歴史発想源_ローマ建国篇_

第三回:ローマ二雄の決着「ファルサロスの戦い」 [永遠の帝都・ローマ建国篇]

常勝の名将カエサルと、不敗の勇将ポンペイウス、ローマの両雄がいよいよギリシアで激突! そして「絶世の美女」クレオパトラの登場。ローマ共和政末期の地中海に、戦乱の風雲が荒れ狂います。

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ローマの帝政開始までを描く「ローマ建国篇」、第三回のスタートです!

▼歴史発想源「永遠の帝都・ローマ建国篇」〜アウグストゥスの章〜

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【第三回】ローマ二雄の決着、ファルサロスの戦い

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■ポンペイウスとカエサル、ついに決着の時

紀元前49年1月。

「賽は投げられた!」という有名な言葉と共にルビコン川を越えてローマに攻め込んだ、名将カエサル。

ローマを守っていたポンペイウスは、自分の本拠地であるギリシャへと撤退してしまい、ローマの政治を牛耳ってきた「元老院」派の政治家たちもポンペイウスの後を追ってギリシャへ渡りました。

そのため、カエサルは堂々と凱旋を果たし、ついにローマの支配権を得ることに成功したのでした。

ここまでが、前回までにお伝えした内容ですね。

さて、カエサルがローマを支配下に置いたとはいっても、当時のローマは地中海沿岸に覇権を広げている大国家ですから、カエサルが支配するローマ本国やガリアだけでは、まだまだローマ全体の支配地の半分程度でしかありません。

ギリシャやマケドニアなど、ポンペイウスの影響力の大きくカエサルの影響力が及んでいないローマ属州が、まだまだたくさんあったのです。

カエサルはポンペイウスと決着をつけるべく、ギリシャ遠征を決行します。

この頃、カエサルの部下の中には、レピドゥスという行政上手な家臣がいました。カエサルはこのレピドゥスにローマ本国の内政を任せ、自分は副官である猛将アントニウスと共に、アドリア海を渡ってギリシャへと向かうのです。


ところが、紀元前48年7月、ポンペイウスはデュラキウム(現在のアルバニアのドゥラス)で、ローマから渡ってきたカエサルの遠征軍をこてんぱんに叩きのめします。

確かにカエサルはガリアを平定した戦争の天才でしたが、ポンペイウスもまた、かつてこのギリシャをはじめ地中海沿岸を制圧してきた戦略の天才。

ガリア平定、ローマ入城と勢いに乗ってきたカエサルは、ここに来て、久々の大敗北を喫してしまうのです。

しかし、ここで運命の転機が訪れます。

カエサルはこの「デュラキウムの戦い」では命を落としかけるほどの大敗北で、あまりにも凄まじい総崩れだったため、ここでさらに追い詰められてしまったら確実に身の破滅でした。

それなのに、ポンペイウスは「ガリアを平定したあの有能なカエサルがこんなに簡単に総崩れになって逃げて行ってしまうなんて、実は我々を誘う罠なのではないか?」と深く勘ぐり過ぎて、それ以上の追撃をやめてしまうのです。

このポンペイウスの勝手な深読みによる間違いで、カエサルは急死に一生を得ます。カエサルの命運は尽きなかったのです。


とは言っても、カエサル軍の劣勢は変わりません。

カエサル軍は、ギリシャのテッサリア地方へ退却しますが、ローマから離れたこの場所では食糧もすぐ尽きるだろう、と予測したポンペイウスは、持久戦に持ち込みます。

このままいけば、今度こそ確実にカエサル軍は全滅です。ポンペイウスの予測は理にかなっていました。

ところが……

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