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レンタカー試乗記 : 001 ホンダ フィット 1.3 BASIC (GR1)

あたらしい"フィット"のすがた

ご覧いただきありがとうございます。

あたらしい・・・と言えどデビューから早4年。
かくいう筆者も気にはなっていたもののずっと乗れていなかったのだが、今回たまたま乗車する機会があったのでついでにレビューっぽいこともしていけたらなと思う。

この記事は、ある意味新車情報のまねごとみたいなブログ。
書いている人間にあるのはオタク的知識だけ。
地位も専門的知識も何もない。
そんな人間が必死こいて書いていくレンタカー試乗記であります。



外観、内装、デザイン

ENEOSカーシェア (迫真)

先代とは打って変わってずんぐり丸っこくなった。
デザインは賛否両論あるとは思うが、個人的にはなんだか大きなお面がくっついてるみたいな感じに見えてあまり好みではない。どうも違和感というか。どことなく機関車トーマスっぽいというか。
柔和な雰囲気が好きな人には刺さるデザインだと思う。
無論、乗ってしまえば外面なんて見えないのだが。

登場当時、初代のデザインに戻ったなんて書かれていたが、どちらかというと2代目の前期型みたいなデザインだと思う。

左から2代目(GE型前期)、4代目(現行GR型前期、今回のクルマ)、初代(GD型後期)
※画像はすべてグーネットのカタログより引用

ただ、この水色のボディカラー(エアーライトブルー・メタリック)は、初代フィットのクリスタルアクア・メタリックを彷彿とさせてとても良い。
この色の個体を探し出して借りたのはここだけの話。

後ろ側は歴代どのフィットにも似ていない。
テールランプと後ろの窓が繋がっている(交差している)のはトヨタのナディアに似ている気がした。
どことなく最近のクルマでは見られない懐かしめなデザインに感じる。

トヨタ ナディア(画像はタイプSU) テールランプ周りのデザインが似ている
※画像はグーネットのカタログより引用

ラゲッジスペースはこんな感じ。
ちなみに後席は倒すことができるので長尺物の積載も問題なさそう。
そして、フィット伝統の(というよりセンタータンクレイアウト採用のホンダ車全般だが)後席チップアップも引き続き可能なので、高さがある物の積載も問題なくできそうだ。

車内。これでもかというくらいピラーが細いのが特徴。
ただピラーを限界まで細くしたせいか、その手前(運転席側)のピラーはけっこう太め。
あと特徴的な点としては、2本スポークのステアリングだろうか。
回してるうちにどっちが上か分からなくなりそうだと思ったがそんなことは無かった。

車内はどの席も広々としているので、かなりゆったり乗りこなせるクルマだと感じた。
ちなみに、先代で(ベースグレードを除いて)タッチパネル式だったエアコンの操作盤は現行型では物理ボタンとダイヤル式になっている。
ある意味退化ではあるのだが、運転中に操作したりする際のタッチパネルの無感触感は危険にも繋がるので、個人的にはこっちのほうがありがたいと感じた。


乗ってみての感想とか

乗ったのは1.3Lモデル。
排気量低いほうのグレードなのでそこまで期待していなかったのだが、思ったより安定感ある走りができるなぁ というのが高速下道それぞれ乗ってみた印象。
足回りはけっこうしなやかな感じ。
高速でも100km/hちょいくらいまでは普通に走れる。登坂路に入っても踏めばスイーッと加速してくれるし、なんていうか使い切れるパワーでトコトコ走る感が強かった。
ただ、発進時の出足は遅い。車体が重くてエンジンがついていけてない…というよりは、なんか意図的に抑え込まれてるような感触があった。

峠道には今回連れて行けなかったので、機会があればどこかのタイミングで走ってみたい。

結論として、穏やかにしっとりとした走り方をする人には、この1.3のフィットが向いてると思った。

飛ばして走りたい人とかにはパワー不足だと思うので、そういう人は1.5Lモデルかe:HEVを買って下さい。

運転感覚の話。
妙に違和感を感じる、と言ったほうが良いのだろうか。
なんかすごい不思議な運転感覚だったのでここに書いておきたい。

ピラーは細いので視界はすごい広々しているのだが、ダッシュボードの高さがけっこう高いのもあって、従来のフィットよりも妙に幅が広く感じた。
視界は良い(n回目)ので、安心して乗れるクルマではあるのだが・・・

ヴィッツみたいな感覚で乗り回すといつかぶつけそうだと思った。

クラスレスの上質感、という表現のほうが合っているような気がする。

全グレード液晶メーター標準装備。
これもまた、一昔前では考えられなかったことだと思う。
便利ではあるのだが、ステアリングスイッチの操作は慣れないと少し難しいかも。
ハンドル左側のくるくる回るダイヤルがあるのだが、これを押し込むことで決定ボタンになることに気付かず、トリップメーターを呼び出すのにしばらく試行錯誤していたことをここに書き記しておこう。
(自分が機械音痴なだけ説はある)


いいところ

歴代のフィットから大幅に路線変更したが、広い室内や荷室、チップアップ機構の継続採用など、使い勝手の良さがスポイルされていないのはとても良い点だと思う。
現行フィットとほぼ同時期に出たトヨタのヤリスは、従来型のヴィッツから大幅に"走り"へ路線変更した代わりに後席の居住性が犠牲になったが、路線変更した今回のフィットにはそれがない。

また、安全装備がベーシックグレードでも標準装備なのは嬉しい。
運転していて何があるかは分からないし、安全装備は安いグレードでも付いてるに越したことはない。
エンジン性能においても、一般的に使う分には問題ない程度の性能が確保されている。
個人的主観を抜きにした点で見れば、悪いところが見当たらない車だったのは事実。


わるいところ、微妙なところ

人を選ぶデザイン。
柔和な印象なのは確かだが、どこかちぐはぐ感があるというか、登場から4年経った今でも未だに"見慣れない顔"感がある。
少なくとも先代のようなカッコよさはない。

あとは価格。ベースグレードでも150万円を越えている(今回乗った個体はオプション付いてたりするので分からないが、たぶん160万くらいだと思う)ので敷居が上がった感がある。
安全装備等が標準装備になってたりするので高くなるのも分かるのだが。
クラスレスな上質感は確かに感じたが、価格までクラスレスになりつつある気がするのは気のせいだろうか?
ちなみに装備てんこ盛りにした"LUXE(リュクス)"グレードのe:HEVの4WDは253万円。凄い。

あくまで個人的な好みだが、全車標準採用になった電動パーキングブレーキは正直微妙。
Dレンジにしても自動解除されなかったので少し焦った。
やっぱり物理サイドブレーキが一番。


フィット、という存在

"すべてが1台で済むオールインワン"という優等生的な存在。
フィットが世に出た2001年、すなわち23年前からその地位は不動だったように感じる。
…初代はジャダー問題があったり3代目はDCTの構造的問題があったりと多少揺らいではいるのだが、少なくとも"フィット"と聞いて知らない人はいないくらい知名度を確かなものにしているクルマだと思う。

そんなフィットが今回、かなり路線変更して市場にやってきた。
ステアリングは目を見張る2本スポーク、柔和な路線に振り切った外観デザイン、1.5Lモデルの廃止(マイナーチェンジで復活したが)、RSグレードの廃止(同じくマイナーチェンジで復活したが)、MTモデルの廃止。
これは売れないだろ、と当時免許も無い身で思っていたが、意外と街中で見るようになってきて、やっぱりフィットは強いと思った。

そして今回、乗ってみて思った。
これでいいんだと。いや、これこそがフィットだ、と。
このモデルは、特に乗り味がしっとりとしている。万人受けする。
乗ってみて分かる「良いクルマ」「良くできたクルマ」感が凄かった。

MTモデル、RSグレードが無くなったのも理解できた。
このクルマのキャラには合わない。
"フィット"を買う層のほとんどは、燃費の良さや使い勝手の良さを求めているのであって、ガソリンを燃やして走る特別な速さや、マニュアルミッションで自分で操ることなんて必要としていない。
だから、速いクルマがいいならシビックを、小さいMT車はもうウチにはないのでヤリスかカローラを買って下さい。と、現行フィットのグレード体系は
語っているようだ。

"フィット"の存在が、より大衆向けの、絶対的なものになった。
そんなことを感じながら、ステーションに戻ってグローブボックス内のカーシェアの利用終了の鍵を回した。


最後までご覧いただきありがとうございました!

※2024/04/20 記事内容を一部変更しました

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