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小児保健:乳幼児健診と学校保健

こんにちは!yanagiです。
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今日扱う内容は「乳幼児健康診査」と「学校保健」です。

【問題】新生児マススクリーニングと対象疾患について、正しいのはどれか。
a. 母子保健法に規定されている児の健康診査の時期は3ヶ月である
b. 生後1か月検診で股関節開排制限を認めたが、経過観察としてよい
c. インフルエンザ流行時、学校閉鎖の決定は学校医の権限である
d. 麻疹の出席停止期間は「解熱後3日を経過するまで」である

《問題の正解は一番下にあります》

乳幼児健康診査

乳幼児健康診査の目的は、すべての子どもが身体的・精神的・社会的に、最適な成長・発達が遂げられるように援助することです。
時期は地域により少しずつ異なりますが、3〜4か月, 9〜10か月, 1歳6か月, 3歳での健診はほとんどの市町村(後半2つは100%)で行われています。
ちなみに母子保健法では、乳児は3〜6ヶ月, 9〜11ヶ月に1回ずつ(勧奨)、幼児は1歳6ヶ月と3歳(必須)で行うことが定められています。

各時期の正常発達を復習しながら、理解していきましょう。以下に、いくつかの文献を参考にして主なチェック項目を並べました。

【3〜4か月健診】
・体重が増えているか(週に200〜300g, 出生時の2倍
定頸しているか
追視があるか(目が合うか)
・先天性股関節脱臼はないか
【6か月健診】
お座りができるか
寝返りができているか
・おもちゃを手を出してつかむ
離乳食をはじめているか
【9〜10か月健診】
ハイハイ / つかまり立ちできるか
・指先で小さなものをつかめるか
喃語を話すか
【1歳6か月健診】
一人で歩ける
・積み木を重ねられるか / 鉛筆でなぐり書きできるか
意味のある言葉をいえるか
・興味のあるものを指さしするか
離乳が完了しているか
【3歳健診】
・片足立ちできるか / 階段を上れるか
丸を描くことができるか
・名前や年齢を答えられるか
3語文が出るか
・大小や色がわかるか

学校保健・学校医

学校保健の対象は幼稚園から大学までの教育機関と、そこに学ぶ園児、学童、生徒および働く職員です。その対象者数は約2,000万人で、全国民の1/6を占める人々の健康管理をするわけですから、家庭医において学校医の仕事は重要な仕事の一つですね。

学校医の職務は多岐にわたりますが、以下の2つは整理しておく方がよいかもしれません。
① 児童、生徒、学生の健康診断(定期健康診断)に従事するだけでなく、教育委員会・設置者の求めにより就学時の健康診断または職員の健康診断にも従事すること。(就学時健康診断では知能検査が行われる点が他と異なります。)
② 学校における感染症の予防に関し必要な指導と"助言"を行い、ならびに学校における感染症および食中毒の予防処置に従事すること。学校医は助言はしますが閉鎖の決定は学校長の権限によります。

学校感染症・出席停止期間

学校が感染媒介の場所となって生徒に蔓延する危険性があり、特に予防すべき感染症を学校感染症と呼んでいます。出席停止や臨時休業の処置の職務権限が学校長にあり、学校医には適切な指導と助言が求められます。

学校保健安全法で次の3種類に分類されます。
第1種:感染症法の1類・2類感染症および指定感染症
第2種:インフルエンザ、麻疹、水痘など9疾患
第3種:腸管出血性大腸菌感染症などとその他

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第2種の出席停止期間はややこしいですよね。麻疹は発疹が消失せずに色素沈着を残すため、解熱した後3日となります。水痘はさまざまな段階の皮疹が混在するので、「すべての発疹」とされています。

解答

【正解】d(麻疹の出席停止期間は「解熱後3日を経過するまで」である)

*参考文献
・STEP 小児科 第3版
・国試小児科学 第6版
・mamari(ママリ)https://mamari.jp

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