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「日本神話花札」のデザインについて

こんにちは! ぱかです。
去年の4月から描き始めた日本神話花札の連作をついに48枚全て書き終わりました! やったぜ!
まだ3月・4月分は公開していませんが、月毎に更新していくので良かったら見てください↓
日本神話花札:Twitter

今日は日本神話花札のデザインについてです。

全体の雰囲気

「桐に鳳凰」でアマテラス

まずオリジナルの花札を制作する時、既存の花札に絵柄を寄せないようにしなければなりませんでした。花札は決まったイメージがあるのでそれに寄せがちです。しかし、トレス(見て描いたものも含む)は海賊版とみなされる可能性があります。過去にトレースしてキャラクターを描き足した物が問題になったことがあるようです。

そのためいっそのこと雰囲気をガラッと変えた物を作りたいと思いました。
まず私が思う花札の特徴はこんな感じです。

● 枠が黒い(または赤い)
● 使用色が6色程度でコントラストが高い
● モチーフが写実的ではなく独特の意匠化をされている

上記の3点の真逆をいく事にしました。
● 枠はベージュに
● 色の幅は広くコントラスト低めに
● 花や動物は一般的な花札よりも現実に近い形に

枠の色だけでも大分雰囲気を変えられたんじゃないかな~と思います。後記する「枠のデザイン」で詳しく書きます。

使用色は普通に塗ればクリアです。コントラストはいつもより低めにしたつもりですが、人に見せたら「高め」と言われてしまったので、もう意識せず描き進めてます。結局いつもの絵とあまり変わらなくなってしまいました…。一応ハイコントラストにならないように線画は茶色系ベースで、明度の高い肌や白い部分は色トレスをしています。

既存の花札は昔から絵柄が受け継がれていくうちに動植物の形が変わっていきました。伝言ゲームみたいな感じですね。なので見た目が現実とは全く異なる場合があります。特に燕は燕尾の形が残るものの、体は黄色で赤い頭と尾を持ち、よく鳳凰と間違われます。
このあたりをちゃんと現実に即した見た目に描けば差別化出来ると考えました。沢山調べて現物を見に行ったりもしましたが、ちゃんと描けているでしょうか? 自分ではよく分かりません。

達成できなかった面はありますが、目的の「既存の花札と雰囲気を変える」というのは成功してるんじゃないでしょうか。

枠のデザイン

「花札は難しそう」「覚えることが多そう」と思われているように感じます。実際、家族や友人に花札を勧めた時にこのような反応でした。
花札はトランプで言う数字やスーツの区分けが確かに分かりにくいです。数字にあたる「月」には植物がそれぞれ割り当てられているものの、形が似ていて間違えやすいです。(松と柳、藤と萩や桐など)
また、光札・種札・短冊札・カス札の4種の見分けも初心者には難しいです。特に光札と種札は見て識別するというより覚えるしかありません。

花札の敷居を低くするには、見て分かるようにした方が良いんじゃないかと思ったわけです。
そこで札名を文字で記載し、札種ごとに枠のデザインを変える事にしました。

札種ごとの枠のデザインは以下の通りです。
|光 札:赤の点線
|種 札:青の波線
|短冊札:紫の破線
|カス札:白の実線

柳札の枠の比較。色だけでなく線の形を変えているのは色覚異常対策だったりします。

Twitterに投稿した花札には札名を「桐に鳳凰」といった感じに表記していました。しかし、実物のカードとして頒布するにあたって「アマテラス」と神様の名前の方を入れることにしました。
日本神話の神様達は明確な姿というのがありません。しかも私のキャラデザは神話に忠実ではない部分も多く、普段私の描く神様を見ていなければ「誰?」となること必至です。
かなり迷いましたが実物のカードとして印刷してもらう時は神様の名前の方でいこうと思います。一応枠で札種は判別できますし、既存の花札より植物や動物の見分けは出来ると信じたい…。
ちなみに神名と札名を併記するのも考えましたがスペース的に無理があったのでやめました。

札の中のデザイン

実は札の中、つまり絵柄にも札種の区別をつけています。
|光 札:背景に丸
|種 札:背景にグラデーション・赤い雲
|短冊札:背景にドットパターン
|カス札:背景薄い生成りの色ベタ

光札の背景に丸は描いてくうちになんとなく決まりました。柳の光札は苦し紛れですが、傘のシルエットを丸の代わりという事にしておいてください。

種札の赤い雲ですが、一般的な花札にも見られます(下図)。私の花札の場合、正確には雲ではなく「エ霞」と呼ばれる模様です。私がエ霞が好きってだけなんですけど。全ての種札に入っている訳ではないので識別には向かないです…。藤に不如帰のみ雲ではなく月が描かれています。

種札の雲の例。左が任天堂「丸福天狗」、右が大石天狗堂「リンカーン」。

短冊札のドットも一般的な花札から着想を得ています(下図)。よく見ると札の周りに点描が描かれています。

短冊札の点描の例。上の画像と同じく、左が任天堂製、右が大石天狗堂製。

おわりに

カードゲームのデザインは初めてやりましたが、まあまあ見れるものにはなったかなと思います。あとはカード裏面のデザインをブラッシュアップもしなきゃですね。

冒頭で4月から描き始めたと言いましたが、構想は去年の3月から始めていました。そろそろ1年になるんですね…感慨深いです。ツイートを遡ると2019年頃から「日本神話で花札作りたい」とは言っていました。

現在頒布に向けて加筆修正中です。早く終わらせたい気持ちと喪失感が怖い気持ちが混在しています。
日本神話花札は5月5日のコミティアに出す予定です。もちろんその後の通販も予定しているので、手にとっていただけたら嬉しいです。また、オリジナルルールも開発中なので遊んでくれたらなお嬉しいなと思っています。

それでは今月はこのあたりで。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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