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小児保健:新生児マススクリーニング

こんにちは!yanagiです。
小児科医として子どもから笑顔の輪を広げていきたい。そんな気持ちで医学を勉強してます。

久しぶりの投稿ですが、モリモリ学んでいきたいと思います。
今日扱う内容は「新生児マススクリーニング」です。

【問題】新生児マススクリーニングと対象疾患について、正しいのはどれか。
a. 発見される頻度が最も高いのは先天性副腎皮質過形成である
b. 正常新生児のマススクリーニングの実施時期は生後48時間である
c. 先天性甲状腺機能低下症では、遷延性黄疸や体重増加不良がみられる
d. 新生児マススクリーニングは、尿検査によって行う

《問題の正解は一番下にあります》

概要

ある特定の集団全員を対象として特定の疾患の検査を行うことをマススクリーニングといいます。難治性疾患を早期に発見し、放置されれば発生する障害を予防することを目的としています。新生児マススクリーニングは生後4〜7日全ての新生児に対して行われ、疾患が見つかった場合は公費で治療を受けることができます。

対象疾患

2014年からタンデムマス法を用いたスクリーニングが導入され、一次対象疾患が従来の6疾患から19疾患となりました。(CPT2欠損症が一次対象疾患となり、現在は20疾患)ただし、タンデムマス法の対象とならない先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)先天性副腎皮質過形成ガラクトース血症は従来の検査法で測定しています。

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最も発見頻度が高いのは先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)で、3,000人に1人です。甲状腺の形成異常やホルモン合成障害によるものが多く、低体温や活動性低下、便秘、臍ヘルニア、遷延性黄疸、食欲不振、巨舌、嗄声などの症状をきたします。マススクリーニング検査では、TSH高値をチェックします。
疑われた場合は速やかに甲状腺ホルモンを補充します。早期に治療すれば、身体発育・知的発育は良好ですが、治療は一生にわたる場合が多くなります。

検査法

いずれの検査法でも、授乳開始後5〜7日の新生児の足踵から濾紙に採血します。母体側からの影響がなくなる一方、蓄積物質の血中濃度が高まり始める時期に行います。紙に付着した直径3mmの血液で検査ができるんですね。

解答

【正解】c(先天性甲状腺機能低下症では、遷延性黄疸や体重増加不良がみられる)

*参考文献
・STEP 小児科 第3版
・国試小児科学 第6版
・東北大学医学部小児科「新生児マス・スクリーニングQ&A」
https://www.ped.med.tohoku.ac.jp/mas.html


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