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全然歩けるし。街がチョコレートに占拠されようが、一人で歩けるし

世間一般のみなさんが盛り上がるイベントがあるたびに、自分の強さを声に出して確かなものにする癖がある。例えば「全然歩けるし。クリスマスで街も人も全員がグルになってホリデーを纏わせていようと、全然一人で歩けるし」とか。例えば「ぜんっぜん余裕だわ~! 街も行きつけのスーパーもバレンタインでチョコレートに占拠されようが私は全然余裕だわ~!」とか。

まあ、そんな感じ。世間が商売の機を見計らって、いろんな施策やセールを大々的に仕掛けてこようとも私は全然余裕だ。なんならそれらの雰囲気の中をジャージで歩ける自信がある。スッピンで歩ける自信もある。し、もうすでに土日にスーパーに行くときにわざわざメイクをするのが面倒でスッピンでバレンタインフェアに突っ込んできた。家に帰ってきたときは、戦いから帰還した戦士のようなオーラを漂わせてしまっていたと思う。1人だから、体感の話だけど。


ただ、かつての私であれば、まんまとその商機にぼこすこハマっていた。ミルク、ホワイト、ストロベリーといったカラフルなチョコレート、アラザン、カラースプレー、ハートや星の小さなトッピング、白、水色、ピンク、カラフルなチョコペン……どうしてバレンタインというのは、こうもすべてが色鮮やかで彩り豊かで心をときめかせるのだろうか。カラフルなものに女の子が弱いって、誰か知っていたの? 中高の私は、スーパーで材料を買うのに悩みに悩んで、そのあとスーパーの2階にあったダイソーでラッピングを買うのにも時間を費やした。

材料もラッピングもこんなにも種類があるのに、どうして渡せる人は大切な1人しかいないんだろうか。そりゃあ複数人いても困るけど、でも、自分が「カワイイ!」「渡したい!」と思ったものすべてを渡せたらいいのに。チョコクッキーにブラウニー、トリュフ、生チョコ、カップケーキ……その中から自分の手間と相手の好みを計算して予測して。


今の私は全然余裕でバレンタインを越えたけれど、確かにそんなふうにときめきに迷っていた時期もあったのだ。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。