「英語」を使ってコミュニケーションしているので、相手への英語の期待値が高くないし、頑張っている人に対してはきちんと聞いてくれます。英語がカタコトでも頑張って話す、話そうとしている人であれば、ドバイでは普通に生活できると思います。

福海:我々がシンガポールではなくドバイに移住した理由の1つは、「ビザ取得が容易である」こと。シンガポールはビザ取得にさまざまな制約があり、若い起業家がビザを取得するのはかなりハードな状況です。しかし、ドバイはドバイ法人さえ設立してしまえば、ビザが取れるシステムで、僕自身も法人を立ち上げて、僕と片岡夫妻のビザを取得できました。我々もノウハウが溜まってきたので、ビザ取得の会社など1からサポートしてくれる会社を紹介するので、安心してドバイに移住できますよ!

新:先ほど、シンガポールでの起業をやめてドバイにしたとおっしゃっていましたが、他の国での起業も考えていたのですか? 例えば、アメリカや中国など……。

福海:web3の文脈で、いろんな国が挙がるのですが、その中で一番ビザ取得のハードルが低いのがドバイです。実は、アメリカや中国は、日本人が進出するメリットはほぼないと思っています。規制も入っていますし……。web3が熱い都市と言えば、ドバイ、アブダビ、リスボン、スイス。まだ、シンガポールぐらいという感じですかね。

片岡:そうですね、一部東南アジアの都市も挙げられるかと思いまうが、それ以外の他の諸都市ではそこまで影響力の大きなスタートアップは出ていないので、福海が挙げた都市に殆ど集約されると思います。また、直近の話で言うと、ここにきて香港が注目されています。これまでシンガポールや東南アジアに拠点を構えていたスタートアップが、香港への進出を考えているという話は耳にします。ただ、香港に関しては、政府の一声でひっくり返る可能性も考慮し、様子見をしている状態の企業も多そうです。

福海:FLICKSHOTとしては、仮にドバイがダメになっても、次の国へ。どこへでも行く覚悟でやっています。見通しとしては、仮に万が一、何かが起こった時、我々の使命は、いち早くそこでコミュニティを作り、起業家を迎え入れる環境を整えることだと思っています。

FLICKSHOT流「web3領域の明るい未来予測」

新:それは頼もしい言葉ですね。話は変わりますが、FLICKSHOTがサポートしている、面白い会社を紹介していただけませんか。

福海:「AVACUS(アバカス)」というサービスを提供しているsowaca(ソワカ)。AVACUSは、Lineみたいなチャットツールをweb3版のSNSに落とし込むというプロジェクトです。AVACUSのアプリを使うと、ウォレットが搭載されているため、暗号資産での個人間の取引が可能になります。例えば、僕と新さんがAVACUS上でチャットをしていて、そこからNFTを送付したり、そのお返しに、例えば0.1ETH返ってきたり。そういう個人間のやりとりがスムーズにできるサービスです。最近では、特定のNFT持っている人に広告サービスの提供も始まりました。ぜひ、アプリをダウンロードしてください!

新:最後に、web3に投資するのか、しないのか、でいうと、昨今ビットコインやイーサリアムの価格が落ちて、冬の相場のような感じになっている中で、今後の市場の見通しについてお二方がどういう見立てをしているのか、とても興味があります。ぜひ教えてください。

片岡:価格に関しては、もちろん誰も確実なことは言えないと思います。ただ、これまでの歴史を鑑みると、ビットコインは半減期が来るとマイニング報酬が半分になるため、結果的に希少性が増し、1BTC当たりの価格が上がる傾向があり、それに伴って市場全体の時価総額が拡大してきました。次の半減期が2024年の4月だと予測されています。また、アメリカは現在利上げ政策などの金融引き締めを行っていますが、もしこの利上げ政策がこの後どこかで転換されれば、スタートアップ市場に新しいリスクマネーが供給される可能性もあり、二重の意味でまた相場が盛り上がっていくのではないだろうかと。市場全体の規模の面ではこれがざっくりと予想されていることですね。加えて、別の観点で私が注目しているのは、web3全体でいかにエンジニアが継続的に開発をしているかという点です。優秀な人材がいればいるほど、良いものが世の中に数多く供給される可能性は高まります。統計情報を見ているとweb3市場の開発者人材の数は、アップダウンはありつつも、昨年末時点でも伸び続けてきていました。これらの人材がよりよいweb3プロダクトを今後生み出してくれるのではないかと期待しています。

福海:これからweb3が再び盛り上がるタイミングに向けて、今いい仕込みができるかが勝負なので、インキュベーターとして、今のタイミングでどれだけ起業家を支えられるかが、今後長い目で見て自分たちへの評価にも関わってくると思っています。今こそが頑張り時! だからこそ日々、世界を飛び回っています!

新:本日は、ありがとうございました! 我々、W fundもFLICKSHOT、並びにFLICKSHOTがサポートするweb3領域に挑戦する起業家の皆さんをこれからも応援します!

構成・編集 株式会社TEA.M

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