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これから執筆したいことと自己紹介~ライフサイクルアセスメント(LCA)について~

製品のライフサイクルの概念図

はじめまして。
私は一般企業でライフサイクルアセスメント業務に従事する会社員です。
ライフサイクルアセスメント業務に従事しておよそ2年になります。
業務上学んだことや悩んだことを記事にすることでライフサイクルアセスメントに対する自らの理解を深め、かつ、ライフサイクルアセスメントの普及に努めていければと思い、本noteを執筆しようと思い立ちました。

今回は初めての執筆ということでライフサイクルアセスメントについてご説明いたします。ライフサイクルアセスメントという言葉は聞いたことはあるが、詳しくは分からないという方向けに非常に簡潔に書いてみました。

ライフサイクルアセスメントの3つの特徴

ライフサイクルアセスメントについて考えるとき、私は大きく以下の3つの特徴があると考えています。

1.製品やサービスの環境負荷の「見える化」を可能にする。

2.製品やサービスの環境負荷改善のきっかけを与える。

3.評価可能な環境負荷は温室効果ガスだけではない!


以下、説明していきたいと思います。

1.製品やサービスの環境負荷の見える化を可能にする。

 最初に掲載した図のように、製品やサービスは様々なライフステージを経てそのライフサイクルを終えることになります。ライフステージとは、資源採掘、素材・製品製造、使用及び廃棄・リサイクル等が含まれます。各ライフステージではそれぞれ原料や用役(電力や工業用水等)が投入され、製品や廃棄物等が生じます。この各ライフステージでの資源消費量や排出物量を計量し、環境への影響を評価する手法がライフサイクルアセスメントになります。評価した結果は、数値で表され、定量的な評価が可能です。また、例えば製品製造メーカーの場合、直接的に関係のない資源採掘、使用及び廃棄の各ライフステージでの環境への影響も定量的に評価することが可能であり、どのライフステージで自社製品の環境負荷が大きいのか把握することも可能です。


2.製品やサービスの環境負荷改善のきっかけを与える。

 1で説明したように、ライフサイクルアセスメントは製品やサービスの環境への影響を定量的に評価することが可能です。例えば自社製品の製造において、複数の製造プロセスがあった場合を想定します。評価結果によって環境への影響を定量化することで、どの製造プロセスの環境負荷が大きいかを洗い出し、その製造プロセスの環境負荷改善検討のきっかけを与えることが可能です。さらに評価の対象範囲を社外にまで広げると、普段購入している原料の環境負荷が大きいのであれば、環境負荷が小さい原料を提供している原料サプライヤーへ切り替えることも可能です。このように、環境負荷を定量的に評価することで自社製品の環境負荷改善のきっかけを与えることも可能です。


3.評価可能な環境負荷は温室効果ガスだけではない!

 これまで漠然と「環境負荷」という言葉を使用してきましたが、評価可能な環境負荷は温室効果ガスだけではありません。その他にもオゾン層の破壊、光化学オキシダント、酸性化、富栄養化等の様々な環境問題の環境負荷についても定量的に評価可能です。社内でライフサイクルアセスメント業務に従事していると、「ライフサイクルアセスメント=温室効果ガス排出量の評価」と思っている社員がたくさん存在していることに気づかされます。ライフサイクルアセスメントではその他の環境問題についても評価可能にも関わらず、このような先入観を持った社員が非常に多いのが現状です。これは京都議定書やパリ協定等のニュースで取り上げられる環境問題が、温室効果ガス関連の話題に偏っていることも一因だと考えられます。ライフサイクルアセスメントを評価する上で必要不可欠なのが、評価用のソフトウェアになります。詳細は後日改めてご説明するとして、ソフトウェアを使用することで温室効果ガス以外の環境問題についても容易かつ同時に評価をすることが可能です。それにも関わらず、温室効果ガスのみに注目し、温室効果ガスの増減だけに一喜一憂している現状には少々疑問を抱いています。確かに温室効果ガス排出抑制による地球温暖化防止は非常に重要かつ喫緊の課題だと思われます。しかしながら、温室効果ガスの抑制だけを行っていては、その他の環境問題に対する対応が後手に回り、地球環境が悪化する可能性は否定できません。このように地球環境悪化の要因は温室効果ガスだけではないとの考え方に立ち、欧州では「環境フットプリント」という温室効果ガス以外の環境負荷も併せて評価する評価パッケージが公表されております。こちらについても後日詳しくご説明したいと思います。


以上、簡単ではありますが、ライフサイクルアセスメントについてご説明をしてきました。企業内でライフサイクルアセスメントの評価に従事する者として、日々の疑問や環境問題に対する率直な意見を綴っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。


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