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バレンタイン_5

2ヶ月後のバレンタイン

私は、百貨店のバレンタイン催事場でチョコレートを選んでいる。そう、彼に渡すために。
(会える保証なんて無いのに)

彼は東京へ来ていた。
春に都内での舞台出演が決まっていたのだ。

私はプロのヲタク()
持ち前のヲタスキルを駆使し、彼の出演する舞台の稽古場を特定した。

2月の寒空の中、夕方のビル街。
その建物から彼が出てくるのをじっと待った。

少しずつ、関係者と見られる人たちが建物から出てくる。

そして数十分後、、
一目で彼だと分かった。
何人かの若手の役者と共に駅に向かって歩き始める。

「推しくん!」と静かに声をかけると、明るく対応してくれ、駅の改札まで話ながら歩いた。

チョコレートも渡すことができた。

気付けば、出会いから1年が経っていた。


(10年の時を経て旦那にこの話をしたが、ミリも覚えていなかった笑)

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