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怖いです。知らぬ間に9月になっていました

9月、らしいです。怖いです。知らぬ間に9月になっていました。

私の気持ちはまだまだ夏にしがみついているのに、全然そういうことは許されていないみたいです。


これまで、私の夏の定番といえば、海に行ったり、プールに行ったり、お祭りに行って油ギットギトの焼きそばを食べたり、形を留めているようで留めていないたこ焼きを食べたり、下が真っ赤になってバリバリのりんご飴を食べたり、人込みの中、見にくい場所で花火を見たり、それこそわかりやすい夏を満喫していた。

避暑地に行く夏もあったけれど、やっぱり夏は、暑いを暑いまま堪能していた。


高校生のときは、そんな夏が明けると文化祭の準備をしていた。

夕方まではふつうに授業をこなして放課後になると、近くのホームセンターとスーパーにみんなが集まって、こぞって段ボールを奪い合っていた。教室中にペンキやマーカーの匂いがして、手も顔もぐちゃぐちゃに汚して、ぜんまいが壊れたように笑いまくっていた。そうなるといわゆるゾーンってやつで、友達が何をしても笑いが止まらなかった。

ふと窓の外を見ると、赤とオレンジを混ぜたような、大人になった今だとわかるブラッドオレンジジュースみたいな色をしていて、「もう終わり」と言わんばかりにカラスがカーカーと鳴いた。


それが、私の夏だった。かつての私の夏だった。


大人になった今、そういう夏を堪能するのは7月と8月の土日、計10日とちょっと。

その中でうまいことフェスに行ったり、部屋のベランダから遠くの花火大会の花火を見るともなしに見たり、自炊がそうめんばかりになったり、そんな夏を過ごしていた。

別に、それが嫌なわけじゃない。私の年齢が変わったことで、過ごし方も変わったし、趣味趣向も変わった。だから、夏の過ごし方が変わるのも当然で、人込みに行くことが疲れたりしてしまうのも仕方ない変化だと思う。

だから、どうってことない。


どうってことないけど、ニュースでかつての私のような夏の過ごし方をする学生たちを見て、羨ましいと思うこともある。もう一度、あんな夏を過ごしてもいいなと思う私がいる。

そしてふと思う。

いや、まだ全然私はそんな夏が過ごせるはずだ、と。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。