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一点突破のリーダーシップ開発

 健康のためプールに泳ぎに行くことがあります。特にスクールに入るわけでもなく一般開放のプールを探して自由に泳ぎます。だいたいは最初から得意のクロールで泳ぎ始め、疲れたら終わりにして切り上げます。こうやって漫然と泳いでいるので大して上達することはありません。ただ、こんな私も小中学校時代は週二回スイミングスクールに通っていましてみっちり泳ぎを仕込まれていました。

「はい、じゃあ最初はバタ足5往復ね」
スクールではまず手を使わず足だけの上下運動で練習が始まります。その後、足を動かさず手だけで泳ぎ(これが苦しい)、あ~もう両方使って泳ぎたいーと体が疼くころに漸く全身を使ったクロールの練習といった流れになります。各練習の合間にはコーチが色々アドバイスをくれるので、部分的に修正しながら効率的に泳ぎが上達します。こういった“部分的”な動作に区切った練習方法は、水泳に限らず多くのスポーツで行われているでしょう。

 さて、リーダーシップ開発ではどうでしょうか。
企業でのリーダーシップ研修では、一通りプログラムを進めた後、最後にアクションプランを作成することが多いと思います。1年後のありたい姿とその達成に向けた具体的な行動目標を書いてもらうのですが、研修で得たものが多い人ほど枠いっぱいに数多くの目標をびっちり書く傾向にあります。そして、それで満足し、日々の業務に忙しさも相まって、いつの間にかほとんどの項目が忘れ去られてしまうこともあるようです。

 実は、リーダーシップも水泳と同じように、個々の行動目標について順を追って取り組んでいくやり方が効果的です。例えば、1)組織の戦略立案、2)部下への業務指導力の向上、3)1on1でのキャリア支援といった三つの項目があった場合に、まずは、1か月間、1)の戦略立案を短期間で取り組む。ロジカルシンキングや戦略フレームを徹底的に勉強し自分の組織の戦略を作り上げます。それが終わったら、次月、2)部下への業務指導に移っていきます。一つひとつクリアしていくことで最終的に1年後のあるべき姿に近づけていくといった感じです。

 このステップの良いところは、一つひとつクリアすることで自分に自信がつくことと、前の項目達成が次の課題に効果を発揮するというところです。前の例で言えば、最初にロジカルシンキングを勉強しているので、その後の部下の指導でも、組織の戦略についてフレームを使って論理的に説明し、その中での部下の仕事の位置づけを明確にし、具体的な期待値を伝えていく。おそらく部下の納得性も高まるはずです。
 職場にいると“手足”をすべて動かしたくなりますが、まずは“一点突破”で始めていくことをお勧めいたします。